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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 西から東へ、漂泊の旅は。 ~

2023-10-06 22:07:28 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 もうすぐゥ~れんきゅうゥでスゥ!」

「がるる!ぐるーるるるがる!」(←訳:虎です!スポーツの日だよ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 スポーツの日……運動音痴の私には縁遠い祝日ですから、

 そ~っとスルーすることにして、

 えへん、さあ、読書タイムと参りましょう。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― 小泉八雲と妖怪 ――

 

 

 著者は小泉凡(こいずみ・ぼん)さん、

 2023年8月に発行されました。

 小泉八雲さん(1850~1904年)の伝記作品を著したのは、

 お名前からも判りますように、

 八雲さんを曽祖父に持つ

 民俗学者の小泉凡さん!

 

「つまりィ、これはァ~…」

「ぐぅるるーがるるるー?」(←訳:ファミリーヒストリー?)

 

 御本の冒頭には、凡さんによる

 『小泉八雲とわたし』

 『はじめに 小泉八雲と妖怪』

 という、2つの文章が収められています。

 そこに、

 

  私は八雲に会ったことはもちろんありません。

 

 と記しながらも、

 凡さんが語る八雲さんの生涯は、

 曽祖父・八雲さんにこっそり耳打ちされたかのような、

 迫真性に満ちています。

 

「はじまりはァ、みなみのォくにィ!」

「がるるぅぐるる!」(←訳:ギリシャでした!)

 

 八雲さんの生誕地は、

 ギリシャ西部のイオニア海に浮かぶレフカダ島。

 海に囲まれ、温暖な気候のその島で

 少年時代を、いえ、一生をのんびりと、

 何の憂いもなく過ごせたなら……と想像してしまいますが。

 

 父・チャールズさんは

 英国陸軍所属の軍医。

 いつも一緒にいてくれる父親、ではなかったんですね。

 

「さみしいィでス……」

「ぐるる~…」(←訳:切ない~…)

 

 離れて暮らす父・チャールズさんからの迎えが来たのは、

 二歳になった夏のこと。

 母・ローザさんは幼い八雲さんを連れ、

 アイルランドのダブリンに向かいます。

 

 けれどもこの旅は、八雲さんにとって

 “喪失の旅”ともなりました。

 

 北国アイルランドにギリシャの陽光はなく、

 母・ローザさんは寒々しいダブリンに馴染めなくて、

 ギリシャに帰国してしまいます。

 

 ただひとり取り残された少年に救いとなったのは、

 子守のキャサリン・コステロさんが聞かせてくれる

 怖~いお話……!

 

「わわゥ! でたッ!」

「がるるぐるる!」(←訳:妖精やオバケ!)

 

 喪失の只中に見つけた至福の時を、

 小さな八雲さんは大切に抱え込みます。

 胸の奥に、こころの真芯に。

 

 そうして、

 大西洋を渡ったのちは記者となり、

 不思議な出来事や物語を探し求めて

 さらに東へ、東へと歩み続けて、

 日本へ――

 

「ようこそォ、せんせいィ!」

「ぐるるがるるっるるるぐる!」(←訳:お会いしたかったです先生!)

 

 八雲さんを招く

 妖怪――異界に棲む目に見えぬものたち。

 はたして、

 喪失の旅は、東洋の小国で終わったのか。

 

 児童書という扱いになってはいますが、

 八雲さんに関する図版資料も多数収録されている伝記作品は、

 歴史好きな方々、

 『怪談』ファンの方々におすすめです。

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪