朝5時、外は闇の中だ。五感を研ぎ澄まし、波の音と風のささやきを聞く。
私はその瞬間、座頭市になる。
近所の漁師も海を見つめていた。
「今日は出漁だね」と尋ねると、
「うねりがまだあるから、だめだべさ」と返ってきた。
暗闇に目が慣れたせいか、相手の顔が判別できた。長い年月、潮風にさらされた男の顔の深い皺は、海の中まで見通しているようだ。
出漁を決定する担当の漁師は、ぎりぎりまで躊躇していたらしく。6時20分頃中止の合図を出した。すでに夜が明けていた。
やはり大先輩のおっしゃるとおり、うねりがはっきり見えていた。
私は20数年前、過疎化に歯止めをかけようと、地元のはずれにある、波が比較的高い場所を利用し、全道サーフィン大会を企画実施した。
「小さな村から大きな夢を」「出る杭は打たれるが、出ない杭は腐れる」そんなスローガンを掲げ突っ走った。
その頃は大会近くなると、毎日波が高くなることを祈った。
今、漁師見習となり、まったく逆に波が静まることを願っているのに気付く。
経済不況も極まりを見せる年末。毎日のように大企業のリストラが新聞の一面を飾る。
経営者側の視点は、世界的不況を乗り越えるに、大規模リストラやむなしということだろうが、しかし労働者あっての企業でもある。お互い苦しい時は、逆の立場になって問題の処理の仕方を検討してみたらどうだろうか。
世の中は労働者で構成されている。労働者を見殺しにする社会は経済がますます低迷する。
生活者の視点に立つことこそ、今の政治と企業に一番問われていることではないだろうか。
ウニ漁中止の海を眺めて、立場を変えた視点の必要性を考えてみた。
私はその瞬間、座頭市になる。
近所の漁師も海を見つめていた。
「今日は出漁だね」と尋ねると、
「うねりがまだあるから、だめだべさ」と返ってきた。
暗闇に目が慣れたせいか、相手の顔が判別できた。長い年月、潮風にさらされた男の顔の深い皺は、海の中まで見通しているようだ。
出漁を決定する担当の漁師は、ぎりぎりまで躊躇していたらしく。6時20分頃中止の合図を出した。すでに夜が明けていた。
やはり大先輩のおっしゃるとおり、うねりがはっきり見えていた。
私は20数年前、過疎化に歯止めをかけようと、地元のはずれにある、波が比較的高い場所を利用し、全道サーフィン大会を企画実施した。
「小さな村から大きな夢を」「出る杭は打たれるが、出ない杭は腐れる」そんなスローガンを掲げ突っ走った。
その頃は大会近くなると、毎日波が高くなることを祈った。
今、漁師見習となり、まったく逆に波が静まることを願っているのに気付く。
経済不況も極まりを見せる年末。毎日のように大企業のリストラが新聞の一面を飾る。
経営者側の視点は、世界的不況を乗り越えるに、大規模リストラやむなしということだろうが、しかし労働者あっての企業でもある。お互い苦しい時は、逆の立場になって問題の処理の仕方を検討してみたらどうだろうか。
世の中は労働者で構成されている。労働者を見殺しにする社会は経済がますます低迷する。
生活者の視点に立つことこそ、今の政治と企業に一番問われていることではないだろうか。
ウニ漁中止の海を眺めて、立場を変えた視点の必要性を考えてみた。