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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ランタンの淡い光に浮かぶのは ~

2023-10-29 22:08:42 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 とりッくゥ~おあァ~とりいィつゥ!」

「がるる!ぐっるーがるるぅーる!」(←訳:虎です!ハッピーハロウィーン!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日29日は《八王子ハロウィン》が開催されていて、

 仮装をしたチビッ子ちゃんたちが

 笑顔で“お菓子あげちゃうぞポイント“を巡り歩いています。

 いっぱい貰っとけよ~!と声援を送りながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 妖精・幽霊短編小説集 ――

 

 

 著者はJ.ジョイスさん、W.B.イェイツさん他、

 編・訳者は下楠昌哉(しもくす・まさや)さん、

 2023年7月に発行されました。

 『《ダブリナーズ》と異界の住人たち』と副題が付されています。

 

「あううゥ、ようせいィとォ~ゆうれいィ??」

「ぐーるる!」(←訳:ダークだ!)

 

 この御本は、

 ハロウィーンの季節にシンクロするかのような、

 妖精や霊、土地の伝承、生まれ変わり譚などを集めた

 アンソロジー作品……ではありません。

 編・訳者の下楠さんは、

 なかなかに野心的な企みを仕掛けてきましたよ。

 

 それはいったいどんなギミックかというと、

 

 ジェイムズ・ジョイスさん(1882~1941)の著作

 『ダブリナーズ』を、

 幽霊話や妖精話の間にこっそり、

 いえ、堂々と紛れ込ませちゃった♫んですね。

 

「なじんでェまスゥ!」

「がるるるるる!」(←訳:浮いてないよ!)

 

 ディケンズさんの『第一支線――信号手』、

 H・G・ウェルズさんの『赤い部屋』、

 ラフカディオ・ハーンさんの『雪女』

 といった名作怪談と一緒に収録されているのは、

 『遭遇』『姉妹たち』『死者たち』他

 ジョイスさんの短編8作品。

 

 不思議なことに、これがまた

 実にすんなりとハマっているというか、

 違和感がありません。

 

 ことに、全編のラストに位置する

 『死者たち(抄訳)』は、

 妖精・幽霊譚アンソロジーを締め括るに最適解な、

 美しくも怪なる作品!

 

 いやーこういう編纂の仕方もあるんだなぁと、

 私ネーさ、衝撃を受けました。

 難解で読みにくいとされるジョイスさんの作品が、

 すんなりと眼に入ってくる……!

 

「しかけにィ、ぱッくりィ!」

「ぐるるるるぅっるる!」(←訳:嵌められちゃったね!)

 

 また、《取り替え子》をテーマにした章では

 背筋がヒンヤリする思いをしました……

 

 人間の子どもを盗んだ妖精たちが

 代わりに置いてゆくのは、

 魔法がかけられた丸太か、

 病んでいるような妖精の子ども。

 ですから親たちは、これは我が子ではない!と気付きます、が。

 

 子どもを盗まれた親は、どうする?

 何が何でも取り返そうとするのか。

 力及ばず、と諦めるのか。

 どうにか子どもを取り戻したとしても、

 その子は本当に我が子……なのだろうか?

 

 本当の我が子は、どこにいる?

 

「もはや、さすぺんすゥ!」

「がるるぐるぅ!」(←訳:背筋が凍るぅ!)

 

 妖精譚の底に潜む真の恐怖と、

 “怖い話”に共鳴するジョイスさんの短編作品。

 

 仕掛けが張り巡らされた妖精・幽霊譚アンソロジーは、

 全活字マニアさんにおすすめですよ。

 パンプキンランタンのおそろしげな明かりを横目に、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪