「こんにちわッ、テディちゃでス!
きょうはァ、かんろッ、なのでスゥ~!」
「がるる!ぐるるがる~?」(←訳:虎です!もはや晩秋~?)
こんにちは、ネーさです。
今日10月8日は二十四節気の《寒露(かんろ)》。
草木に冷たい露が降りる時期、だそうですから、
急いで衣替えを済ませたら、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 世界の宝石文化史図鑑 ――
著者はジェフリー・エドワード・ポストさん、
原著は2021年に、日本語版は2021年6月に発行されました。
英語原題は『THE SMITHSONIAN NATIONAL GEM COLLECTION』、
『スミソニアン宝石コレクション』と日本語副題が付されています。
先日ご紹介しました奥山康子さん著『深掘り誕生石』で目に留まった
ナポレオンⅠ世皇妃マリー・ルイーズの宝冠……
トルコ石が飾られた冠、というのがどうにも気になって、
私ネーさ、捜索に乗り出してみましたよ。
「ここにィ~あるのでスよゥ!」
「ぐるるるるるがるる!」(←訳:スミソニアン博物館!)
1829年、英国人の化学者にして鉱物学者ジェームズ・スミソンさんが、
1万点以上の鉱物標本コレクションと全財産を
アメリカ合衆国に遺して世を去りました。
そうして誕生したスミソニアン協会の、
最も中核的な存在が、スミソニアン国立自然史博物館であり、
国立宝石コレクションであって、
ギャラリーに展示されているのは、
超一流の宝石やジュエリーばかり。
マリー・ルイーズ皇妃の宝冠も、
このコレクションに収蔵されています。
「れきしがァ、ありますゥ!」
「がるるるるぐるる!」(←訳:とびきりの歴史が!)
ダイヤモンドをちりばめた宝冠の、
中央で輝くのは、トルコ石。
ブルーダイヤモンドではなく、サファイヤでもなく、トルコ石。
一流品であるとはいえ、違和感ありまくりの色調。
他に例を見ないこの不思議な宝冠の意匠には、
やはり、理由(わけ)があったのです。
時を遡って1810年――
皇帝ナポレオンはマリー・ルイーズ妃に結婚祝いを贈りました。
エメラルドとダイヤモンドの宝冠を。
「ふァ?」
「ぐるるるる??」(←訳:エメラルド??)
そう、エメラルドでした、本来は。
現在、トルコ石が嵌められている場所にあったのは、
緑色の宝石・エメラルドだったのですね。
「ぜんぜんッちがァ~うッ!」
「がるぐる!」(←訳:緑が正解!)
宝冠・ネックレス・イヤリング・バックルのセットで造られた
結婚祝いの贈り物は数奇な運命を辿ります。
ナポレオンⅠ世、失脚。
流刑地に同行することを拒んだマリー・ルイーズ妃はウィーンへ、
実家のハプスブルク家へと戻ります。
皇帝からの贈り物を抱いて。
妃の没後、宝冠は一族に受け継がれてきましたが、
第二次世界大戦後の1952年、
世界情勢の変化には勝てず、
ヴァンクリーフ&アーペルに売却されることに。
怖ろしい“変化“はそこで起こりました。
「うわあァ、やめてェ~」
「ぐるるるる~!」(←訳:壊さないで~!)
熱心な顧客の提案に屈したヴァンクリーフ&アーペルは、
エメラルドのバラ売りをしてしまったのです。
宝冠を飾っていた緑の石がひとつ売れる度に、
台座から外して、置き換えてゆくのはトルコ石……
いえ、写真をじーっと観察してみれば、
冠に置かれたトルコ石もね、そう悪くはないんですよ。
色合いは揃っているし、傷は全く無いし、
トルコ石としては超々一級品でしょう。
でもね、やっぱりね、エメラルドであって欲しかったなぁ、と。
あ、ちなみに、
エメラルドとダイヤモンドのネックレスとイヤリングは、
ルーヴル美術館に収蔵されているそうですよ。
「ふうゥ!」
「がるるるぐるがるるる!」(←訳:壊すのはもうダメだよ!)
なぜか人間を魅了してやまない石たちの、
光と闇の歴史。
この御本では、
スミソニアンのコレクションに収蔵されている宝石たちの、
それぞれにまつわる由緒や伝説が解説されています。
本文終盤での主役は、
“いわくつきの宝石“の本家《ホープ・ダイヤモンド》!
世界で最も有名な宝石の物語を、
皆さまも、ぜひ、一読してみてくださいね~♪