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函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

ふるさと創生資金覚えていますか

2007年09月06日 16時03分47秒 | えいこう語る
1988年の竹下内閣時代、地域活性化の目玉事業として、全国の市町村に使い道自由の1億円が一律に交付された。
行政や議会ばかりにマチづくりを任せるのではなく、住民参加型のマチづくりを提唱しようという目論見だった。純金こけしや自由の女神像、金のしゃちほこや直径10メートルの水車など、全国各地に様々なアイディアが出たようだ。
私はその頃、北海道のマチづくりに係わっていたので、ふるさと創生事業の所轄である、旧自治省の担当者と話す機会があった。
私は、地域の行政や議会の実情は、今までの補助金行政に慣らされて、新しいものに挑戦すると意識が希薄であるし、1億円もの自由なお金を手にすると、逆にマチづくりが混乱すると言うようなことを主張した。
担当者は、地域間の競争意識を高め、地域の活力を生み出すと言うようなことを話していたが、お互いの主張には、中央と地方の意識の微妙なずれがあり、平行線だった。
さて私の村の場合である。一般会計予算24億円程度の中で、紐付きでない1億円である。
行政担当者のほかに民間から選ばれた10数人でプロジェクトチームを作った。その中に私もいた。住民アンケートを実施した結果、全国的にも知れ渡っている、海岸に湧く露天風呂を大規模に改造し、日本一の露天風呂にしようとの壮大な計画がまとまった。
この露天風呂は、鎌倉時代に法華宗の高僧がこの湯を発見し、この地から唐の国へ日本初の海外布教を目指し、船出したと言う伝説の温泉である。(海岸に湧き出るというのは、全国でも8箇所ぐらいしかないらしい)
唐の国に渡った法華の上人にちなみ、渡唐法華から村の名前が、椴法華(とどほっけ)になったとの謂れや、法華の上人が、或る魚を大漁させたことから、その魚をホッケと名付けたことなどの資料集めもした。
しかも函館空港から車で40分程の近距離である。高山植物が群生するツツジで有名な恵山もあり、温泉が豊富な土地である。前浜は日本有数の恵山魚田が控えている。テレビでは相変わらずグルメと露天風呂ブームが続く。
まずは日本一の露天風呂を整備し、そこから新たなマチづくりのスタートにしようではないかと、プロジェクトチームも勢いづき、村長に答申した。
リーダーである担当課長が「住民の意見を取り上げ、充分に考えた結果です」と報告する。
横にいた私が口を挟んだ。「住民参加型のマチづくりの第一歩です。たとえ議会の反対があろうとも、断固として推進していただきたい」
しかし議会はみごとに無視し、7,000万円で、土地を買い、2,000万円は人材育成基金、後の1,000万円は、マチづくり計画をコンサルタント会社に丸投げした。
住民の意見を無視した理由を聞いても、議会がダメだと言ったからとそれっきりになってしまった。
それから十年程して、小学生と村長が語る会があって、子供たちから露天風呂を整備してくれとの要望があったからといって、4,000万円で風情など微塵も感じられない、露天風呂を作った。さらに波よけだといい、4億円もの岩の形をした人工物を海の中に作った。どう見て税金を海に捨てたとしか思われない。
あの時、ふるさと創生資金は、各自治体の行政能力が問われる事になるだろうと、私たちは様々な集まりで話していたが、他のマチもどんぐりの背競べで、温泉を掘ったというのが一番多かったと聞いている。
私の村は、平成16年12月1日。国からの仕送りが少なくなり、このままでは財政が破綻すると言って、近隣3町と一緒に自治権をあっさり放棄し、函館市に吸収合併された。
議員は全部辞めてしまえとの住民の声をふり切って、全員が市会議員としてなだれ込み、80数名のマンモス議会になった。
「北海道なのに、何でキュウシュウ合併なの?」と叫んだが、笑い話にもならなかった。
9月6日付の朝日新聞に、ふるさと創生資金の記事が載っていた。
もし日本一の露天風呂が出来ていたら、合併しなくても良かったのではないかと、何度も思ったが、今となっては後の祭りである。
皆さんのマチでは、1億円を有効に使いましたか?


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (うたのすけ)
2007-09-07 15:40:59
今更なんですが、ふるさと創生資金とは市町村の市とか町あるいは村のどの単位で振舞われのですか。
それはともかく提案です。1億円はかくのごとく遣ってかように成果を挙げているといった、全国コンクールを開いたらいかがでしょう。
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Unknown (■かわぐち えいこう)
2007-09-08 10:13:46
当時の約3,300の市町村に支給されました。
ちなみに函館市は、烏賊のマチというので、1億円に2,000万円ほどプラスして、烏賊のモニュメントを作りました。30万の市民で、この存在を知っているのはおそらく1割はいないと思いますよ。無駄遣いです。やった後の成果を公表すれば、役所が傷つくと思ったからではないでしょうか?
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