夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

入試問題作成覚書 その4「作問」

2012-08-14 20:38:39 | 教育
稲垣伸二先生の「試験問題を作るとはどういうことか」の講座(2009 駿台 夏期教育研究セミナー)では、作問にあたって、その文章の「話題・対比・段落展開・筆者の主張」を確認した上で、筆者が真に言わんとしていることを、言語化されていないところまで含めて考えるべきだ、ということを言っておられた。

今、そのときのノートを読み返しているのだが、

  慣用句・比喩表現など作りやすいところで問題を作るのではなく、作るべきところ・読むべきところで作る

  解答の全体が、ほぼ本文の要約に重なる設問構成が望ましい

といったことは、問題作成の指針となる。

こういう理想型の問題に近づけるには、そのための教材分析をしておいた方がよい。といっても、やることは普段の授業の予習と変わらない。

つまり、評論であれば、段落分けをして、意味段落ごとに小見出しを付け、対比に注意しながら段落の内容を整理・要約する。また、段落相互の関係や構成がどうなっているかを確認する(双括型とか、起承転結型とか)。

小説であれば、場面分けをして、場面ごとにいつ・だれが・どこで・何をして・どんな心情でいるかを確認し、あらすじをまとめる。また、場面の展開に注意し、最初から最後までの場面を通して、主人公の心情に大きな変化や心の成長はないかを確認する。

結局、授業で板書して生徒に説明するようなことを、入試問題を作る場合でも、あらかじめノートに書いておいて、そのあとでぜひとも問いたい箇所をピックアップし、全体のバランスを考えつつ問題を作り、練っていけばよい。

この段階までくれば、あとは道理のおすところにしたがって問題を作っていくだけだ。だからやはり、入試問題の作成は、素材文の選択と教材研究で8割方は決まっているのだ。

といいつつ、選択問題での選択肢の作成や、設問間のバランスをとり取捨選択するなど、まだしんどいところは残っているが。そのあたりは、また機会があれば述べたい。