夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

蒼太の包丁 39巻

2013-11-11 23:02:29 | 『蒼太の包丁』
人気コミック『蒼太の包丁』の最新刊から、読みどころをいくつか紹介。

山菜摘み
毎年春に、山梨・小淵沢から銀座「富み久」に山菜を届けてくれる「山のおばあちゃん」。しかし、今年は療養施設に入所したため、来られない。蒼太は店が休みの日に、見舞いに訪れることにする。「富み久」から、女性料理人の雅美と新入りの見習い・乙部も同行する。
今年は山に入れない「おばあちゃん」の代わりに、その孫二人を案内役として、蒼太たちは山菜採りに行くが…。



乙部の成長(ちょっとだけ)
新人の乙部はノンビリ屋で、まだ料理にも店での修業にも慣れず、時に失敗もするが、周囲の励ましもあり、次第に意欲を見せるようになる。「富み久」の若女将・さつきも乙部を正式に採用することを決め、GWに旭川から上京した乙部の両親を保証人として契約を交わす。
両親を空港で見送るとき、乙部は母親に、「やっと何か見つけられそうなんだ…。別々に暮らすことになるけど、忘れたりしないから!」と修業への意気込みを語る。


再開発問題
「富み久」の周辺、銀座の北側は再開発の区域にかかっていた。そのため親方の富田久五郎は、「分(わけ) 富み久」を作って蒼太の兄弟子・山村に任せ、これまでの料理や客をそちらに移したといういきさつがある。
蒼太は「富み久」が周辺の再開発でなくなるまでの板長、という扱いだが、この店の常連で蒼太の料理人としての腕を誰よりも高く買っている曽根川元代議士は、こよなく愛するこの店が失われようとすることを惜しむ。曽根川は与党の元外務大臣で、政界きっての食通として知られ、引退した今でも政界に隠然たる影響力を持っている。曽根川は、若き板長として自分の料理の方向性を模索する蒼太に、この店でこそ腕を発揮してもらいたいと考え、現幹事長の敷島に頼み、再開発の実権を握る建設会社の会長に直談判する。
「なくなってほしくない店がある…。銀座のあの街にあり続けてほしいのだよ。」
後日、さつきは地域説明会で、この辺り一帯の再開発が白紙に戻ったことを知る。


一方、「富み久」の経営を事業として成功させたいと望むさつきと、「和食」を人と人との「和」を作る食事として、職人が目指すべきものを大切にしようとする親方や蒼太との考え方の違いも、次第に明らかになってくる。


今号の雅美
雅美推しの私が今号で印象に残ったのは、山菜摘みで崖を登ったときのこのシーン。蒼太が雅美を崖の上に引き上げた瞬間、はずみで二人は抱き合ってしまい…。
ふだんは蒼太への思いは胸の底にしまって、あくまでも妹弟子として振る舞っているのが健気なので、思わず応援したくなる。蒼太もいいかげん、彼女の気持ちに気づいてやれよ…。

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