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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 輝く石は、いつから、どこから? ~

2023-10-08 22:06:17 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きょうはァ、かんろッ、なのでスゥ~!」

「がるる!ぐるるがる~?」(←訳:虎です!もはや晩秋~?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日10月8日は二十四節気の《寒露(かんろ)》。

 草木に冷たい露が降りる時期、だそうですから、

 急いで衣替えを済ませたら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 世界の宝石文化史図鑑 ――

 

 

 著者はジェフリー・エドワード・ポストさん、

 原著は2021年に、日本語版は2021年6月に発行されました。

 英語原題は『THE SMITHSONIAN NATIONAL GEM COLLECTION』、

 『スミソニアン宝石コレクション』と日本語副題が付されています。

 

 先日ご紹介しました奥山康子さん著『深掘り誕生石』で目に留まった

 ナポレオンⅠ世皇妃マリー・ルイーズの宝冠……

 トルコ石が飾られた冠、というのがどうにも気になって、

 私ネーさ、捜索に乗り出してみましたよ。

 

「ここにィ~あるのでスよゥ!」

「ぐるるるるるがるる!」(←訳:スミソニアン博物館!)

 

 1829年、英国人の化学者にして鉱物学者ジェームズ・スミソンさんが、

 1万点以上の鉱物標本コレクションと全財産を

 アメリカ合衆国に遺して世を去りました。

 

 そうして誕生したスミソニアン協会の、

 最も中核的な存在が、スミソニアン国立自然史博物館であり、

 国立宝石コレクションであって、

 ギャラリーに展示されているのは、

 超一流の宝石やジュエリーばかり。

 

 マリー・ルイーズ皇妃の宝冠も、

 このコレクションに収蔵されています。

 

「れきしがァ、ありますゥ!」

「がるるるるぐるる!」(←訳:とびきりの歴史が!)

 

 ダイヤモンドをちりばめた宝冠の、

 中央で輝くのは、トルコ石。

 

 ブルーダイヤモンドではなく、サファイヤでもなく、トルコ石。

 一流品であるとはいえ、違和感ありまくりの色調。

 他に例を見ないこの不思議な宝冠の意匠には、

 やはり、理由(わけ)があったのです。

 

 時を遡って1810年――

 皇帝ナポレオンはマリー・ルイーズ妃に結婚祝いを贈りました。

 エメラルドとダイヤモンドの宝冠を。

 

「ふァ?」

「ぐるるるる??」(←訳:エメラルド??)

 

 そう、エメラルドでした、本来は。

 現在、トルコ石が嵌められている場所にあったのは、

 緑色の宝石・エメラルドだったのですね。

 

「ぜんぜんッちがァ~うッ!」

「がるぐる!」(←訳:緑が正解!)

 

 宝冠・ネックレス・イヤリング・バックルのセットで造られた

 結婚祝いの贈り物は数奇な運命を辿ります。

 

 ナポレオンⅠ世、失脚。

 流刑地に同行することを拒んだマリー・ルイーズ妃はウィーンへ、

 実家のハプスブルク家へと戻ります。

 皇帝からの贈り物を抱いて。

 

 妃の没後、宝冠は一族に受け継がれてきましたが、

 第二次世界大戦後の1952年、

 世界情勢の変化には勝てず、

 ヴァンクリーフ&アーペルに売却されることに。

 

 怖ろしい“変化“はそこで起こりました。

 

「うわあァ、やめてェ~」

「ぐるるるる~!」(←訳:壊さないで~!)

 

 熱心な顧客の提案に屈したヴァンクリーフ&アーペルは、

 エメラルドのバラ売りをしてしまったのです。

 

 宝冠を飾っていた緑の石がひとつ売れる度に、

 台座から外して、置き換えてゆくのはトルコ石……

 

 いえ、写真をじーっと観察してみれば、

 冠に置かれたトルコ石もね、そう悪くはないんですよ。

 色合いは揃っているし、傷は全く無いし、

 トルコ石としては超々一級品でしょう。

 でもね、やっぱりね、エメラルドであって欲しかったなぁ、と。

 

 あ、ちなみに、

 エメラルドとダイヤモンドのネックレスとイヤリングは、

 ルーヴル美術館に収蔵されているそうですよ。

 

「ふうゥ!」

「がるるるぐるがるるる!」(←訳:壊すのはもうダメだよ!)

 

 なぜか人間を魅了してやまない石たちの、

 光と闇の歴史。

 

 この御本では、

 スミソニアンのコレクションに収蔵されている宝石たちの、

 それぞれにまつわる由緒や伝説が解説されています。

 本文終盤での主役は、

 “いわくつきの宝石“の本家《ホープ・ダイヤモンド》!

 世界で最も有名な宝石の物語を、

 皆さまも、ぜひ、一読してみてくださいね~♪