気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

No Mercy by  Lori Armstrong

2013-09-22 10:38:01 | 読書感想

陸軍のスナイパーとして中東に派遣されていたMercy Gundersonは、牧場主の父親が亡くなったのを機に20年ぶりに退役し故郷South Dakotaに戻ってくる。彼女は遺言執行者として牧場の処分を任されていた。

幼い頃目の前で母親が馬に殺されるのを目撃した彼女は馬に乗ることも近寄ることもできなかった。
町の誰もが牧場経営に全く経験もない彼女は牧場を手放し、軍に復帰すると思っていた。しかし、彼女は秘密にしていたが目に負傷して前線に復帰することはかなわなかった。
彼女は代々受け継がれてきた牧場を手放さず、まだ15歳である妹の甥Leviに引き継がせる手段を探っていた。
     

そんなとき 牧場の一角で妹の息子Leviの友達だったインディアンの少年Albertの死体が発見される。その子の母親は、保安官Dawsonは被害者がインディアンである捜査にはやる気がないように見え、Mercyに息子を殺した犯人を捜して欲しいと頼む。父の時代から働いているインディアンの家政婦の再三の懇願に負けてしぶしぶMercyはその依頼を受ける。
     

 しかし、牧場の処理の問題や少女時代に事故で親友を射殺したことによるトラウマから今も情緒不安定な妹Hope、頻繁に補導される15歳の甥Leviなどの家族の問題の対応に忙しく、彼女はAlbertの死についての捜査を行う暇はなかった。
          

 一方、MercyがAlbertの死について調査をするという噂を聞いたDawsonは 彼の死は事故死の可能性が高い、例え殺人だとしてもMercyが調査を始めることは事態を紛糾するだけであるから事件に関与しないよう警告する。
      
そんな中、彼女の近しい人物が牧場の敷地で死体で発見される。二つの死体に関連があると考えて捜査を始めた彼女を威嚇するかのように、彼女の玄関先で3番目の犠牲者が発見される。
     

 犯人に対する恐れよりも怒りを感じたMercyは、保安官よりも早く殺人犯を見つけ自らの手で決着をつけるべく銃を懐に忍ばせ さらに積極的に捜査にのめりこんでいく。
      
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前半はやや退屈だけどMercyがやる気をみせて(?)捜査にのめりこんでいってからはおもしろく読めた。ただ、あまりにもとんとんびょうしに捜査が進んでいきすぎると思っていたら、とんでもない捻りがあってプロットはよくできていると思った
      

 今も軍隊時代の悪夢に悩みながらも、生き方も男としても尊敬していた父親のために、牧場と家族を守ろうと利権を求めて広大な牧場を手放させようと狙っている利権屋どもと戦う姿はどこか西部劇を思わせる。
      
      
問題は、このヒロインの性格だなぁ。 知りたい情報を得るためなら容赦なく相手を痛めつける。相手が女だろうが容赦しない。軍隊で鍛えた格闘技で大男でも手玉にとってしまう。タフでかっこいいと言いたいけどアル中気味なのと乱暴すぎる点で好感度が落ちる。ただ、彼女の孤独感、孤立感がどんどん深まっていくのを見るとアルコールに癒しを求めるのも仕方がないかとも思う。とりあえず、次作が出たら読んでみるつもり。
     
あと居留地に住むインディアンの差別問題がからんでくるが こういう問題は馴染みがないので戸惑ってしまう。最後はMercyが旅に出るところで終わる。他の作者に退役した軍人がアメリカを放浪して事件に出くわすというシリーズがあるが、二番煎じは嫌だけど、この居留地での事件からは遠ざかってほしいな。
      
  Kindle版 671円    ★★★  
     


And She Was  by Alison Gaylin

2013-09-08 09:36:11 | 読書感想

1998年Labor Day(9月の第一月曜日)、ニューヨークのTarry Ridgeという町に住むCarol Wentzは夫のNelsonLydia Neffという女性と浮気しているのではないかと疑っていた。その日も夫がLydiaと親しげに話しているのを目撃した彼女はLydiaの娘Irisに八つ当たりしてしまう、彼女はすぐに自分の行動を後悔するが、そのときは、少女は何処ともなく去って行った。その場所ばかりでなくその町からも。

以来、2009年の現在に至るまで、警察が捜査を断念した今も、自分の行動に罪悪感を感じていた彼女は秘かに探偵を雇い少女の行方を探し続けていた。また、ネットに行方不明の家族が悩みや不安を話し合うサイトを見つけ、彼女は少女の母親の名前Lydiaを名乗り、そのサイトに参加していた。そのChatの中で、彼女は会員の一人から行方不明者専門の優秀な探偵としてBrenna Spectorを推奨される。
そんな中 ある夜彼女は「あなたは私の母なんかじゃないわ、Carol。」という10代と思われる女性から匿名の電話を受ける。

Brennaは自分の見たこと感じたことをすべて記憶することができる能力を持っていた。幼い頃、Brennaは姉が何者かが運転する青色の車で連れ去られるのを目撃していたが、それ以来、姉は行方不明になっていた。今でも黙って姉が去るのを見守っていたことに悔いを持っている彼女は、行方不明者を捜索することを専門とする私立探偵を仕事としていた。

ラスベガスで依頼されていた行方不明者を発見し、一息ついているBrennaに電話がかかってくる。その声から彼女はその声の持ち主が1998年に話したことがあるTarry RidgeのNick Morasco刑事であることを思い出す。
Morascoは当時大々的に報道されたIrisという少女失踪事件の捜査責任者だった。Brennaは報道で少女が青い車に乗ろうとしたのを見たという目撃情報があることを知り、姉が連れ去られた青い車と関連がないか、この刑事に尋ねていた。
また、彼女は少女が失踪してから1ヶ月後の10月にこの地を訪れ、関係者たちから彼女の姉が連れ去られた青い車とこの事件との関連性がないかを調査していた。

10年前のことなど全く覚えていないMarascoは彼女とは初対面の口ぶりで、彼の管轄するTarry Ridgeの町で、5日前からCarolという女性が行方知れずになっているが 彼女の財布がかってIrisが住んでいた空き家から発見され、その中にBrennaの名前と住所が書かれたメモが入っていたという。

BrennaはCarolがどうして自分の名前をメモしていたか分からなかったが11年前に失踪した少女の家で財布が発見されたことに興味を抱く。

Carolの夫のNelsonは自分のPCで妻がBrennaのことを調べていることを知り、 Brennaに電話してくるが彼女が探偵であることを知ると、彼女に妻の行方を探してくれるように依頼する。
BrennaはCarolがネットで何を見ていたか調べ、Families of MissingというチャットにLydiaという名前で参加していることを知る、さらにチャット会員の仲間からここ数日Carolがチャットに参加していないこと、彼女が娘のIrisから電話があったと皆に報告していたことも。

なぜ、CarolはIrisの母親のふりをしているのか、彼女は11年前の事件と関係があるのか、Irisは生きているのか?情報を得るべくMarascoに電話したBrennaはCarolの死体が彼女の車のトランクの中から発見されたこと教えられる。
警察はCaroloの死体が彼女の車のトランクの中に隠されていたことや凶器がNelsonの持ち物だったことからNelsonが妻を殺したと疑っていた。
しかし、Nelsonは殺人を否定し、引き続きBrennaに妻を殺した犯人を捜査してくれるよう依頼する。その時、十代の少女からの「Carolが死んだのは自分のせいだ」という電話がある。Brennaはいたずら電話の可能性が高いと思ったがNelsonはCarolが探していたIrisだと断言する。

電話の少女はIrisか?BrennaはCarolが雇っていた探偵との連絡を試み、またCarolの通話記録を調べ、彼女とIrisが会った可能性を調べようとする。
そして、BrennaはCarolが何故Irisの家に行ったのかを調べるためにIrisの家に行くが、、暖炉の上に飾られた絵の位置が失踪当時Irisの母がTvインタビューを受けていた時と違っていることに気づく。絵を調べた彼女は絵の裏に何かが隠されていた形跡があり それが持ち去られていることを発見する。

そんな中、Brennaは青い車に乗った何者かが彼女の行動を監視しているのに気づく。

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自分が見聞きした過去のすべてを記憶することができる13歳の娘をもつバツイチ女性探偵。なかなかユニークなキャラクターで、その特技(?)が重要な手がかりを発見したりしてよくできている。
しかし、助手のキャラはちょと騒々しすぎて、二人のやりとりはイライラする。

また、現在と過去のフラッシュバックが頻繁にあって読みづらい時がある。特に、緊迫している場面でのフラッシュバックは興をそぐ。

しかし、読み進むうちにどんどん広がっていった謎が最後にうまく解き明かされていって結構おもしろかった。

★★★ Kindle版 ¥563円