夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

フェルメール「真珠の耳飾りの少女」その1

2012-08-09 18:00:18 | 日記
母を誘って、上野の国立西洋美術館で、「ベルリン国立美術館展」を鑑賞。

「マルティン・ルターの肖像」、「ラオコーンとその息子たち」、ヤン・ステーン「喧嘩するカードプレーヤー」、レンブラント「ミネルヴァ」、ミケランジェロ「聖家族のための習作」など、有名だったり、評価の高い絵も多く、途中ですでに疲れ気味…。

しかし、フェルメール作の「真珠の耳飾りの少女」のところで、一遍に目が覚めた。

絵の解説には、「真珠のネックレスに付いたリボンをあみ上げ、壁にかかった小さな鏡の前でポーズをとる」少女の姿を描いたものだとある。

一見して、まずそのやわらかな色調に目をとらえられる。黄色のジャケット、黄色のカーテン、窓から差し込む光のやわらかさが、少女の可憐な美しさと、どこか物憂げではかなげな表情を引き立てている。

少女は一人鏡に向かって、何を思っているのだろう? そんなことを考えてしまうほど、見る者はこの絵の世界に引き込まれてしまう。

柔らかな髪や肌の質感、真珠の耳飾りや陶磁器の光沢まで、巧みに表現されている。光の魔術師といわれるのも道理で、光線の効果も計算しつくして画面が構成されているのがよくわかった。

絵としての人気は、同名のもう一つの作品の方が高いが、画家としての力量を明らかに示すのは、こちらの方だと思う。