気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Black Friday by Michael Sears

2014-12-28 10:44:32 | 読書感想

2013 SHAMUS AWARDS BEST FIRST P.I. NOVEL

Jason StaffordはMBAの同期の中で誰よりも早くManaging Directorになったと自負している。またMBAの同期の中で、不正会計処理を行ったことで刑務所に入った最初の男でもある。
2年間、刑務所に収監された後、仮釈放された私が先ず実行しようとしたことは別れた妻Angieと5歳になる息子と一緒に暮らすことだった。
私は不正な会計決済処理を行って架空の利益を計上していたが、いつの日か不正が発覚することを覚悟していた。そして私の取引にたいする疑惑が徐々にわきあがってくるのを察知した私は、当局にすべての財産が没収される前に、Angieと偽装離婚し、彼女と息子に財産の半分を渡していた。いづれこの問題が解決したら彼女に与えた財産の利息で3人で暮らしていこうと計画して。
しかし、当初、刑務所に収監された私を月に一度訪ねてきたAngieは8ヶ月前に会いに来たとき、息子が自閉症であることを明 かし、彼女に心を開かない苦悩や私が手助けしないことに不満を訴えた後、会いに来るのを止めた。そして息子と一緒にルイジアナに引っ越すとという葉書をよこしてから連絡もしてこなくなっていた。

私は、所内で自閉症に関する本を読み、出所したら、また、3人で暮らすことを夢見ていた。そして出所した私は、再び3人で 暮らすようAngieを説得するために、また何よりも息子と会うためにルイジアナに行く決心をする。
そんな中、Weld証券のCFO(最高財務責任者)Bill Stockmanから仕事の依頼がくる。彼によると数週間前に嵐のLong Island湾で船から転落死した会社の若いトレーダーBrian SandersについてSEC(証券取引委員会)が関心を示し、彼の取引に関する全帳簿を提出するようもとめてきたという。
何故、SECが彼の取引に関心を示したのか?Stockmanは、会社の監査部門にBrianが不正な取引をしていないか調査させたがおかしな取引は発見できなかったという。しかし、念のため私にBrianの取引についておかしな点がないかみてほしいと調査を依頼する。
裁判所から金融取引の仕事に就くことを禁じられている私は、トラックの運転手、清掃業など肉体労働などの仕事にしか就けないと思っていた。そんな私にとって金融関係の調査は今までの経験を生かした仕事であり、報酬も高額だった。私は思いがけない幸運に喜ぶが、息子と妻を呼び戻すために2、3日の猶予をもらうことを条件に仕事の申し出を承諾する。

私の生活は順調に再出発したと思ったが、現実は厳しかった。Angieは他の男と再婚してしまい、私は息子だけをNYに連れ戻した、いきなり暴れ出す自閉症の息子を一人で育てることに不安を抱きながらも、。
また、証券会社で調査を始めた私は、かって私が行った不正行為のため、協力を必要とする社員達から嫌悪の目で見られ調査に非協力な彼らに苛立ちを感じる。
そんな中、Brianの取引を調べた私は、彼が去年までは大した業績を上げていなかったのが、今年になって突然、群を抜いた業績をあげはじめた不自然さにに気づく。その点に注視して取引を精査している時、私は何者かに尾行されているのに気づく。さらに調査対象の男の同僚が自殺する事件が起きる。私は彼の行った取引の背後に大きな陰謀の存在を感じ始める。

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どうも経済用語が多くてどのような不正があったのかよくわからない。そのため犯罪の手口がよくわからなかった。また、父子
の関係があまりにうまくいきすぎて、自閉症の子供を育てる難しさ、Angieが息子を愛していながらも一緒に暮らすことができ
なかった苦しさ、が伝わってこない。新人賞を取った作品だが なんども途中で読むのを断念したくなる作品だった。僕には英
語が難しかった。

Jasonは交渉力が肝心であると考えているように見える。自分がやったことを反省しているかどうかを見ると、自分の不正行為
で人が死んでいるわけではないと考えて、自分では反省していると言うが、不正行為を反省しているよりも捕まったことを反省
しているようにみえる。
自分は証券マンという自負をもっており、どんなときでも自分に有利に物事をもっていこうと交渉する。善悪よりも、どう立ち
回れば自分にとって利点があるか考えて行動ているようにみえる。

ミステリーには主人公の犯罪に対する怒りがあるのが普通だと思うのだが、この本ではそれを感じることができない。物語の終
わり方も好みではない。

★★ 341ページ


A Bad Night's Sleep by Michael Wiley

2014-12-21 09:39:31 | 読書感想

俺の名前はJoe Kozmarski。シカゴに事務所を置く元警官の私立探偵。元警官というと組織の中で働くことを嫌って探偵を開業したと思うかもしれないが、俺の場合、警官を首になって探偵を始めた。パトロール警官だった俺は、当時、酒とドラッグに溺れていて、酒と薬でハイになった状態で勤務に就き、パトカーを新聞の売店に突っ込むでしまった。

いま、俺は、11月の寒い夜、建設会社から依頼され、このところ頻繁に起こっている建築現場からの建築資材の盗難を防ぐための見張りをしている。深夜3時、ウトウトしていた俺は車の近づいてくる音に目を覚まし、とんでもない光景を目にする。
なんとパトロールカーに乗った警官が泥棒の手先となって仲間を呼び、建築資材を盗んでいる。そして俺の110番通報によって駆けつけた警官たちと泥棒たちの銃撃戦が始まる。しばし、事態を静観していた俺は、駆けつけた警官達に泥棒の手先となった警官が銃口を向けるのを見て彼を射殺する。犯罪者の片割れとはいえ、警官を殺したことに後味の悪さを感じながら。

警察は俺が警官を殺したということで3日間俺を拘留したが、殺した警官は泥棒の一味だったという俺の主張を認めて釈放する。
3日ぶりに釈放された俺は、警察は窃盗団の一味に悪徳警官がいたことを発表することなく、銃撃戦で死亡した3人の警官は、皆善良な警官だったと話していることを知る。そして、その善良な一人を俺が殺したとマスコミが報じたことで、俺は警官殺しとして警官達ばかりではなく多くの市民から敵意の目を向けられる。釈放された俺は、警官殺しということで仕事も激減、また 警官と思われる男達に尾行され、いきなり銃弾の脅しを受ける。


ビビった俺は行方をくらますことを考える。また恐怖から逃れるため、昔の酒と麻薬に溺れていた頃の習慣に惹かれていく。
そんな時、俺は友人で元同僚だった警部のBillから呼び出される。彼は警察官の不正を捜査する部門に所属している。
Billは俺に警察学校の同期だったEarl Johnsonの名を挙げ、彼が今回の窃盗事件の首謀者であると言い、彼の下に8人の警官が窃盗品の故売や売春業を行っていると話し、俺に彼らの仲間に加わって、その組織を公にすることなく壊滅させる手助けを要請する。
その要請を受けるかどうか考える間もなく、署を出た俺は以前に俺に銃弾を発射して脅した二人組の警官に捕まりボスと会うように言われる、俺の家族の安全を人質にして。奴らは俺が事件現場にいた他の男達について証言しなかったことを評価して、俺を仲間に加えることを決定する。ただ、リーダーのJohnsonは仲間に入れることは認めたが俺を信用していないとはっきり言う。俺はBillから渡されたJohnsonに対する資料を参考にして彼の厳しい疑惑の視線を感じながら、奴らを壊滅させるための罠をしかけていく。バレたら命はないことを肝に銘じながら。

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物語冒頭の銃撃戦に始まり、いつ潜入捜査がばれるのか緊張感を持った展開が進み読むのを止められない。

僕の好きな一人称で物語が進む探偵物。とぼけたキャラが良い。窃盗団の警官からボスに会えと言われると、こっそり裏口から逃げ出したり、なぜ、自分達の名前を警察に話さなかったと問われると、誰も彼に尋ねないからだとつぶやいたり・・探偵はタフな奴と思っていると恐怖や心配ごとを忘れるために酒を手にする、しかし、昔の失敗を思い出してそこで酒瓶を割ると思いきや、エイやと飲んでしまう。窃盗一味の仲間から、東欧系の美女を一晩の相手として紹介されると、最近よりが戻っている元妻のことを考えて断るが、そのあと断ったことを後悔する。なんとも人間的なキャラが魅力。

プロットもすごくよくできていて、最後にとんでもない仕掛けがあってびっくり。おもしろかった。

★★★★ Kindle版 256ページ 

2012年  SHAMUS AWARDS BEST HARDCOVER P.I. NOVEL

 

 


Three Weeks to Say Goodbye by C.J.Box

2014-12-14 10:15:51 | 読書感想

Denver市で観光局に勤めるJack McGuaneと妻Melissaの夫婦は子供を持つことが長年の夢だった。そして9ヶ月前、養子斡旋所 の紹介で、生まれたばかりの赤ちゃんを養子にすることでその夢を実現する。
Angelinaと名付けた娘は愛らしく育ち、今では片言でパパ、ママと言うようになり二人は子供を育てる幸せに浸っていた。だが 今、その幸せを奪う事態が起きる。

彼らは、養子縁組み時、母親からは親権放棄の署名を得ていたが父親である18歳の男からは署名を得ていなかった。しかし彼に会った斡旋所の女性から彼も親権放棄に同意していると言われていた。さらに、親権放棄の同意がなくても養子縁組みが成 立できるように斡旋所は彼らの縁組みを公示し、一定の期限が過ぎれば実の父親の同意がなくても養子縁組みが成立できる措置 を講じていた。
だが、公示による養子縁組み成立の2週間前、突然、Angelinaの父親であるGarrett Morelandから親権の主張と養子縁組みの無効の要求が起こされる。
その知らせを二人にもたらした斡旋所の話によるとGarrettよりも彼の父親で裁判官のJohn Morelandが初孫になるAngelinaを引 き取ることに積極的で息子に親権を主張するように説得したと思われた。斡旋所やJakeの顧問弁護士によるとJohn Morelandは 連邦判事で法に熟知しているので彼らが訴訟に持ち込んでも勝つ可能性はなく、二人はAngelinaを手放すしか方法はないと話さ れる。
やがて息子のGarrettと二人のもとにやってきたJohn Morelandは、「突然、Angelinaを手放すのは辛いだろうから3週間待つ (three weeks to say goodbye)」と告げる。
ふたりは 娘に興味を一切示さないGarrettの様子から彼は父親には不適格だと直感する。与えられた3週間の期限内に友人の 助けを借りながら、彼らはGarrettは親権者として不適格だという証拠を探し出し、Garrettに親権を放棄させるべく行動を起こ す。

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何とも意味深なタイトルに興味を引かれてこの本を購入した。また、念願の子供を持ち、幸せの家庭を築いていこうとした時に
突然、その幸せの中心にある娘を取り上げられようとされている二人が、この苦境にどう対応して幸せを守るのか、ふたりがど
う行動するのか期待して読んだのだが・・・ちょと期待外れ。

このJakeの行動には賛同できない。悲嘆にくれる妻に娘を彼らに渡さないと言いながら、彼がそのために取った行動というと、
友人頼みに見え、もっと娘を守るために積極的に動いてほしかった。またプロットも暴力的すぎ、ちょっとそれではという納得
行かないところがある。

 363ページ Kindle版 690円

 


The Escape by David Baldacci

2014-12-07 11:15:29 | 読書感想

軍刑務所があるカンザス州の一帯が嵐で停電になる。軍刑務所内は瞬時に自家発電装置が稼働する.
しかし、突然、その自家発電装置がストップ、所内は闇に包まれる。そんな中、停電時、自動的にロックされるはずの房の鍵が
逆に解除され囚人たちが独房から出てきて所内は騒然となる。
事態を鎮静化しようとした看守たちは銃声音と爆発音を聞く。彼らは銃を所持しておらず囚人が銃を持っていると信じた彼らは
数分の距離にある米軍基地に支援を要請。直ちに駆けつけた軍によって事態は鎮静化したと思われた。だが 囚人の点呼を行っ
た時、囚人の一人、国家に対する反逆行為で終身刑を言い渡されていたRobert Pullerがいないことが発見される、彼の独房内
に囚人でも看守でもない身元不明の死体を残して。

陸軍の軍人の犯罪を捜査するCIDに所属するJohn PullerはOklahoma州での任務を終え自宅で一休みしているとき、上司のWhite
から兄のRobertが軍刑務所から逃走したと告げられる。そして、この件に関与しないように命令される。
Johnは兄のRobertが脱走したことを受け入れることができなかった。それは兄が有罪であることを証明することになるから。
Johnは兄が軍事裁判を受けていたとき海外任務についており、帰国したときはすでに終身刑が確定しRobertは軍刑務所に入って
いた。軍人であるJohnは兄を国家反逆罪で有罪とした軍の決定を尊重していたが、心の中ではPuller家の血筋には国家を裏切る
ような者はいないと信じており終身刑を宣告した軍の決定を疑っていた。それだけに兄の脱走はショックだった。

またアルツハイマーで判断力が欠落しつつあるが、陸軍の英雄として尊敬されている元将軍の父親がこの情報から受ける動揺を
心配してJohnは父親が入院している病院を訪ねる。そこで彼は 同様に父親を訪ねてきた陸将のRinehart、空将のDaughtrey
そしてNSCのSchindlerと出会う。
彼らはJohnにRobertは2年前の情報とはいえ核戦略や国家機密の情報を持っており、万一、彼の持っている情報が第三国に漏れ
た場合、国家の安全が脅かされるとして兄の行方を追っていた。彼らはJohnにRobertからの連絡の有無を聞き、連絡があった場
合、直ちに報告するように命令する。Johnは彼らが兄であるRobertの捜索を暗に彼に求めているように感じる。

そして、夜、彼は上司の命令に反して密かに兄の逃走ルートを探るべく事件が起こった軍刑務所に向かう。
翌朝、刑務所周辺で事件についての聞き込みを始めた彼のもとにMPがやってきて彼は病院であった3人の将軍たちが待っている
場所へ案内される。彼らはJohnに正式にRobertの捜索を行うように命令する、彼らに逐次報告することを要件に。
JohnはRobertが国家安全に関する機密情報を持っていることから彼は脱走したのではなくその情報を得ようとする何者かによっ
て誘拐された可能性を彼らに指摘する。

脱走犯の身内である自分が捜査することに疑問を感じながらも、直ちに調査を開始したJohnは停電時の自家発電装置の故障は、
脱走を手助けした共犯者による破壊行為であると推理して当時所内にいた看守全員を捜査対象にすることを決める。そして彼が
刑務所内の監視カメラの映像を検討していた時、Veronica KnoxというINSCOM(United States Army's Intelligence and
Security Command)に所属する女性が現れ、上官からの命令で彼と協力してこの事件を調査するよう命令されたと彼に告げる。
彼は Knoxは彼が兄と密かに連絡するのを監視するために派遣されたと考え不愉快に思うが、彼女とともに調査を行うことに同
意する。そして共犯者を探るべく看守たちの事情聴取を行っていく。
その夜、一人モーテルに帰った彼は、彼の部屋で空将のTim Daughtreyが銃殺されているのを発見する。Daughtreyは彼の調査
に関連して、また彼に対する警告として殺されたとJohnは確信する。

Johnは兄のRobertが軍事法廷で裁かれた反逆罪の罪状の中身が分かれば兄を捜す手がかりを得られると思い、非公開となってい
る裁判資料を得ようとする。出来得れば兄の無実を証明できることを期待して。

次いで、Johnは独房内に残された男の死体の検死に行き、男が殺された手口からその男は兄が殺したと断定する。Johnは、
DaughtreyとRobertはSTRATCOMに所属していたことに注目する、RobertはSTRATCOMの元幹部、DaughtreyはRobertの後がまの
STRATCOMの空将。彼は、独房内で殺されていた男は元STRATCOMの兄を殺すために所内に侵入し、逆に兄に殺されたと考え、二つ
の事件はどちらもSTRATCOMに関連した犯行と確信する。二つの殺人事件と大量殺戮兵器の調査、戦略を練るSTRATCOMとの関わり
を発見して、彼は兄の脱走の背後に大きな陰謀の存在を感じはじめる。
そんな中、Johnは兄の命を狙ったと思われるグループの男たちに銃を突きつけられ拉致される。拉致した男たちはこの事件から
彼が手を引くように要求する。そして、彼らの要求を頑なに拒否するJohnの態度に業を煮やした男の一人は彼の頭に銃を突きつ
け引き金を引こうとするが・・・。


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このシリーズ一巻目から読んでいる者としてはRobertがなぜ反逆罪などという罪を犯して終身刑を受けているのか気になってい
たが、この本でやっとそのことが取り上げられている。今回は、JohnだけではなくRobertも準主役となって自らの事件について
調査を始める。いままでRobertは刑務所に収監されていて自由に歩き回れない安楽椅子探偵として、面会に来るJohnに捜査への
アドバイスを与えるいうユニークな役割を果たしていた。その設定がおもしろいと思っていた僕としては、彼がまた刑務所に収
監されるほうがシリーズ上面白いと考えているのだが・・

Johnは相変わらず軍人魂に凝り固まっている。
上官やKnoxに身内である兄の捜査はやりづらいのでは、と問われると自分は軍人であるからRobertの所在を突き止めろという命
令を遂行するだけだと断言する。
しかし、兄の居所を突き止めたら迷わず軍刑務所に引き渡すべきかどうか?家族をとるか、軍の命令に従うか?心の中で葛藤す
る。Johnは兄に会ったらどうするのか、興味津々で読んでいった。

今回はRobertが持っている情報を巡っての争いで、情報機関は自国民にも嘘をつくことがあるとしてJohnも情報機関から派遣さ
れたKnoxを信頼して良いのかどうか、迷い、いらだつ様子が頻繁にある。


また、なかなか敵の正体が見えず、捜査が空回りしているようで読んでる僕もいらいら。だが、相手の正体が見えてからはクラ
イマックスに向かってどんどん盛り上がっていき、とてもおもしろく読めた。
また、Johnの終盤に見せる不器用さには思わず微笑んでしまう。

だが、STRATCOM、NSCなど多くのアメリカの国家情報機関などの略語が頻繁に出てきて読みづらかった、まぁ、それだけ国家機
関が多いというのは驚きでもあるけど。

★★★ 470ページ Kindle版