気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Stalked by Elizabeth Heiter

2017-01-16 19:46:29 | 読書感想


一月、夜9時、恋人のKyleとデートしていたFBI、BAU(Behavioral Analysis Unit )所属のプロファイラーEvelyn Baineは上司からの緊急の電話を受ける。
1ヶ月前、 大学が休みに入ると人口1万人、大学の学期が始まると人口が3万人になる小さな町Virginia州Nevilleで、17歳の少女Haley Cooke が彼女が通う学校の校内で失踪する事件が起きる。
死体が発見されなかったことから、彼女は誘拐されたと思われた。BAUは見知らぬ人間による犯行としてプロファイルしなかった。しかし、今、『このメモを誰かが読むときは、自分は殺されている』と少女が書いたメモが発見され、犯人は彼女が知っている人物の可能性が高いとして、Evelynはこの事件の犯人のプロファイルを作成するよう命令される。
Haleyが行方不明になっている事件は、母親Linda Varnerの熱心な行動によって、毎日、マスコミに取り上げられていたので彼女の顔は誰もが知っていた。しかし、目撃情報は皆無だった。Evelynにとって17歳の美少女が行方不明になったこの事件、結末に明るい展望が見えなかった。
事件を捜査している刑事Sophia Lopez と会った彼女は捜査資料を検討して被害者のプロファイルを作成することから始める。彼女はHaleyが連れ去られた時、叫び声や争った跡がないことから、犯人は彼女の知り合いであった可能性が高いと考え、犯人のプロファイルを作成するにはHaleyの身近にいたすべての人に会う必要があると主張する。彼女はHaleyについて関係者に聴くとき、彼らの仕草や目の動きに注目し、彼らの言葉の裏に隠されたその人の本性を探っていく。

そんな中、Lindaと離婚したHaleyの実父Bill Cookeが、娘Haleyは誘拐されたのではなく、義父Peteの暴力に耐えかねて家出したと主張するビデオメッセージを公開する。そしてそれに歩調を合わせたかのように、ビデオが公開された3時間後、Haleyが書いたと思われるメモが警察に届けられる。『自分は無事だから、探さないで!義父に暴力を振るわれるから帰らない』というメモが。
このメモは父親のビデオを見た後、書いたものと思われた。メモは彼女が書いた本物か?誰かに彼女が書かされた?例え強制的に書かされたとしても、Haleyがこのメモを書いたならば、彼女はまだ生きている可能性が高い!

Haleyは、その人間にとって公にされると致命的になる秘密を知ってしまったため誘拐されたと思われた。その秘密とは何か?そしてそれは誰か?Evelynは捜査の範囲を狭めるために、プロファイリングに全力をあげる。そんな彼女の身に危険が迫っていることを知らずに・・

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何時も言うけど、誘拐物は面白い。誘拐された少女が無事、救出できるのか?誘拐された家族、特に両親の苦悩に感情移入して、救出されて家族が喜ぶシーンを読むことを期待して、読むペースが上がる。
今回も母親の必死の思いが伝わってくる。また、この事件を通してEvelynも絶縁していた母親に対する思いを変えたようで、もう少しそこの部分を書き込んで欲しかった。

EvelynとSophia、2人のコンビが良い。2人で色々な可能性について議論し、1つづつ消去していき捜査を絞って行く。事件関係者の中から誰を事情聴取するかを決めて、事情聴取した後、2人で聴取した内容が有益だったか討論して次の捜査方針を決める。前作は読んでないのでわからないが、次作からもこのコンビは続けてほしい。

プロットもクリスティーの作品を思わせる展開で面白かった。ただ、作品の中で誰かが言っているけど、ヒューマントラフィキングをテーマにしている割には、スケールが小さく迫力不足を感じた。

E-book(Kindle版) ★★★★ 384ページ 2016年12月出版 941円(2017年購入)

 


Brutality (Fina Ludlow book3) by Ingrid Thoft

2017-01-08 10:42:30 | 読書感想


ボストンの私立探偵Fina LudlowBobbi Baroneという女性から彼女の娘Lizが襲撃され意識不明の重態に陥っている事件について、犯人を突き止めて欲しいという依頼を受ける。

被害者のLizは、彼女の認知能力が人より低下しているのは、サッカー選手として活躍していた20年前の大学時代、試合中に受けた脳震盪の治療を大学側が適切に行わなかったことによるとして大学に損害賠償の訴えを起こすことを計画していた。Finaはこの事実に注目する。訴えられることに不満を持った誰かが彼女を襲った?

FinaはLizの大学時代のサッカー仲間やチームドクターだった男などから当時の状況を聞いたり、訴えられることにより不利益を得ると思われる大学関係者に会いに行く。また彼女の職場での人間関係や近隣との関係で彼女に敵意を持っている人物がいるかの聴き込みも同時に始める。さらに、彼女はLizの夫Jamieが彼女の捜査に関心を持たないことに不審を感じ、彼についても捜査することを決心する。

会う人、それぞれがLizに殺すほどの悪意を持っている人はいないと証言するが、Finaは経験上から誰にも悪意を持たれない人はいないことを知っていた。やがて彼女はLizが訴訟を起こすことで不利益を得る人々が複数人いることや、彼らが最近、訴訟の件で彼女と会っていることをを突き止める。Finaは、彼らに焦点を定めさらに調査を進めて行く。

そんな中、Finaは彼女の行動を見張っている不審な車の存在に気付く。更に、事件を捜査している警部から呼び出しを受け、彼女が会いに行った事件関係者から苦情が来ていると言われ、捜査のやり過ぎを注意される。Finaはこのような動きは自分が行なっている捜査が真犯人に迫っている証しであるとして、自分の捜査方法に自信を持ちいっそう捜査に全力をあげる決心をする。

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Finaのキャラクターがとにかく魅力的。
祖母が住んでいた見晴らしの良い高級マンションに、祖母が亡くなった後 ちゃっかり移り住む。裕福な弁護士一家に育ったせいで、金の問題で悩むことない。ミステリーに登場する探偵は暗く、狭い事務所できつきつの生活をしているのを多く見かけるが、彼女にはそういう暗さがなくマイペースで余裕を持って探偵活動している。特定の恋人は作らず、二人のボーイフレンドとその場の雰囲気で恋愛関係を持つ。太ることを気にしながらもカロリーが高そうな物をパクパク食べながら事件を考える。

探偵として超優秀。警察がそんなとこから何も手掛かりを得られないと諦めているところからも、もしかしたらというわずかな可能性にかけて調査をして犯人に迫っていく。警察がすでに行なっていると思われる近隣への聴き込みも自ら行う、警察には話さなかった何か有益な情報を隣人が思い出す事を期待しながら…しかもそれが大変だという感じを与えずにさらりとやっていく感じが良い。

彼女の家族とのやり取りも楽しい。彼女の兄弟が暴力的な出来事に及び腰なのに対して、彼女が一番そういう問題に立ち向かっていく頼りがいのある人物になっている。家族間にあるトラブルも彼女が解決していく。

探偵小説としては面白いがミステリーとしてはちょと迫力不足なので★一つ減。

E-book(Kindle版) ★★★★ 448ページ 2015年6月出版 1703円(2016年購入)