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函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

初出漁・危うく転覆の巻「漁師見習28」

2009年07月17日 15時55分11秒 | えいこう語る
昨夜函館から帰ってきたのが午後10時過ぎで、少し飲んで就寝が0時近かった。
4時少し前に電話が鳴った。船頭さんの奥さんからである。
「今日は天然昆布の漁があるようなので、外で待っていてください」とのことである。
昨日、誰もが、明日は波があり、先日の大雨で海が濁っているので、昆布採取はないだろうと話していた。長年の先輩たちの経験でも、あたらないこともあるものだ。
港湾から外海に出ると、うねりがあるようだ。漁場に着いて水中メガネでのぞくと、昆布の森がうごめいている。5時、戦闘開始の放送が流れる。
海岸から10メートル以内での漁だ。近くには大きな岩が、いくつも海中から顔を出している。若い船頭さんから、岩場にぶつけないようにとの注意がある。
竿の先が二股になっているもので、昆布をねじって採取する。指でVの字を作ったような道具である。一度に何本もの昆布を岩場から引き抜くので、船頭さんは力仕事だ。
私の仕事はウニ漁と同じで、小型の船外機を操作し、昆布がありそうな場所に船を維持する。うねりがあるので、絶えず身体が揺れている。周囲の船にも衝突しないよう配慮しなければならない。
隣にいた30代の主婦は、船外機を操作しながら、周囲に目を配り、堂々と煙草をふかしている。その姿がとても様になっている。ベテランここにありという雰囲気である。
ゴツンと船底で音がしたと思ったら「岩に乗り上げたぞ」と、船頭さんが大きな声で叫んだ。海面に出ていない岩に乗り上げたのだ。
竿で岩を押して離そうとしたが、昆布の重みでまったく動かない。船底が固定されてしまったので、波の影響をまともに受け、転覆しそうになる。
ゴムガッパをはいたままで、海に放り出された時、海中に潜りながら脱ぎ、脱出できるか瞬時に頭をよぎる。海中の昆布に足が絡むことも考えられる。
と、その瞬間、船頭さんが大きな船外機を作動させ危機一髪脱出できた。
船底に穴が開いたようで、海水が浸入してくる。海水をくみ上げながら、無事築港に戻ってきた。
その後に、私たち新人ペアーの5倍ほどの昆布を積んで、父親の船頭さんたちが帰ってきた。
とにもかくにも、生まれて初めての昆布採りは、貴重な経験をさせてもらい、無事生還した。
今午後2時だが、パソコンの前で椅子に座っているが、身体が船に乗っているように、左右に大きく揺れている。