物もらう人

私の親戚に６８歳の女性がいる。
自宅を改造し、クリーニングの取扱店を経営している。
親戚だから言えるが、独身で超わがままである。自分の思ったことはずばずば言う。でも、お客様からのいただき物がすごい。
若い頃はデパート勤めをし、販売では人並み以上だったという。接客のコツは心得ているようだ。
お客様との会話を隣の部屋で聞いていると、私たちに接する時とは違い、押し付けがましくはない。
近頃のミゾユウの経済不況下では、男性客も女性客も愚痴をこぼしたいのである。
６８歳のオバサンにそれをぶちまける。オバサンは新聞を熟読しているので、話題は豊富だ。上手に相手と同調する。
時には、得意なわがままが出て、私はこう思うと、びしっと持論を述べる。お客様も、愚痴とわかりながら言っているので、自分で言いながらも、ちょっぴりむなしくなるのだろう。びしっと言われると、妙に納得して、安心して帰るらしい。
話しやすいというのがいいのだろう。独り者と思い大変だと思うのか、食べ物のいただき物が結構ある。
わがままだから好き嫌いもするが、人からいただいたものは笑顔で受け取ることにしているという。そうするとエンドレスにいただき物が出来る。
そのおすそ分けを、私の妻がいただいてくる。
美味しいものをいただくためには、彼女のわがままを聞いてやればいいのだ。