「こんにちわッ、テディちゃでス!
とりッくゥ~おあァ~とりいィつゥ!」
「がるる!ぐっるーがるるぅーる!」(←訳:虎です!ハッピーハロウィーン!)
こんにちは、ネーさです。
今日29日は《八王子ハロウィン》が開催されていて、
仮装をしたチビッ子ちゃんたちが
笑顔で“お菓子あげちゃうぞポイント“を巡り歩いています。
いっぱい貰っとけよ~!と声援を送りながら、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 妖精・幽霊短編小説集 ――
著者はJ.ジョイスさん、W.B.イェイツさん他、
編・訳者は下楠昌哉(しもくす・まさや)さん、
2023年7月に発行されました。
『《ダブリナーズ》と異界の住人たち』と副題が付されています。
「あううゥ、ようせいィとォ~ゆうれいィ??」
「ぐーるる!」(←訳:ダークだ!)
この御本は、
ハロウィーンの季節にシンクロするかのような、
妖精や霊、土地の伝承、生まれ変わり譚などを集めた
アンソロジー作品……ではありません。
編・訳者の下楠さんは、
なかなかに野心的な企みを仕掛けてきましたよ。
それはいったいどんなギミックかというと、
ジェイムズ・ジョイスさん(1882~1941)の著作
『ダブリナーズ』を、
幽霊話や妖精話の間にこっそり、
いえ、堂々と紛れ込ませちゃった♫んですね。
「なじんでェまスゥ!」
「がるるるるる!」(←訳:浮いてないよ!)
ディケンズさんの『第一支線――信号手』、
H・G・ウェルズさんの『赤い部屋』、
ラフカディオ・ハーンさんの『雪女』
といった名作怪談と一緒に収録されているのは、
『遭遇』『姉妹たち』『死者たち』他
ジョイスさんの短編8作品。
不思議なことに、これがまた
実にすんなりとハマっているというか、
違和感がありません。
ことに、全編のラストに位置する
『死者たち(抄訳)』は、
妖精・幽霊譚アンソロジーを締め括るに最適解な、
美しくも怪なる作品!
いやーこういう編纂の仕方もあるんだなぁと、
私ネーさ、衝撃を受けました。
難解で読みにくいとされるジョイスさんの作品が、
すんなりと眼に入ってくる……!
「しかけにィ、ぱッくりィ!」
「ぐるるるるぅっるる!」(←訳:嵌められちゃったね!)
また、《取り替え子》をテーマにした章では
背筋がヒンヤリする思いをしました……
人間の子どもを盗んだ妖精たちが
代わりに置いてゆくのは、
魔法がかけられた丸太か、
病んでいるような妖精の子ども。
ですから親たちは、これは我が子ではない!と気付きます、が。
子どもを盗まれた親は、どうする?
何が何でも取り返そうとするのか。
力及ばず、と諦めるのか。
どうにか子どもを取り戻したとしても、
その子は本当に我が子……なのだろうか?
本当の我が子は、どこにいる?
「もはや、さすぺんすゥ!」
「がるるぐるぅ!」(←訳:背筋が凍るぅ!)
妖精譚の底に潜む真の恐怖と、
“怖い話”に共鳴するジョイスさんの短編作品。
仕掛けが張り巡らされた妖精・幽霊譚アンソロジーは、
全活字マニアさんにおすすめですよ。
パンプキンランタンのおそろしげな明かりを横目に、
ぜひ、一読してみてくださいね~♪