第五話
『すべてが終わる・・・衝撃のラスト!!
舞台上まさかの号泣』
梢平から一弥の二股を聞かされた恭之助は
一弥の元へ行き殴りつけた。
「言ったよな! あやめのこと傷つけたら許さねえって!!」
「僕も言ったはずです。
あやめちゃんとの約束を果たすためなら、どんなことでもすると。
名門の御曹司でもない雑草が上を目指すには、
なり振り構ってはいられないんですよ。」
「おめえが何目指してんのか知らねえけど、
それとこれとは話が別だ!!」
「ケジメはつけます。」
「どうつけるっつ~んだよ。」
「あなたに言う必要はない。」
「あやめは俺が守る!! おめえなんかに絶対渡さねえからな。」
翌朝、恭之助と春彦。
「一弥が二股ねぇ。」
「あやめを守るには一弥から引き離すしかねえ。」
「頑張るね、恭ちゃん。」
そこにあやめが来て声をかけた時、一弥からメールが届く。
携帯に反応する恭之助に、ヒロくんがくれたと浮かれるあやめ。
それを知り、あやめと一弥が近づいているのを感じ、
なんとかしないと焦る恭之助。
「バカはバカなりに考えるね~。」
「なんだと~この!!」
恭之助が春彦の首を絞める。
そして何か閃いた!!
恭之助はあやめの元へ行き、バイトをしないかと持ち掛ける。
その頃、一弥は桜ヶ丘劇場の杮落としの公演の
若手選抜メンバーに選ばれたと咲五郎から聞く。
演目は『加茂堤』。
主役は完二郎で一弥は相手役・苅屋姫だと。
一方、家にあやめを連れて行った恭之助。
あやめに家庭教師をしてもらうよう。
部屋に行こうとした時、世左衛門と会ったあやめは大興奮。
電話が鳴っているのにも気づかなかった。
世左衛門とシズ。
「二人きりにして、大丈夫でしょうか。
あいつ・・・善からぬことを考えてる気が・・・」
「善からぬことしか考えてないでしょう。」
「やっぱり。」
部屋では勉強を教えてもらっていたが、
案の定善からぬことを考えていた恭之助。
しかしシズが邪魔に入り事なきを得た。
あやめを送って行く恭之助。
世左衛門に会えたことを興奮気味に話すあやめ。
舞台で見るのとは違い、いいお父さんそうだと。
「どこが? あの人は歌舞伎の名門、
河村家の名誉と伝統を守るためだけにいる。
どんな時でも、家が、名前が、そればっかり。
父親だなんて思ったことねえよ。」
「そっか。 河村くんも寂しい思いしてきたんだね。」
「お前もひとりで頑張ってんだもんな。 つえ~よ。」
ホントのこと言うと偶に辛い時もある。
そんな時はデパートの屋上に行くとあやめ。
元気の出る場所だと。
「辛いことあったら、俺に言え。」
「えっ!?」
「この恭様が聞いてやるっつってんだよ。 ありがて~だろ。」
「うん。 ありがと。 けど、今は幸せだから平気。」
「そう・・・」
あやめがアパートへ帰ると一弥が待っていた。
杮落とし公演のことを話す一弥。
あやめは実力が認められたことだよねと喜ぶ。
一弥は自分がもうちょっと稼げるようになったら、
一緒に暮らさないかと提案。
あやめのことは自分が守ると。
浮かれてるあやめの元へ恭之助がやって来た。
そこで一弥が劇場の杮落とし公演の
若手選抜メンバーに選ばれたことを聞き、
自分は選ばれていないことにショックを受ける恭之助。
「真面目に努力してれば、見てる人は見てくれてんだね。」
「どうだか。 お前はなんも分かっちゃいない。」
「あたしが何を分かってないって言うの?」
「分かってねえから分かってねえっつってんだよ!!」
そう言い去って行く恭之助。
道で一弥に会った恭之助。
「杮落とし、出るらしいな。」
「ご一緒出来なくて残念です。
それから、一応お伝えしておきますが、
今度の公演が終わったら、僕は澤山家を出るつもりでいます。」
「えっ?」
「あやめちゃんとは、いずれ一緒に住む約束をしました。
もうご心配頂かなくても大丈夫です。
ここからは、彼女と二人で夢を掴みに行きます。」
恭之助は春彦とカラオケに。
荒れている恭之助。
「恭ちゃんさ、いい加減諦めたら? 千葉のこと。
っつ~かさ、一弥に負けたって認めたくなくて
意地になってるだけなんじゃないの?」
その言葉に怒った恭之助は春彦に掴みかかって喧嘩に。
店員が入ってきて止めに入るが、突き飛ばしてしまう。
家に連絡が・・・
咲五郎に不動産屋にいたそうだなと聞かれた一弥。
咲五郎の妻に見られていた。
今度の舞台が終わったら一人暮らしをしたいと考えている。
一度は自活し、社会勉強をするのも役者として必要かとと。
稽古は疎かにするつもりはないと許しを請う一弥。
その話を聞いていた優奈。
恭之助を迎えに来たのは世左衛門だった。
そのことに驚いた恭之助。
一緒に頭を下げてくれた世左衛門。
「シズさんが来ると思った。」
「私はお前の父親だからな~。 お前にも色々とあると思うが、
無駄な喧嘩をするパワーがあるなら芝居にぶつけろ。
このバカ息子が。」
あやめと会う一弥。
一弥は物件情報をあやめに渡す。
そこへ梢平が姿を現した。
「彼女?」
「はい。」
「へ~。 っつ~かお前さ、轟屋のお嬢さんがいながら、
これはマズイんじゃないの?
お嬢さんのお陰で今までの主役だってもらえたようなもんなのに。
俺が何も知らないとでも?」
「何言ってるんですか? そんなことある訳―」
「俺間違ってねえよな~、一弥。」
何も言い返せない一弥にあやめはショックを受け、
その場から走り去ってしまう。
追いかけ、話を聞いてくれと言う一弥。
「今の話、本当ってことだよね?」
「弁解はしない。
だけど、だけどあやめちゃんへの気持ちに嘘はない。
だから澤山家も出ようって決めたんだ。」
「・・・・・幻滅したよ。 ヒロくんには。
そもそも、10年前の約束とか無理があったんだよね。
二度と会いに来ないで!」
あやめのバイト先に来た恭之助は、
千晶から休んだことを聞いた。
バイトを休むなんてよっぽど具合が悪いのかもと言われ、
慌ててアパートへ走る恭之助。
しかしアパートにはいなく・・・
前に言っていたデパートの屋上のことを思い出し、
手当たり次第探す。
そしてあやめを見つけた恭之助は声をかける。
どうしたの?と聞かれ、偶々通りかかったと。
「こんな場所、偶々通りかかる訳ないでしょ。」
「バイト、休んだって聞いたからさ。」
「そっか。 河村くんは知ってたんだよね。 ヒロくんのこと。
だから何も分かってないって。」
「やっぱり聞いてたか。」
「でも大丈夫。 もう吹っ切れたから。」
自分が側にいてもヒロくんの望むものを
与えてあげることは出来ないからと、邪魔したくないとあやめ。
「お前はそれでいいのか?」
「ヒロくんの夢はあたしの夢。 それは今も変わらないからさ。」
「お前さ、俺の前では、無理して笑わなくていいから。
辛い時は、聞いてやるって言ったろ?」
「河村くん、やっぱりそういうのはもっと
大事な人に言った方がいいよ。
あたしなんかに言ったら勿体無いって。」
「あやめ・・・」
「っていうか、あたしも今まで
河村くんには甘えすぎたなって反省してるんだ。
こんなとこまで来てもらってごめんね。
あたしホントに大丈夫だから。 じゃあね。」
帰って行ったあやめ。
「俺じゃあ・・・ダメってことか・・・」
稽古中、完二郎に気持ちが入ってないと注意される一弥。
そして稽古後、一弥にしっかりしろと完二郎。
色々大変だろうけどと言われたが、
なんのことか分からなかった一弥。
完二郎に優奈と婚約も近いんだろと言われ驚く。
その頃、恭之助も一弥と優奈の婚約のことを聞いた。
そもそも今度の公演も、一弥が澤山家の婿養子として入って、
名跡を継ぐことを前提として咲五郎が根回ししたらしいと。
話を聞いた一弥は呆然。
「実力なんかじゃ・・・なかったんだ。」
梢平と優奈。
今度こそ別れたはずだと報告する梢平。
役のことは咲五郎に頼んでおくと言った優奈に、
お嬢さんが欲しいと梢平。
そして優奈が自分に頼んだことを
一弥が知ったらどうなるかと脅し、関係を持った2人。
杮落とし公演を観に来た恭之助は一弥の楽屋へ行く。
「どうだ、調子は?」
「恭之助さん・・・あやめちゃんには振られました。」
「知ってるよ。」
「笑いに来たんですか?」
「見届けに来たんだ。
お前があやめを傷つけてまで掴もうとしたものをさ。
いいか、あやめにすまねえって気持ちがちょっとでもあったら、
今日の舞台、何がなんでも成功させろ。
じゃなきゃ、マジでお前を許さねえからな。
悔しいけど、あやめの夢を叶えてやれんのは・・・お前だけなんだ。」
公演の幕が上がり、舞台が進む中・・・
『集中しろ。 この舞台は成功させなくては。
あの日から10年、漸くここまで辿り着いたのだから。
だけど、あの拍手も、この舞台も、
僕が自分の力で掴んだものじゃない。
僕には何もなかった。
ただの、思い上がりにすぎなかったんだ。
それだけじゃない。 僕は・・・僕は・・・一番大切な人を失った。』
公演中、舞台上で堪えられなくなり泣いてしまった一弥。
ちょっと一弥が可哀想になってしまった。
まぁ、そもそもお嬢様に手を出したのがいけなかったんだけど、
梢平と優奈も大概だよね(-_-;)
あの2人、えげつないわ~。
そしてまた恭之助の株が上がると(笑)
しかし公演中にあんなことになって、
どうなっちゃうんだろうか・・・
収拾つくのか? いや、つかないよな・・・
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