テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 明治の古都に、お化けを探せば ~

2023-10-26 22:08:26 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 しゅつぼつゥ、ちゅういィ~!」

「がるる!ぐるるがるるるる!」(←訳:虎です!散策は安全第一で!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 全国で報じられているクマ出没のニュース……

 ここ多摩エリアの山間地域でもクマ目撃の情報が増えているようです。

 山の秋は何気に危険が多いなぁ~とビクつきながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの文庫作品を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 少年泉鏡花の明治奇談録 ――

 

 

 著者は峰守ひろかず(みねもり・ひろかず)さん、

 2023年8月に発行されました。

 物語の舞台は、21世紀の現代から

 一気に130余年をパーン!と遡って、

 明治21年(1881年)の、古都・金沢。

 

 人力車夫の武良越義信(むらこし・よしのぶ)さんは、

 英語を学ぼう!と思い立ち、

 とある私塾を訪ねてみたのですが。

 

「たのもォ~うッ!」

「ぐるがっるぐぅるるるる!」(←訳:いやもっとジェントルに!)

 

 お頼み申します、と

 掛けた声に応えてくれたのは。

 

 年の頃は十三か十四、身の丈五尺(約150cm)足らずの、

 書生風の出で立ちの少年でした。

 

 泉鏡太郎(いずみ・きょうたろう)と名乗った少年は、

 ちょっとお高い受講料に逡巡する義信さんに、

 “取引“を持ちかけます。

 

   怪異な噂をご存知なら、ぜひ教えていただきたいのです。

   噂を確かめた結果として

   本当の怪異や神秘に巡り合えたなら、

   受講料は免除いたします。

 

「ええェ~? こわいィ~うわさァ??」

「がるるるぅ~…」(←訳:怪異話かぁ~…)

 

 怪異な噂、と言われても

 一般市民さんは困ってしまうところ、ですけれど、

 義信さんのお仕事――人力車夫とは、

 タクシーの運転手さんのようなもの。

 

 お客さんの会話に耳を傾けていれば自然と、

 不思議な話、奇妙な話はころころと、

 あちらから転がってくるのです。

 

「あのねッ、あのねッ」

「ぐるるるがっるる?」(←訳:こんな話知ってる?)

 

 鏡太郎さんに、義信さんは語ります。

 

 それは、金沢の町の一画、

 かつては前田家に仕えるお武家さんたちが行き交っていた辺りで。

 

 出る、と。

 

「むぎゅぎゅッ!」

「がるぅ!」

 

 黒門屋敷(くろもんやしき)という、

 今はだぁれも住んでいない

 大きな武家屋敷があって、

 『入ると祟られる』と噂され、

 近隣の住民たちは、

 怪しいものを見たり、不思議な音を聞いていたり。

 

 夜になると、

 あの近くは通りたくない、遠回りしてくれ、と

 車夫さんに頼み込むお客さんもいるほど。

 

「とッ、とおまわりィしましょゥ!」

「ぐるるがるぐるるる!」(←訳:触らぬ神に祟りなし!)

 

 いえ、それがですねえ、

 鏡太郎さんは喜色を隠そうともせず、

 では早速参りましょうか、

 などと言い出すんです。

 

 勘弁してくれと心の内で思うものの、

 受講料のためだと義信さんも肚を括りました。

 

 かくして、ふたりは黒門屋敷へ……。

 

「ふうゥ! さすがはァ、すじがねェいりのォ~」

「がるるぐる!」(←訳:お化け好き!)

 

 はたして、鏡太郎さんはお化けに会えるのか。

 

 第一話『草迷宮』

 第二話『高野聖』

 第三話『夜叉ヶ池』

 第四話『天守物語』

 第五話『化鳥』

 

 と5つの短編から成る

 鏡太郎さん――少年時代の泉鏡花さんが

 金沢に怪異を探す連作ミステリは、

 も~っちろん鏡花さん大好きな活字マニアさんに、

 ファンタジー好きな方々にもおすすめですよ。

 あの人気ゲームで鏡花さんのファンになった!という方々も

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

コメント
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