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沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【Jun_04】聖坂の12坪の一画にあるセルフビルドの建物

2019-06-05 | TOKYO
2005年から14年間、セルフビルドで建て続けている〈蟻鱒鳶ル〉に港区三田で遭遇。

再開発の魔の手がグイグイ拡がる聖坂の一画、
12坪ほどの土地に地下1階地上4階ほどの異彩を放つ建物。

建築家・岡啓輔さんがセルフビルドで建設中の〈アリマストンビル〉だ。

この状態まで14年の月日がかかっているのだけど、その再開発計画によって今まさに危機に直面中。
なんと、立ち退きを要求されているのだ。建物に貼られていた資料が興味深いので、そのまま引用する。

「即興」で踊るように建築をつくる…。「手で考え」ながら、建築を少しずつ作り上げていく…。

そうやって、有鱒鳶ルをセルフビルドで建てるアイデアが生まれた。
岡さんのめざす『〈即興〉の建築』を可能にしたのは、コンクリートという素材だった。
柔らかい生コンを型枠に流し込んでつくるコンクリートは、どんな形でも自由につくり出せる。
曲げや引っ張りに弱いというデメリットは、鉄筋で補強できる。
コンクリートも鉄筋も現場で形を変えられるから、思いついたアイデアをその場で実行できるのだ。
また、木造や鉄骨造の建築が複数の技術を必要とするのに対して、
鉄筋コンクリートはすべてをひとつの技術でつくるから、
ひとりで建築を成り立たせることができる。

これも『〈即興〉の建築』のために必要なことだった。

しかし、現実には施工されるコンクリートの品質は下がっている。
遠くから運んでくる生コンを固まらせないために、
水を多く混ぜるようになったのも理由のひとつだ。
作業効率のために、強度や耐久性が犠牲にされている。
それに対して、岡さんは自分で買ってきたセメントと水と砂と砂利を練って、
その場で型枠に打設している。水分含有量が極端に少なくて済むので、
専門家の見立てによれば「200年もつ」強い構造になったという。

このように、風の模様も面白い形の窓も、ひとつひとつに理由があり、積み上げてきた技術の裏付けがある。
いかに奇妙な形に見えても、蟻鱒鳶ルは岡啓輔という建築家の頭と体、論理と感情の融合によって生まれたものなのだ。


AIや効率主義の流れで、人間の指向がどんどん型枠に流し込まれるような
「融通の利かない」「四角四面で」「異端を赦さない」納まりの良いモノへと突き進んでいる中、
人間の野性性を信じ、感覚の趣くまま『〈即興〉の建築』を踊るように作り続けている…。

ここにもまたひとり、世に抗う同志がいた…と、その巡り合わせに嬉々とするのだった。

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