夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

短歌集成 その1 春歌

2014-03-07 23:46:20 | 短歌
昨日思い立って、今まで私がこのブログに載せた歌をまとめておこうという気になった。
本当は、元の記事にリンクできるようにした方がよいのだろうが、後日の課題とする。
これは以前に書いたのだが(「詩心は絶えて久しくなりにけり…」2012/5/14)、私は誰かから歌の作り方を教わったわけではなく、大学で古典文学を学んでいるうちに、自然に歌ができるようになった。『古今集』『新古今集』や『源氏物語』からの直接の影響なので、近現代の短歌からの影響はほとんど受けていない。
四季の風物や日々の出来事、人情に触れて心が動いたときに、ふとその折の感慨が三十一字の形になっただけである。

大学院を出てから、教員としての仕事に文字通り忙殺されていた間は、ほとんど歌のことも忘れていた。しかし、勤務にもようやく慣れ、このブログを書くようになって、自分との対話の機会が増えたからか、一昨年の夏頃からぽつぽつ、昔のように歌が出てくるようになった。ただし、そのきっかけが、祖母の死であったというのがなんとも悲しいことだが…。

最近、短歌を基礎から教えていただくことになった。
この機会に今までの「腰折れ歌」を集成しておき、これ以後は、新たに現代短歌として歌を詠み始めようと思う。

それほどの数もないのだが、二年近くの間に詠んだ歌を、主題と時間の進行に従って整理してみた。(括弧内は、その歌がこのブログではいつの記事の中にあるかを示している。)
それにしても、こうしてまとめてみると、己の才の乏しさだけでなく、以前はいかに何も考えずに、歌を言葉だけで作っていたのかがよくわかり、我ながら物狂おしい気持ちになってくる…。

春歌

初日の出
茜さす空に紫雲(しうん)のたなびきて拝む初日の影ぞたふとき(2014/1/1)
初詣
初春は社(やしろ)の松に吹く風も枝を鳴らさぬけしきなるかな(2014/1/1)
立春
あらたまの春立つみよのしるしとてくれなゐにほふ横雲の空(2014/2/4)
余寒
いつしかと梅は咲けどもかきくらす空より春の雪は降りつつ(2014/2/6)

春おそき年にも花をいつしかと祈る心を梅も知らなむ(2013/3/9)
かき曇り冬にまがへて降る雪に谷間の梅も咲きぞわびぬる(2014/3/1)
風さえて降る雨にしも待たれつる谷間の梅はほころびにけり(2013/3/9)
雪間わけて梅はいかにとたづぬれば今日咲き初(そ)むる一輪の花(2014/2/9)
春遅き年にもあるかな咲く梅の花よりにほふ風ぞ身にしむ(2013/2/26)
昔には色もにほひも変はらぬをなほなつかしき梅の花かな(2013/3/7)
梅の花見れども飽かぬここちして花園ながら散らさずもがな(2013/3/18)

咲きそむる花なかりせばいかばかり月もむなしき夜を過ぐしけむ(2013/3/26)
世はなべて花のころとぞなりにける絶えぬ思ひのながめせしまに(2013/3/31)
しばしだに春の嵐はたゆまなむ年ひとたびの花にも飽かぬに
木(こ)の下(もと)に花の姿をみづかがみ風のなごりのさざなみぞたつ(2013/4/3)
桜花求(と)めて来つれば足高の山のふもとに咲くやこの花(2013/4/12)
岸辺には避(よ)きて吹かなむ風にあへで雪とのみこそ花は散りけれ(2013/4/13)

藤棚にはひまつはれる花見れば長き春日(はるび)も飽かぬ色かな
藤の花盛りに咲けば吹く風も若紫の色ににほへる(2013/4/19)

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