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気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Three Weeks to Say Goodbye by C.J.Box

2014-12-14 10:15:51 | 読書感想

Denver市で観光局に勤めるJack McGuaneと妻Melissaの夫婦は子供を持つことが長年の夢だった。そして9ヶ月前、養子斡旋所 の紹介で、生まれたばかりの赤ちゃんを養子にすることでその夢を実現する。
Angelinaと名付けた娘は愛らしく育ち、今では片言でパパ、ママと言うようになり二人は子供を育てる幸せに浸っていた。だが 今、その幸せを奪う事態が起きる。

彼らは、養子縁組み時、母親からは親権放棄の署名を得ていたが父親である18歳の男からは署名を得ていなかった。しかし彼に会った斡旋所の女性から彼も親権放棄に同意していると言われていた。さらに、親権放棄の同意がなくても養子縁組みが成 立できるように斡旋所は彼らの縁組みを公示し、一定の期限が過ぎれば実の父親の同意がなくても養子縁組みが成立できる措置 を講じていた。
だが、公示による養子縁組み成立の2週間前、突然、Angelinaの父親であるGarrett Morelandから親権の主張と養子縁組みの無効の要求が起こされる。
その知らせを二人にもたらした斡旋所の話によるとGarrettよりも彼の父親で裁判官のJohn Morelandが初孫になるAngelinaを引 き取ることに積極的で息子に親権を主張するように説得したと思われた。斡旋所やJakeの顧問弁護士によるとJohn Morelandは 連邦判事で法に熟知しているので彼らが訴訟に持ち込んでも勝つ可能性はなく、二人はAngelinaを手放すしか方法はないと話さ れる。
やがて息子のGarrettと二人のもとにやってきたJohn Morelandは、「突然、Angelinaを手放すのは辛いだろうから3週間待つ (three weeks to say goodbye)」と告げる。
ふたりは 娘に興味を一切示さないGarrettの様子から彼は父親には不適格だと直感する。与えられた3週間の期限内に友人の 助けを借りながら、彼らはGarrettは親権者として不適格だという証拠を探し出し、Garrettに親権を放棄させるべく行動を起こ す。

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何とも意味深なタイトルに興味を引かれてこの本を購入した。また、念願の子供を持ち、幸せの家庭を築いていこうとした時に
突然、その幸せの中心にある娘を取り上げられようとされている二人が、この苦境にどう対応して幸せを守るのか、ふたりがど
う行動するのか期待して読んだのだが・・・ちょと期待外れ。

このJakeの行動には賛同できない。悲嘆にくれる妻に娘を彼らに渡さないと言いながら、彼がそのために取った行動というと、
友人頼みに見え、もっと娘を守るために積極的に動いてほしかった。またプロットも暴力的すぎ、ちょっとそれではという納得
行かないところがある。

 363ページ Kindle版 690円

 


The Escape by David Baldacci

2014-12-07 11:15:29 | 読書感想

軍刑務所があるカンザス州の一帯が嵐で停電になる。軍刑務所内は瞬時に自家発電装置が稼働する.
しかし、突然、その自家発電装置がストップ、所内は闇に包まれる。そんな中、停電時、自動的にロックされるはずの房の鍵が
逆に解除され囚人たちが独房から出てきて所内は騒然となる。
事態を鎮静化しようとした看守たちは銃声音と爆発音を聞く。彼らは銃を所持しておらず囚人が銃を持っていると信じた彼らは
数分の距離にある米軍基地に支援を要請。直ちに駆けつけた軍によって事態は鎮静化したと思われた。だが 囚人の点呼を行っ
た時、囚人の一人、国家に対する反逆行為で終身刑を言い渡されていたRobert Pullerがいないことが発見される、彼の独房内
に囚人でも看守でもない身元不明の死体を残して。

陸軍の軍人の犯罪を捜査するCIDに所属するJohn PullerはOklahoma州での任務を終え自宅で一休みしているとき、上司のWhite
から兄のRobertが軍刑務所から逃走したと告げられる。そして、この件に関与しないように命令される。
Johnは兄のRobertが脱走したことを受け入れることができなかった。それは兄が有罪であることを証明することになるから。
Johnは兄が軍事裁判を受けていたとき海外任務についており、帰国したときはすでに終身刑が確定しRobertは軍刑務所に入って
いた。軍人であるJohnは兄を国家反逆罪で有罪とした軍の決定を尊重していたが、心の中ではPuller家の血筋には国家を裏切る
ような者はいないと信じており終身刑を宣告した軍の決定を疑っていた。それだけに兄の脱走はショックだった。

またアルツハイマーで判断力が欠落しつつあるが、陸軍の英雄として尊敬されている元将軍の父親がこの情報から受ける動揺を
心配してJohnは父親が入院している病院を訪ねる。そこで彼は 同様に父親を訪ねてきた陸将のRinehart、空将のDaughtrey
そしてNSCのSchindlerと出会う。
彼らはJohnにRobertは2年前の情報とはいえ核戦略や国家機密の情報を持っており、万一、彼の持っている情報が第三国に漏れ
た場合、国家の安全が脅かされるとして兄の行方を追っていた。彼らはJohnにRobertからの連絡の有無を聞き、連絡があった場
合、直ちに報告するように命令する。Johnは彼らが兄であるRobertの捜索を暗に彼に求めているように感じる。

そして、夜、彼は上司の命令に反して密かに兄の逃走ルートを探るべく事件が起こった軍刑務所に向かう。
翌朝、刑務所周辺で事件についての聞き込みを始めた彼のもとにMPがやってきて彼は病院であった3人の将軍たちが待っている
場所へ案内される。彼らはJohnに正式にRobertの捜索を行うように命令する、彼らに逐次報告することを要件に。
JohnはRobertが国家安全に関する機密情報を持っていることから彼は脱走したのではなくその情報を得ようとする何者かによっ
て誘拐された可能性を彼らに指摘する。

脱走犯の身内である自分が捜査することに疑問を感じながらも、直ちに調査を開始したJohnは停電時の自家発電装置の故障は、
脱走を手助けした共犯者による破壊行為であると推理して当時所内にいた看守全員を捜査対象にすることを決める。そして彼が
刑務所内の監視カメラの映像を検討していた時、Veronica KnoxというINSCOM(United States Army's Intelligence and
Security Command)に所属する女性が現れ、上官からの命令で彼と協力してこの事件を調査するよう命令されたと彼に告げる。
彼は Knoxは彼が兄と密かに連絡するのを監視するために派遣されたと考え不愉快に思うが、彼女とともに調査を行うことに同
意する。そして共犯者を探るべく看守たちの事情聴取を行っていく。
その夜、一人モーテルに帰った彼は、彼の部屋で空将のTim Daughtreyが銃殺されているのを発見する。Daughtreyは彼の調査
に関連して、また彼に対する警告として殺されたとJohnは確信する。

Johnは兄のRobertが軍事法廷で裁かれた反逆罪の罪状の中身が分かれば兄を捜す手がかりを得られると思い、非公開となってい
る裁判資料を得ようとする。出来得れば兄の無実を証明できることを期待して。

次いで、Johnは独房内に残された男の死体の検死に行き、男が殺された手口からその男は兄が殺したと断定する。Johnは、
DaughtreyとRobertはSTRATCOMに所属していたことに注目する、RobertはSTRATCOMの元幹部、DaughtreyはRobertの後がまの
STRATCOMの空将。彼は、独房内で殺されていた男は元STRATCOMの兄を殺すために所内に侵入し、逆に兄に殺されたと考え、二つ
の事件はどちらもSTRATCOMに関連した犯行と確信する。二つの殺人事件と大量殺戮兵器の調査、戦略を練るSTRATCOMとの関わり
を発見して、彼は兄の脱走の背後に大きな陰謀の存在を感じはじめる。
そんな中、Johnは兄の命を狙ったと思われるグループの男たちに銃を突きつけられ拉致される。拉致した男たちはこの事件から
彼が手を引くように要求する。そして、彼らの要求を頑なに拒否するJohnの態度に業を煮やした男の一人は彼の頭に銃を突きつ
け引き金を引こうとするが・・・。


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このシリーズ一巻目から読んでいる者としてはRobertがなぜ反逆罪などという罪を犯して終身刑を受けているのか気になってい
たが、この本でやっとそのことが取り上げられている。今回は、JohnだけではなくRobertも準主役となって自らの事件について
調査を始める。いままでRobertは刑務所に収監されていて自由に歩き回れない安楽椅子探偵として、面会に来るJohnに捜査への
アドバイスを与えるいうユニークな役割を果たしていた。その設定がおもしろいと思っていた僕としては、彼がまた刑務所に収
監されるほうがシリーズ上面白いと考えているのだが・・

Johnは相変わらず軍人魂に凝り固まっている。
上官やKnoxに身内である兄の捜査はやりづらいのでは、と問われると自分は軍人であるからRobertの所在を突き止めろという命
令を遂行するだけだと断言する。
しかし、兄の居所を突き止めたら迷わず軍刑務所に引き渡すべきかどうか?家族をとるか、軍の命令に従うか?心の中で葛藤す
る。Johnは兄に会ったらどうするのか、興味津々で読んでいった。

今回はRobertが持っている情報を巡っての争いで、情報機関は自国民にも嘘をつくことがあるとしてJohnも情報機関から派遣さ
れたKnoxを信頼して良いのかどうか、迷い、いらだつ様子が頻繁にある。


また、なかなか敵の正体が見えず、捜査が空回りしているようで読んでる僕もいらいら。だが、相手の正体が見えてからはクラ
イマックスに向かってどんどん盛り上がっていき、とてもおもしろく読めた。
また、Johnの終盤に見せる不器用さには思わず微笑んでしまう。

だが、STRATCOM、NSCなど多くのアメリカの国家情報機関などの略語が頻繁に出てきて読みづらかった、まぁ、それだけ国家機
関が多いというのは驚きでもあるけど。

★★★ 470ページ Kindle版

 


Hold Still by Lisa Reagan

2014-11-23 08:54:29 | 読書感想

Philadelphia警察の刑事Jocelyn Rushは、車を離れた一瞬の隙に3歳になる愛娘を乗せた車をカージャックされる。必死に車
を追いかけたJocelynは他の車に遮断され停まっている車に追いつく。怒りに我を忘れる性癖がある彼女は、カージャック犯を
車から引きずり出し、怒りに刈られて犯人が倒れ伏すまでめったうちにする。

警察に男を引き渡した後、犯人と格闘した際に受けた傷の治療に病院に行った彼女は、パトロール警官だった時代に補導などを
通して顔見知りになった女性Anita Grantに会う。Anitaはかって売春婦として通りに立っていたが4年前に足を洗っていた。
しかし、子供の養育費や母親のガンの治療費のためインターネットに広告を出し再び売春を始めていた。そしてネットの広告を
見て連絡してきたLarryと名乗る黒人の男とその友人のAngelと喫茶店で待ち合わせる。しかし、二人の様子に危険を感じた彼女
は交渉を中断してその場を立ち去るが、尾けてきた男たちによって車に拉致される。
廃屋に連れ込まれた彼女は、そこに待ちかまえていたスキーマスクをかぶった白人の男に両手両足を床に釘で固定された後、男
たちにレイプされる。女性を釘で床に磔にし、二人の男にレイプするよう促し、その様子を見て興奮する、仲間からFaceと呼ばれていた白人の男の異常さにJocelynは怒りと戦慄を覚える。

またJocelynは、彼女を看た看護士の女性から6ヶ月前にも同じように被害を受けた売春婦がいたことを知らされる。Jocelynは
同じ男たちによる報告されていない犯行が他にもある可能性を危惧する。

Anitaが拉致された瞬間を目撃していた男が、彼らの車のナンバーを見ていたことからLarryの身元と住まいがわかり、彼の家に
向かったJocelynはそこにAngelもいることを発見、二人に署への同行を求める。

JocelynとパートナーのKevinは二人を尋問するが、二人はあらかじめ示し合わせていたようで、彼女を拉致してセックスしたこ
とは認めたが磔にしたことと白人の男の存在は頑強に否定する。
Jocelynは10代の頃、妹が少年たちにレイプされる場面を目撃し、以後、家族の絆が崩壊してしまった悲しい過去を持ってい
た。そして今でもレイプ事件は悪夢となって彼女を苦しめていた。それゆえ、彼女はレイプ犯には異常な憤りを覚えていた。
性犯罪はSVU(Special Victims Unit)が扱う事件で自分たちは管轄外と主張するパートナーのKevinにSVUが多忙でこの事件に手
が回らないことを言い訳にしてJocelynはこの事件の捜査にのめり込んでいく。
そしてJocelynは、自分が得た情報をSVUに伝えていたが、事件を担当する警部Calebから何の連絡がないのにいらだち、自らSVU
に出向き捜査主任のCalebに会う。
彼は彼女の捜査協力に感謝し、彼らの犯行と思われる事件が4年前から起きていたと話す。事件の被害者は何れも売春婦、そし
て彼らが起こした最初の事件の時、白人の男はマスクをつけておらず被害者Raeann Churchは彼の素顔を見ていたという重大な
事実を告げる。
JocelynはLarryとAngelが本名を名乗っていたことについて、彼らは犯行後、金を置いていったので娼婦たちはレイプについて
警察に話さないと安易に考え、身元を隠さなかったと推理する。一方、マスクをした白人の男は身なりの良さからレイプに関与
したことがわかると身の破滅になるような人物だと推理する。Jocelynは、行方がわからない最初の犠牲者Raeannの居場所を探
し出し、男の正体を突きとめようとする。

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性犯罪ということで物語が暗い、じめじめした印象を与える。その暗さを補うため娘の出てくる場面を随所に入れて愛らしい描
写で読む側に清涼感を与える。ただ、ヒロインの娘の可愛がり方はちょとオーバーだと思うのだけど。
レイプ犯の二人があっさり捕まって、あれぇと思っていたらもう一人の白人の正体がなかなか掴めず、こちらもあれこれ推理す
るのだが・・けっこうよくできている。
Jocelynの捜査能力は人の手助けがあって事件を解決していくようで、もうひとふんばりかな。

Amazonのプライム会員なのでこの本は無料で読めた。いままで無料本、いろいろ挑戦したけどこの本が最後まで読み切った唯一
の本だと思う。おもしろかった。

★★★★ 366ページ


Sycamore Row by John Grisham

2014-11-16 09:32:19 | 読書感想

ミシシッピー州の片田舎Clantonに住む事業家Seth Hubbardは、長年の間、一族が所有する広大な土地に生育しているSycamore
の古木で首を吊って自殺する。彼は癌の末期症状にあり苦痛に耐えきれず自殺したと思われた。自宅に自筆のメモが残され、自
殺することや自分の葬儀や埋葬場所についての指示が書かれていた。

翌朝、Clantonで弁護士事務所を開業しているJake BriganceはSethからの手紙を受け取る。Jakeは朝食に立ち寄った店でSethが
自殺した件が話題になっていたので彼が自殺したことは知っていた。Jakeは面識のない自分に当てた手紙の内容に興味を引かれ
る。手紙には自筆の遺言書とJakeを遺言書の検認手続きの弁護士として指名するという文書が入っていた。

遺言書は彼の子供や孫には一切の財産を与えず、家政婦として3年間勤めていた黒人のLettie Langに遺産の90%を与えると
いう驚愕の内容だった。
Jakeに宛てた手紙の中でSethは、当然、この内容に彼の子や孫から反発があり遺言書を巡って法廷闘争が起きると予測し、この
遺言書が検認されるようJakeが全力をあげるよう指示していた。

検認手続きは子供達に葬儀を行わせた後に、という指示に従い、葬儀後、Jakeは遺言書の検認の申し立てを裁判所に提出する。
そして Lettieに会い 遺言により彼女がSethの遺産2000万ドルの90%を受け取る権利を持っていることを話す。Sethの
自殺で仕事を失い、これからの生活に窮していた彼女は、その知らせに驚き、喜び、涙する。そんな彼女にJakeはSethの親族か
ら遺言への反発があり、裁判で遺言書の無効を証明するために彼女に対するきびしい言葉が浴びせられることは必死であり、裁
判は厳しいものになると忠告する。

やがて、陪審審理が始まる。親族側の弁護士は、親族を排除して3年間しか勤めていない家政婦に遺産のほぼ全額を与えるとい
う遺言は常識から考えてあり得ない、Lettieが性的に誘惑して遺言書を書かせたか、痛み止めの薬の影響で意識朦朧とした状態
でSethが遺言書を書いたものであり、遺言書は無効であると主張する。
Jakeはそれに対して反論していくが、彼自身もなぜSethが家政婦のLettieに巨額の財産を与えたのかわからなかった。陪審員に
遺言書を認証してもらうには、その理由を明らかにする必要があるとJakeは痛感する。Jakeは元弁護士で事務所のオーナーであ
Lucian Wilbanksの協力を得てその理由を探り出そうとする。

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Lettieのシンデレラストーリーはわくわくする。親族から看病に対するねぎらいの言葉をもらうこともなく、早く首にしようと
いう会話を聞いてがっくりする彼女、不幸のどん底に陥った彼女が遺言の内容を知らされて幸福の高みに駆けあがっていく様子
はなんども読み返したくなる。

ただ、常識からいうと相手側の弁護士の言い分がもっともだと思う。SethがなぜLetteiにほぼ遺産の全額を与えたのか 陪審員
同様、こちらもその理由が知りたくて読書スピードがあがっていった。
裁判での弁護士双方の弁論は迫力がありおもしろかった。

そして Lettieに巨額の遺産が舞い込むと知ったとたん、彼女に群がってくる親族と称する黒人達。そして巨額の報酬を当てに
して裁判に群がる弁護士達。もしかして人間不信に陥っていたSethは天の高みから人間どもの業をあざ笑うためにこの遺言を残
したのか?と思ってしまった。

終わり方はよかった。読み終わった後もほのぼの心に残る物がある。しばらくその余韻に浸り、なにもせずボーとしていた。

ただ、彼の作品は映画的。場面が変わると、それぞれの場面で、それぞれの人物の視点からその場面が語られていく。僕として
はJakeの視点で、それぞれの場面が語られていく方が物語にとけこみやすい。

 ★★★★ 459ページ Kindle版 734円

 


A Time to Kill by John Grisham

2014-11-02 10:15:45 | 読書感想


Mississippi州の片田舎Clantonで貧しい人々の法律問題を助けるStreet Lawyerとして働いている弁護士のJake Briganceは貧しい黒人Carl Leeから弁護の依頼を受ける。
かって彼は殺人罪で起訴されたCarlの兄Lesterを裁判で無罪にしたことがあった。

ドラッグ取引で前科のある白人の若者Cobbと友人のWillardは、Carlの10歳の娘を拉致し暴行を加えたうえ、レイプしたことで警察に捕まる。
瀕死の重傷を負わされた娘に会ったCarlは報復として男達を射殺して殺人罪で逮捕されていた。
同じように娘を持つJakeは彼の怒りと悲しみそして彼の行為が理解できた。

Carlが二人を殺したことを認めているので、Jakeは娘を持つ親の心情を陪審員に訴えて無罪を勝ち取ろうと考える。しかし、陪審員は同情だけでは白人の若者を殺した罪を免責しないと考えた彼は、犯行時Carlは精神錯乱状態(心神喪失)にあって刑事責任を問えないと主張することによって無罪を勝ち取ろうとする。

Jakeは白人が人口の大多数を占めるこの場所での裁判は黒人の被告には不利と見て裁判を他の地域、黒人が多い地域で行うことを提訴する。
つぎに陪審員の選定で黒人とこの事件に同情的な陪審員を選ぼうとする。
さらに、裁判では検事や判事に注意されても陪審員に被告に同情するように意識を植え付けていく。

一方、町では教会の黒人牧師が中心になってCarlを支援すべく周辺の地域からの黒人達を動員して集会を連日開く。
そしてそれに呼応するかのようにKKKが町に乗り込んで来て、Carlに死刑を求め、彼を弁護するJakeに脅しをかけてくる。Jakeは自宅の庭で十字架を燃やされたり、爆弾を仕掛けられたり命の危険に迫られる。

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Grishamのデビュー作で今さらとも思うが、彼の最新作「Sycamore Row」がJakeを主人公にしているらしいので こちらから読むことにした。

僕は まず殺人があって、それを捜査する過程でさらなる殺人が・・というストーリが好きなのだが、理由はどうあれ、二人の若者を殺した男を、どうやって無罪放免できるのか?Jakeが奔走する様子、なかなか興味深くおもしろく読めた。

陪審員が同情からCarkを無罪にするためには、嘘でも良いから彼が心神喪失状態だったと主張することが、陪審員にとって彼を無罪にする言い訳になるという元弁護士Lucienの言葉はうまく考えたなぁと思った。
しかし、KKKに対して警察が何もできないというのは、それが現実なのかもしれないが不満。

物語の冒頭の男達の犯行の描写は、この男達は生きるに値しないと思わせる。
Carlが殺したことが明白なのでほかに真犯人が・・ということもなく殺人事件の裁判がどのように進んでいくのかが克明に描かれていく。
まずは予審、そして大陪審、陪審員を選定する審理、小陪審(裁判)。陪審員達の裁判の間の待遇の様子、判事室での判事と弁護士、検事との頻繁な話し合いなどアメリカの裁判の過程を知るにはいい本だった。

 ★★★★ 515ページ ペーパーバック

 

 

 

 


Gone Girl by Gillian Flynn

2014-10-26 10:23:16 | 読書感想

 


5年目の結婚記念日Nick Dunneが妹Margo(Go)にゲーム好きな妻のAmyが毎年結婚記念日に彼に与えるTreasure Huntというゲームについて悩みを打ち明けているとき、隣人の男から電話がかかってくる,家の玄関ドアが開けっ放しになっていると。急遽、家に戻った彼は部屋に争ったような跡があり、妻がいなくなっていることを知る。

荒らされた室内の様子からAmyが自主的に家を出たようには見えないことから警察は公開捜査に乗り出す。

Amyの両親は誰もが知っている「Amazing Amy」というタイトルの本を書いている児童書の作家で、自分達の子供にその主人公の名前を付けるほど彼女を溺愛していた。有名作家の娘が失踪したということでこの事件はマスコミと世間の注目を集める。

捜査を始めた刑事は妻のAmyが行方不明になっているにもかかわらずAmyの友人や両親と連絡を取ろうとしないNickの態度に違和感を覚える。さらに、刑事達はAmyの失踪前夜、二人が大喧嘩していたという近所の人の証言、彼女が護身用の銃を欲しがっていたことなどを突きとめ、徐々にNickがAmyを殺した可能性に捜査の焦点を絞っていく。

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以前、この作者の「sharp object」という本を読んだことがあるが、作風が僕の趣味に合わなかったのでこの本も読むのを迷っていた。しかし、去年出版されたにもかかわらず今もニューヨークタイムズのベストセラーリストの一位にランクインしていたり、今年(2014年)映画化されるようなので、きっと面白いストーリーなのだろうと思い、読んでみることにした。

物語の前半、読み続けるには根気がいる。何とかがんばって前半を読み終わると俄然面白くなってくる。夫と妻(妻は二人の出会いから現在に至るまでの日記)のモノローグで物語が進行するという構成はユニーク。プロットがすごくよくできているのであらすじとか感想も書きづらい。
2013年MWA Best Novelの候補作になったのも納得できる。

12月12日日本公開、映画「ゴーンガール」オフィシャルサイト(http://www.foxmovies-jp.com/gone-girl/

★★★★ 本の長さ 434ページ Kindle版 665円

 


Last to Die by Tess Gerritsen

2014-10-12 12:20:09 | 読書感想


ボストンPDのJane Rizzoliは母のAngelaと父親Frankの口論の仲裁に忙しいとき、上司のCroweから電話がありすぐ殺人現場に来るように命令される。
現場は高級住宅地のBeacon Hill、犠牲者は銀行家で慈善家としても知られるBernard Ackermanと妻Cecilia、そして3人の養女。いずれも銃で撃たれて殺されていた。家族の中で唯一難を逃れた里子の14歳の少年、Teddy Clockはショック状態にあり誰とも口を利こうとはしなかった。Croweは少年の心を開かせるには女性であるJaneが適任であるとして彼女にTeddyの事情聴取を命ずる。現場に着いたJaneは一つ一つの部屋を丹念に回り住んでいる人すべて皆殺しにしようとした殺人者の手口に戦慄を覚える。呆然としているTeddyと話そうとしたJaneは、彼を保護した隣人から里子として彼がAckerman家にやってきた経緯を聞いて衝撃を受ける。2年前Teddyとその家族はヨットで世界一周旅行をしていた。ある夜、西インド諸島に停泊中、何者かに就寝中を襲われ両親と妹を殺され、彼だけが唯一の生存者として海に浮かんでいた。
そして、やっとJaneに心を開いたTeddyは彼が寝台の下に隠れていて男の靴以外なにも見ていないと話すが、両親を殺した男が彼を殺しにやってきたと確信していて、また自分を殺しにやってくると絶望な眼差しでJaneに告げる。
Teddyの絶望的な表情を見て、Janeは2年前の未解決の事件と今回の事件の関連性を考える。

しかし、犠牲者宅には押し入った形跡がないことや警報装置が解除されていたことから、この家の鍵と警報装置の解除の仕方を知っている家政婦Maria Salazarとその恋人Andres Zapataが有力な容疑者として浮かび上がる。Zapataは窃盗や麻薬密輸で逮捕歴があり、侵入路と思われる台所から彼の指紋が検出されたことから警察は彼を犯人と断定して指名手配する。Janeは強盗にしては夫妻の財布が手つかずに残されていることや高価な宝石なども盗まれていないことなどからZapataが犯人と決めた捜査方針に疑問を感じる。

そんな中、ボストン警察のMEで親友でもあるMauraからJaneの携帯電話にメッセージが届く。
Mauraはかってワイオミングの山中で共に生死の境をさまよったJulian Perkinsという少年と2週間の休暇を過ごすために彼が学ぶ寄宿学校にいた。Mephisto Societyが運営する、その施設は人家から離れた森の中の広大な敷地に厳重な警備システムを設置し、親や兄弟を殺された子供たちに一般の授業のほかに社会でのサバイバルの仕方を教えていた。
そしてその子供たちの中に、最近、Teddyと同じように2年前に両親を殺され、先月里親を殺されたClaire Ward,Will Yablonskiの少年少女二人が加わっていることをMauraは知り、ただちにJaneに知らせてくる。
Janeは里子を狙った事件が他に2件もあったことに驚き、Teddyの事件との関連を調べるためTeddyを訪ねる。そこで彼女は何者かがTeddyを預かった里親の家に侵入しようとする場面に遭遇するが、侵入者は警官であるJaneの存在を察知したのか何もせずに去り、事なきを得る。しかし、警察関係者など一部の者しか知らないTeddyの居場所を侵入者が知っていたことに危機感を持ったJaneはMauraの勧めに従いTeddyを警備が万全で関連性が疑われる二人もいるという寄宿学校に連れていく。

JaneはWards家、Yablonskis家、Clocks家の両親と子供が場所は異なるが同じ年の同じ週に殺されていて、2年後、その惨劇から生き残った子供たちが再び命を狙われたのは偶然ではないと捜査会議で主張するが、2年という月日の経過、同じ犯人とするには犯行現場がロンドン、Maryland州、そして西インド諸島とあまりにも離れすぎている、として彼女の主張は却下される。
しかし、Janeは3人の家族にはつながりがあると確信し、それが何か?そして、そのつながりの中に殺人者が潜んでいると考え 捜査方針に反して単独で3家族の捜査に取り組んでいく。そして、殺人者がまたTeddy達3人の命を狙ってくると確信し、Janeは彼らを殺人者から守りぬくことに全力をあげることを決意する。

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最初、この本を読み初めて感じたのは昔々、読んだミステリーのプロットのことだった。
幸い、僕の思ったそのミステリーの展開にならなかったが。両親が殺されて孤児になった子が2年後また狙われるという設定に興味を魅かれ、物語に引き込まれていった。そして予想以上の思いがけない展開があり面白く読めた。

また、殻に閉じこもっていた少年たちが同じ境遇にある仲間に徐々に心を開いて立ち直っていく様子は、読了後、さわやかな気持ちにさせてくれる。


久しぶりにこのシリーズを読んだ。前に読んだときはJaneが妊娠中だったと思う。その子が産まれて一児の母親になっている。JaneとMaura、年齢が書かれていないか読み落としたかわからないが、Mauraはすごく落ち着いて見え、Janeの方がMauraより若いように思う。Mauraの静とJaneの動、Janeが捜査に動き回り、捜査に行き詰まったときなどにMauraがアドバイスする。このパターンが僕は好きで、たまにMauraがメインになって活躍する物語もあるようだがあまり読書欲をそそられない。

 本の長さ 353ページ  ★★★★  Kindle版 873円


Resurrection Men by Ian Rankin

2014-10-05 11:57:20 | 読書感想


美術商Edward Marberの殺害事件の捜査に従事していたJohn Rebusは突然、地区本部長から呼び出され数年前に起きたBernie Johnsという麻薬取引業者殺害事件に関する潜入捜査を命じられる。地区本部長によると殺されたBernie Johnsは、警察内部に内通者を持っていた。

そして、Johnsが逮捕、刑務所内で殺害されるドサクサに、内通者だった警察官達は彼が隠していた300万ポンドの金を強奪していた。しかし、彼らがやったという証拠はつかめず事件はうやむやになっていた。内通者と思われた警察官の名前はFrancis Gray,Jazz McCulloughAllan Wardの3人。GrayとJazzはまもなく定年。警察上層部は彼らが警察を辞める前に証拠をつかむべく、日頃から素行の悪い彼らを警察学校の再教育施設に送る。同様に、上司に反抗したという理由でRebusを再教育施設に送り込む。Rebusは再教育を受ける過程で彼らにとけ込み、Bernie Johns事件と彼らの関与を明らかにするように命じられる。

一方、Rebusの部下のSiobhan Clarkeは新人のDavie Hyndsを相棒にして美術商殺しの捜査を進めていく。その過程で、彼女は美術商の顧客にM.G.Cafferty(Morris Gerald Cafferty)通称Big Gerがいることを発見する。さらに美術商が殺された日、美術商が主催した内覧会に彼が出席していたことを突き止める。Caffertyは東海岸を牛耳っているギャングのボスで、Rebusの宿敵だった。しかし、話を聞いたRebusは殺害の手段が彼らしくないとCaffertyの関与に疑問を呈する。だが美術商を自宅まで乗せたタクシー会社の名前がCaffertyと同じ名前のMGタクシーという会社であることを知り、彼女はこの会社の所有者がM.G Caffertyである可能性が高いと考え、Rebusとは逆にCaffertyがこの事件に関与していると考え始める。

再教育訓練を受けることになったRebus達は捜査の原点であるチームワークの必要性を再認識させる教材として6年前に起きた未解決の事件「Eric Lomax殺害事件」を与えられる。Rebusはその資料を見たとき内心の動揺を抑えることができなかった。その事件が万一解決された時は 彼の刑事生活が終わることを意味していたから。
本部長の意図は自分を辞めさせることが真の目的で、3人の不正疑惑は罠なのか?Rebusは疑心暗鬼にかられながらも 3人の不正の証拠を突き止めるべくある賭にでる。

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物語の前半はRebusが3人組の不正を見破れるのかというよりも、逆に、RebusがEric Lomax事件で3人組に追いつめられていく過程が描かれているようにみえる。

不正を疑われているGrayとJazzだが、捜査手腕はなかなか見事でRebusが未解決のままで終わって欲しいと願っているにもかかわらず、当時は検討されなかった事実を見つけだして、徐々に事件の真相に迫っていき、Rebusを動揺させる。そしてRebusの動揺は、彼が事件の何を隠しているのか分からない我々読者を不安にさせハラハラドキドキさせる。Rebusという男、タフで物事に動じない男と思っていたが、自分の過去の不手際が明かされる事件の資料を提示されて 手の震えを抑えることができないとは、意外と繊細(?)。上司のJillや部下のSiobhanから好意を持たれているし、外された美術商殺しに関して捜査の進展をSiobhanに問い合わせてくるほど仕事熱心。どうして警察上層部が彼を煙たがるのかと不思議に思っていたが、最後にナルホドとうなずけた。

またSiobhan、「Shi-vawn」と発音すると、彼女自身が説明するほど読み方が難しい名前の女性刑事が魅力的。最近、巡査部長(sergeant)に昇進したことからくる同僚の妬みや、同僚からのデートの誘いなどをうまくかわしながら、上司である女性警視のJillのようにいつか自分も警視になりたいと昼夜問わず捜査に没頭する。
Rebusと同じように一匹狼のようで、気になることがあると独りで捜査に出向く。Rebusとの会話から二人の結束の強さや信頼関係が推測されるがよく有りがちな恋愛関係が無いのが良い。

前半はSiobhanの地道な捜査とRebusの突破口を見いだせないいらだちが交互に描かれていくがちょっと退屈。後半、ばらばらに活動していたふたりが一緒になって捜査に協力していくようになってからは俄然面白くなった。
またスコットランドが舞台なので地名に馴染みがなく人名か地名かわからず読みづらかった。

2004年 MWA best novel 受賞 ★★★★  456ページ Kindle版 811円

 

 

 


Moment of Truth by Lisa Scottoline

2014-09-21 11:31:08 | 読書感想

フィラデルフィアの巨大法律事務所のパートナーJack Newlinは娘のPaigeから母親のHonarと重大な話し合いをするのでその場に立ち会って欲しいと頼まれる。しかし、帰り際、同僚に仕事の件で相談を受け約束の時間に遅れてしまう。急いで帰宅した彼は、そこで妻の無惨な死体に遭遇する。そして、居るはずのPaigeの姿が見えないことから 彼は瞬時に妻を殺したのは娘のPaigeだと察知し自分が身代わりとなって自首することを決断する。彼は現場に残されていた凶器のナイフに自分の指紋を付け、着ている服に妻の血を付けるなど、警察に彼が犯人であると確信させるように工作してから警察に電話する。

彼の尋問を担当したReginald Brinkleyは無駄話を嫌い、せっかちに殺人の供述をしたいと繰り返すJackの態度、尋問への受け答えに違和感を抱く。
そんな刑事の態度に、自分が犯罪者にふさわしい態度を取っていないと感じたJackは 弁護士を要らないと言った前言を翻し弁護士の立ち会いを要求する。

その電話がかかってきたとき、法律事務所「Rosato & Associates」のアソシエイトMary Dinunzioは、今日終わった裁判の後味の悪さに落ち込み、自分は弁護士に向いていないと同僚のJudyに愚痴を言っていた。すでに業務時間を終了しているとMaryは電話を無視しようとするが、Judyにせかされ電話に出た彼女は殺人事件の容疑者Jackから弁護の依頼を受ける。

依頼人のJackに会ったMaryは自分は主任弁護士として殺人事件を扱った経験がなく力不足であると依頼を辞退しようとする。しかし、Jackは彼女の正直な態度に好感を持ち、自分は有罪を認める答弁をし、司法取引を求めるつもりだから、そう難しい事例にはならないと言いMaryを説得する。

MaryはJackがすでに刑事たちに自白し、刑に服するつもりでいることにショックを受けるが、先ずはJackの要請を受け娘のPaigeに、母親が殺され、父親が警察に拘留されている状況を伝えるために会いに行く。
Maryは彼女の部屋で彼女と恋人が映っている写真を見つけ彼とロビーですれ違ったことを思い出す。しかし、Paigeに聞くと彼は今夜来なかったと否定する。なぜ、否定するのか?さらに、彼女は今夜、母親と会う予定だったが行かなかったと話す。もしかしたらPaigeは母親に会いに行ったのでは?Jackと話したときの彼の娘への異常な気遣いと併せてMaryは彼女に疑念を抱く。

翌朝、MaryはJackに会い、一夜漬けで勉強した法律や判例などを参考に立てた弁護戦略を述べる。まず、犯行時彼は酒を飲んで酔っていたことを挙げ、自白していたときも酔っていた可能性があり酔っているときの自白は証拠にならないと話し、自白の削除を裁判で求めると。しかし、彼はそんなことはやめるよう強く要求する。自分の裁判で有利になることをやめようとする彼の態度にMaryは彼は娘をかばって罪をかぶろうとしていると確信する。

しかし、有罪であるのに無罪だと主張する依頼人を弁護することはよくあるが、無罪であるのに有罪だと主張する依頼人は初めてだった。Maryは娘を思う父親の気持ちを理解しながらも無実の人間を有罪にはできないと思い、依頼人の意志には反するが、事務所の調査員を助っ人にしてPaigeの身辺を徹底的に調査してJackの無実を証明しようとする。

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女性が書いたなぁと思わせる最後に心温まる作品。しかし、なかなか安心できない。Jackの無実がほとんど確実になって、ひと安心と思ったら、相手方の検事も仕事熱心、したたかで、父親に不利な証拠を発見、そう簡単には安心させてくれない。娘を守ろうとする父親、そんな父親に罪悪感を感じ、自首しようと考える娘、二人の家族愛に悩みながらも真実を追求するMary 。早とちりして失敗したりするが、とても好感が持てるキャラクター。

また、そのほかのキャラクターも魅力的。検事補のDavis、仕事の虫で犯罪者をこの世から無くすことが使命と考えている。朝早くから夜遅くまで、何度も何度も調書を検討しJackの有罪を確信し、それを立証すべく努力する姿は好ましい。そして警察の決定に反してでも自分の信念を貫いて捜査を外されるBrinkley刑事。
要領の良さでMaryを呆れさせる同僚のJudy、二人のやりとりは楽しい。


 ★★★★  Kindle版 398円 本の長さ 448ページ


Perish Twice by Robert B Parker

2014-09-14 13:16:14 | 読書感想


ボストンの私立探偵Sunny Randallは友人のSpikeの紹介でフェミニズムを広める団体の代表Mary Lou Goddardという女性に会う。

Maryは最近、誰かにストーカーされていると言い、さらに事務所の留守電に殺してやるという伝言があったりするのでボディガードとして彼女を雇いたいと言う。Maryは警察に話して私生活が公になるのは避けたいと言い、さらにフェミニズム運動を繰り広げている立場上、男には頼めないと話す。Sunnyは愛犬と男を毛嫌いする彼女の態度が気に入らなかったがSpikeの紹介もあり引き受けることにする。

Maryを車で送迎する仕事を始めたSunnyは彼女たちを尾行している車を発見する。Sunnyは車のナンバーから男の名前Lawrence B.Reevesと住所を突き止める。直ちに、彼女はLawrenceと会いストーカーの件で警告する。そして彼の態度からMaryはストーカーはLawrenceだと知っていたと確信する。

Sunnyは車でMaryを送る途中、ストーカーはLawrenceという男だと教え、知っている男かどうか訪ねるが彼女は知らないと答える。さらに一夜限りの男だったのでは?という問いにも自分はレスビアンだと云い否定する。また、Sunnyがこの男について調べるというと、これ以上男に関わるなと強い口調で命令する。

Maryの言葉に不信を抱いたSunnyは彼女を紹介したSpikeに会いに行き、Maryにはかなりの男性関係があると教えられる。フェミニズムを主張する団体の責任者である以上、公にされると立場がないほど。

そしてある朝、いつものようにMaryを事務所に送り帰途に就く途中、SunnyはMaryから緊急の電話を受ける。Maryの事務所に駆けつけたSunnyは顔に2発銃弾を受けて死亡している女性と対面する。歳恰好がMaryと似ていることから殺された女性GretchenはMaryと間違えられて殺された可能性が高かった。

Sunnyはこの事件を担当する刑事FarrelにLawrenceについて話そうとするがMaryに止められる。しかし、Sunnyは殺人事件であるから知っていることは警察に話すとMaryに云い、Maryは彼女を解雇する。
Maryはどうしてストーカーの名前を明かされるのを嫌うのか?どうしてLawrenceはMaryをストーカーしたのか?
SunnyはLawrenceの調査を始めることにし、彼のアリバイの有無を聞きに行くFarrelに同行する。LawrenceはGretchenの殺された時間にはBonnieという女性といた主張する。

Sunnyは1人でBonnieに会いに行きLawrenceのアリバイを確認する。そして、Bonnieは彼とMaryが知り合いだったと彼女に話す。

そんな中、FarrelからLawrenceが銃を口で咥えて自殺したと電話がある。その場には遺書も残されていた。遺書には殺し屋を雇ってMaryを殺そうとして誤って他人を殺したと書かれていた。警察は、彼の手や顔に硝煙反応があり他殺の可能性はないと断定して容疑者自殺として捜査を終了する。

SunnyはLawrenceが殺し屋を雇う方法を知っていたとは思えず、また彼は銃を使用して自殺するタイプには見えないと考え、Lawrenceを犯人に仕立てた真犯人がいると確信し、ひとり調査を続行する。

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終わり方がちょっと予想外。
ヒロインのSunny Randallをはじめ各キャラクターが魅力的。人を判断するのに一流大学出身かお金持ちかどうかで決める姉Elizabethや愛らしいしぐさをする愛犬Rosie、そしてSunnyに好感を持っている男たち。

特にSunnyは魅力的。 
◎非常に自立心が強い。しかし、必要があると思えば男たちに助力を求める。
Maryに何故警察官を辞めたのかと聞かれると、誰かのために働くのは嫌だったと答え、でも今は私のために働いているとMaryが言うのに対し、"I'm working for me."(Kindle位置Noよ637り)

◎自分の生き方に信念を持っている。自分の生き方に疑問を感じている友人のJulieが Sunnyの生き方を羨んで
" You know who you are. You know what you want,and it's what you shoud want." (Kindle位置No2072より)

 I Want to Know What Happened.とSunnyが言ったのに対し友人のSpikeは
 " It's one of your greatest charms .Nothing too elevated,like the search for truth,or a passion for justice.You'll hang in on a case...because you want to know what happened.(kindle 位置no3665より)

夫婦問題で悩む姉や友人の話に耳を傾けながらクールに解決策を提示する。その会話の内容、テンポが読むのに心地よい。

★★★★ Kindle版 ¥281円 本の長さ(ペーパーバック) 324ページ