新しい外国人の日本応援団が表れたようです。アンドリュー・トムソンさんです。山岡鉄秀さん翻訳・監修の本を出してくれたようです。
宮崎さんが書評で取り上げてくれています。オーストラリア出身で、経歴は国会議員など多彩です。何と、今は日本に移住されているのだそうです。
何とも、心強い味方が表れたものです。とは言え、そうした方達を政府・外務省はに本の応援団として活躍して貰うという発想は無いようです。何とも勿体ないことです。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和三年(2021)3月24日(水曜日) 通巻第6839号
書評
オーストラリアが反中国に傾くまでの舞台裏では熾烈な諜報合戦があった
中国の脅しに屈せず、国益を守る教訓を日本は参考にすべきではないか
アンドリュー・トムソン著 山岡鉄秀=翻訳・監修
『世界の未来は日本にかかっている ーー中国の侵略を阻止せよ』(育鵬社)
近世の日本において、知日派の元祖は、ザビエルとかフロイスになるだろうか。江戸時代の知日派元祖はウィリアム・アダ ムスこと、三浦按針だろう。
幕末の知日派は毀誉褒貶もあるが、フィリップ・フランツ・シーボルトが飛び抜けている。爾後、陸続と日本にやってきた 欧米の外交官たちは優れた日本観察を残した。もっとも優れた作家はラフカデル・ハーン(日本名=小泉八雲)だ。
戦中、戦後は極端な色眼鏡で日本の悪口を書き続けた外国人ジャーナリストが夥しかったが、日本文学の源流から日本文化 を理解し、広めた功労者はハーバード・パッシン、エドワード・サイデンステッカー、ドナルド・キーンらがいる。親中派だ が知日派でもあったエズラ・ヴォーゲルも、この仲間に入れて良いかも知れない。
そして現在、日本語を流暢にあやつり、日本の味方を鮮明にする外国人評論家には、英語で初めて三島由紀夫評伝を書いた ヘンリー・スコット・スト-クス、モルモン教の布教活動で日本にやってきてタレントとなったケント・ギルバード、麗澤大 学のジェイソン・モーガンらがいる。
この戦列に新らしい論客がオーストラリアから加わった。
しかも中国語、アラビア語、そして日本語を流暢に操り、そのうえ元豪国会議員であり、あまつさえ豪政府の五輪担当大臣 をつとめ、国際経験が豊かで、日本に移住し、日本の歴史の現場を訪ね歩いてきたオーストラリア人論客の登場である。
なにしろ佐賀県呼子の西にある名護屋城跡にでかけて、秀吉がなぜ朝鮮半島に攻め入ったかの歴史的な意味を考えるのだ。 名護屋城の規模から巨費が投下された理由を考えれば、明らかにキリスト教の侵略を防衛する予防戦争だったことがわかるだ ろうが、トムソン氏は、現場に立って、そのような分析にいたるのだ。
アンドリュー・トムソン氏は、中国にも赴任した経験があり、苛烈な豪中貿易に最前線にいた。中国人との付き合いも豊富 で、やがて気がつくのだ。中国人はビジネスが究極の狙いではなく、間接侵略のための尖兵であることに。
現実を見れば、夥しい豪の政治家、ジャーナリストらが中国の賄賂漬けに浸って、ひたすら親中路線を驀進して、国益を損 なっていることに気がついた。まさにサイレント・インベーションが着々と進んでいた。
歴代豪首相のなかでも、飛び抜けての親中派は、外交官出身のラッド元首相だが、当然、トムソン氏は彼とも付き合いがあ り、また親中派から反中派に転向せざるを得なくなったターンテーブル前首相が、なぜ親米、親日、反中のアボット元首相を おいやったのか。私たちが知るよしも無かった豪政界の舞台裏を活写する。
ラッド元首相はオバマ政権下で緩慢にすすみつつあったアボット首相(安倍首相と昵懇の中だった)を横に見ながらクアッ ド(日米豪印の軍事同盟)構想の原形を積極的に壊した。
ラッドは国益を度外視した親中派だったが、いまは米国に移住したという。
若い上院議員で饒舌家だったダスティヤリは「オーストラリアは南シナ海での中国の行動に干渉してはならないと述べまし た。これは、労働党の中核的な外交政策に対する明らかな矛盾でした」
背景にあったのは「黄向墨という中国の不動産ビジネスマンが、ダスティヤリの借金を肩代わりして法律事務所に支払い、シ ドニーの労働党事務所に多額の現金を寄付していた(中略)。黄は明らかに中国共産党の統一戦線工作部の工作員」だった (40p)。
ようやく豪にモリソンという、まともな政権が再生し、日豪米印のクアッドが共同軍事演習を展開できるようになった。
以後の問題のひとつは「英国が中国を封じ込める目的でクアッドに英国海軍を参加させるか、どうかです」と言い切る (180p)。
日本の視点だけで世界情勢を見る限り、この発想は浮かんでこないだろう。
なにしろ日本における中国のサイレント・インベーションは豪どころではない。脳幹が侵された日本の政治家たちは国を売ろ うとしているのではないのか、と日本滞在の長い知日派から見れば、日本の対応は異常に映るのだ。
欧米を「毒殺」したリベラリズムという名前のネオ・マルクス主義は、キャンセル・カルチャーを産んだ。
アメリカの分断は「かれらの」思う壷であり、中国の対米戦略は、この米国の左右対立、キリスト教的価値観と左翼の歴史否 定勢力の鮮烈な分裂を巧妙に衝く。
現在、展開されるアメリカ政界の分断は民主主義を信奉した西側全体の危機でもあるとトムソン氏は鋭角的な指摘をしてい る。
何とも凄い経歴の方ですね。こんな人がおられたとは全く知りませんでした。やはり、こうした本当に日本を理解してくれている方達を世界広報で活躍して貰うべきでしょう。
兎に角、今の外務省は自虐史観に犯された優等生が跋扈して、日本の為に働くという気概が感じられません。
まずは、トムソンさんのような応援団に教育して貰う方が先かもしれません。
こういう応援団はうれしい!
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