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函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

男の背中

2012年11月01日 13時31分56秒 | えいこう語る
風が強く雨も降った翌日の月曜の朝、結構な冷え込みだ。
外に出て後ろの山を見ると、紅葉が麓まで一気に駆け下りている。
店の定休日なので、夕方、久しぶりに縄文露天風呂へ。
谷間の上を走るバイパスからの眺めは,あと一週間するとピークになるだろうというような、見事な「紅葉美術館」だ。
北海道初の国宝「中空土偶」が、3,500年も眠りについていたこの地で、露天風呂に浸り遥か縄文時代にタイムスリップする幸せは、自然への感謝と共に、精神の浄化もさせてくれるのだ。


突然、背中にかゆみを覚えた。
先日肩こりがして、妻にサロンパスを張ってもらったのに気がついたのだ。はがそうとしたが老体ゆえ、手が届かない。
そこに温泉の温度を測る30代の女性がやってきた。
「お姉さん、背中に張っているが手が届かないので、はがしてもらえない」とお願いすると「何も張っていませんよ」という。
「肌色のものだから良く見てちょうだい」と、さらにお願いする。
「お客様、なにも張っていませんよ、きれいな背中ですね」とにっこり笑い、去っていった。
そういえば昨日出がけに、はがしたのに気がついたのだ。
しつこいジジイだと思っても“きれいな背中だ”なんていう愛情あふれる言葉に、縄文時代の女性はこんな心優しい人が多かったのかもしれないと、身体も心もあったかくなってしまう露天風呂だ。
そして、こんな思い出がよみがえってきたのだ。
ずいぶん前のことだが、この露天風呂に50代の男性が入っていた。背中は総入れ墨だ。しかし周囲の紅葉にその入れ墨は、何んとも見劣りがし、後ろ姿が妙にさみしく思えたのだ。
数年後その男性が、病死したと聞いた。
そんな彼も、お盆の時は、この温泉に入るのを楽しみにしているに違いないと、ふとそんなことも思わせる、秋深まる山の中の縄文露天風呂である。


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