テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ニャンズと、明日を ~

2023-10-20 22:08:00 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 むむッ! かれんだァ~?」

「がるる!ぐるるるるがるー?」(←訳:虎です!クリスマスツリー?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 雑貨屋さんの華やかな店頭には、クリスマスグッズや、

 来年のカレンダーがずら~りと並びました。

 戦争はイヤだよう、平和な年末であっておくれよう、と夢見つつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 猫を処方いたします。 ――

 

 

 著者は石田祥(いしだ・しょう)さん、

 2023年3月に発行されました。

 おお、表紙イラストのニャンコちゃんが可愛いくて、

 つい顔がふにゃふにゃっとニヤけてしまいますね~♫

 

 とはいえ、猫を処方って、どういうことなんでしょう……?

 

「まずはァ、うけつけへェ~どうぞッ!」

「ぐるるるがるる?」(←訳:新患さんですか?)

 

 京都市の中京(なかぎょう)区麩屋町(ふやちょう)通上ル

 六角(ろっかく)通西ル富小路(とみこうじ)通下ル

 蛸薬師(たこやくし)通東入ル。

 

 よそ者にとっては究極にややこしい住所へ、

 香川秀太(かがわ・しゅうた)さんは

 ようやく辿り着きました。

 

 いえ、まだこれで終わりではありません。

 秀太さんの目的地は、

 古くて、お世辞にもきれいとは言えない雑居ビルの、

 ええと、5階にある

 『中京こころのびょういん』。

 

「おすわりィ~くださいなッ」

「がるるぐるるるるるるるる」(←訳:今日はどうしはりましたか)

 

 白衣のお医者さんを前に、

 緊張をこらえて、秀太さんは口を開きます。

 不眠や耳鳴り、食欲不振、

 仕事のことを考えると胸が苦しくなるって、

 説明しなくちゃ……ああ、でも、

 飛び出た言葉は、

 

 会社を辞めたいんです。

 

「そうでスかッ」

「ぐるるるるる」(←訳:わかりました)

 

 ハッとした秀太さんは説明し直します。

 違うんです、辞めたくないんです、

 勤務を続けたい……!

 するとお医者さんはおもむろに頷き、

 そしてにっこりと。

 

 猫を処方します。

 

「それでェしばらくゥ~」

「がるるぐるるぅる!」(←訳:様子を看ましょう!)

 

 は? え? ねこ? 猫? 猫を処方?

 と問い質すよりも先に、

 キャリーケースが持ってこられて、

 その中には、本当に猫が。

 

 この状況は普通ではないと、秀太さんにも分かります。

 けれど……ああ、そうか、これって

 アニマルセラピーとかいうやつか、などと思ったりして、

 猫ちゃんとキャリーケース(お世話用品入り)を抱え、

 アパートに帰宅して。

 

 あらためて、秀太さんは知るのです。

 

 猫を処方――猫と暮らす。

 意外にでかいな。あ、飲み水が要るよな。

 キャットフードを出して、部屋も少し片づけて。

 掃除するのなんて久しぶりだなあ。

 

 こうして、猫ちゃんのおかげで

 秀太さんの病状は劇的に改善、

 平穏な日々を取り戻した!……と行けば、

 まことに目出度かったものの。

 

 程なく、会社をクビに?

 

「ほほゥ?」

「ぐるぅ?」

 

 猫がいれば、万事解決?

 こころの病も消え失せて、毎日がハッピー?

 そんな希望的観測が次々と裏切られてゆく展開に、

 秀太さんは、

 そして私たち読み手も呆然とします。

 

 猫とは、猫と暮らすということは、

 いったい……?

 

「それはァ~…ふふふッ!」

「がるるるぐる!」(←訳:永遠の謎かも!)

 

 5つの短編から成る連作《猫》ものがたりは、

 もちろん、愛猫家さんに、

 動物好きな活字マニアさんにおすすめですよ。

 全ニャンズの幸福を祈りながら、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

コメント
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