一月、夜9時、恋人のKyleとデートしていたFBI、BAU(Behavioral Analysis Unit )所属のプロファイラーEvelyn Baineは上司からの緊急の電話を受ける。
1ヶ月前、 大学が休みに入ると人口1万人、大学の学期が始まると人口が3万人になる小さな町Virginia州Nevilleで、17歳の少女Haley Cooke が彼女が通う学校の校内で失踪する事件が起きる。
死体が発見されなかったことから、彼女は誘拐されたと思われた。BAUは見知らぬ人間による犯行としてプロファイルしなかった。しかし、今、『このメモを誰かが読むときは、自分は殺されている』と少女が書いたメモが発見され、犯人は彼女が知っている人物の可能性が高いとして、Evelynはこの事件の犯人のプロファイルを作成するよう命令される。
Haleyが行方不明になっている事件は、母親Linda Varnerの熱心な行動によって、毎日、マスコミに取り上げられていたので彼女の顔は誰もが知っていた。しかし、目撃情報は皆無だった。Evelynにとって17歳の美少女が行方不明になったこの事件、結末に明るい展望が見えなかった。
事件を捜査している刑事Sophia Lopez と会った彼女は捜査資料を検討して被害者のプロファイルを作成することから始める。彼女はHaleyが連れ去られた時、叫び声や争った跡がないことから、犯人は彼女の知り合いであった可能性が高いと考え、犯人のプロファイルを作成するにはHaleyの身近にいたすべての人に会う必要があると主張する。彼女はHaleyについて関係者に聴くとき、彼らの仕草や目の動きに注目し、彼らの言葉の裏に隠されたその人の本性を探っていく。
そんな中、Lindaと離婚したHaleyの実父Bill Cookeが、娘Haleyは誘拐されたのではなく、義父Peteの暴力に耐えかねて家出したと主張するビデオメッセージを公開する。そしてそれに歩調を合わせたかのように、ビデオが公開された3時間後、Haleyが書いたと思われるメモが警察に届けられる。『自分は無事だから、探さないで!義父に暴力を振るわれるから帰らない』というメモが。
このメモは父親のビデオを見た後、書いたものと思われた。メモは彼女が書いた本物か?誰かに彼女が書かされた?例え強制的に書かされたとしても、Haleyがこのメモを書いたならば、彼女はまだ生きている可能性が高い!
Haleyは、その人間にとって公にされると致命的になる秘密を知ってしまったため誘拐されたと思われた。その秘密とは何か?そしてそれは誰か?Evelynは捜査の範囲を狭めるために、プロファイリングに全力をあげる。そんな彼女の身に危険が迫っていることを知らずに・・
**********************************************************************
何時も言うけど、誘拐物は面白い。誘拐された少女が無事、救出できるのか?誘拐された家族、特に両親の苦悩に感情移入して、救出されて家族が喜ぶシーンを読むことを期待して、読むペースが上がる。
今回も母親の必死の思いが伝わってくる。また、この事件を通してEvelynも絶縁していた母親に対する思いを変えたようで、もう少しそこの部分を書き込んで欲しかった。
EvelynとSophia、2人のコンビが良い。2人で色々な可能性について議論し、1つづつ消去していき捜査を絞って行く。事件関係者の中から誰を事情聴取するかを決めて、事情聴取した後、2人で聴取した内容が有益だったか討論して次の捜査方針を決める。前作は読んでないのでわからないが、次作からもこのコンビは続けてほしい。
プロットもクリスティーの作品を思わせる展開で面白かった。ただ、作品の中で誰かが言っているけど、ヒューマントラフィキングをテーマにしている割には、スケールが小さく迫力不足を感じた。
E-book(Kindle版) ★★★★ 384ページ 2016年12月出版 941円(2017年購入)