アフガニスタンには豊富な資源があるとは聞いていましたが、どうやらその量は想像以上のものがあるようです。
宮崎さんが詳しく書いてくれて今す。これはチャイナが狙っているのは間違いないでしょう。
それを狙って泥沼に入り込んで崩壊のきっかけになることを期待します。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和三年(2021)9月10日(金曜日) 通巻第7047号
スマホもIC開発競争も、レアアース争奪という側面がある
ミネラルリッチは皮肉にもアフガニスタンなのだ
アフガニスタンはミネラルリッチ、オピュームリッチの国である。スマホ部品、IC基盤材料に欠かせないレアアース、現代工業の最高精度を高めるためのレアメタル。これらを血眼になって求めているのが工業覇権国だ。
タリバンが支配することになったアフガニスタンは、殆どが山岳地域ゆえに鉱物資源が豊富で、銅、レアメタルに恵まれており、クロマイト、石炭、金、鉄鉱石、鉛なら基礎資源に加えて、天然ガス、石油もでる。貴石、宝石が含まれ、エメラルド、ラピスラズリ、ガーネット、ルビーなどは業者の垂涎の的となっている。
とりわけ世界の産業が必要としているのはEVのための電池材料リチウムである。アフガニスタンに豊富な埋蔵がある。最大の鉱山がメイ・アイナク(「ささやかな銅の泉」という意味)鉱山だ。首都カブールの東南30キロの岩石地帯、周囲は砂漠化した不毛の荒野に近いが、地下には凡そ1140万トンの銅鉱石が眠っている。
ハイテク産業は、これらの地下資源に注目をしている。
はやくから手をつけていたのが中国で、2012年に開発を開始していた。開発権を落札したのは中国の二社(中国冶金科工集団と江西銅業)で、開発権は30億ドル。このうち2400万ドルが手付け金で支払われ、中国から鉱山開発関係のエンジニアなどが投入された。
異常事態が発生した。
第一は治安の悪さだ。2014年に中国人エンジニア8名が殺害され、警備に問題があること。中国人技術者を守るのがアフガニスタン政府警察で、その給与の半分は日本の援助資金から廻されたことも問題となった。
第二はインフラ整備の難しさである。中国は道路建設と鉱石運搬のための鉄道建設を約束し、それらを支える発電所建設も入札条件に含まれた。これらのインフラ整備はまったく手つかずのままである。
第三が採掘現場の多くが、仏教遺跡の地下に位置し、欧米ならびに国際機関は、これら仏教遺跡の発掘と保存が先行するべきだと主張した。仏教遺跡は紀元前から四世紀の大規模な仏教都市とされ、実際に一部は発掘され、夥しい仏教の文物、彫刻などが出土した。
バーミャンの石仏をミサイルで破壊するタリバンにとって、これらは破壊の対象であり、ここで国際社会と意見が対立した。
中国は2018年に開発を中断した。こうした経過から、再開発には慎重な態度をとるのが、じつはタリバンと協力すると豪語している中国の姿勢であり、タリバンは喉から手が出るほどに欲しい外貨のために、中国の再開発を督促するという構図に成っている。
タリバン政権は、事実上の「タリバンニスタン」であり、彼らはパシュトーン人主体だからウズベク、ハザラ、タジク系、カザフ系を排除している。だから別名「パシュとニスタン」とも言えるだろう。
ロシアの『プラウダ』が書いた。「一帯一路プロジェクトに巻き込んで鉱山開発などを前進させると口だけのこと、治安の回復がない限り、投資が無駄になることくらいは中国も認識している」(2021年9月9日)。
紛争地帯にこうした資源があるというのも何かの皮肉なのでしょうか。いずれにしても、これを狙った争いが激しくなるのは間違いないでしょう。
願うのは、それがチャイナの崩壊に繋がることです。