三輪眞弘祭『清められた夜』@岐阜サラマンカホール
今回のパンデミックがぼくに与えた衝撃は、
その規模や死者数や世界経済への影響などの「被害の大きさ」ではない。
そうではなくて、人類史上初めて、様々な宗教を持つ人々の集団礼拝を禁じ、
ウィルスが原因で亡くなった人々のお葬式を禁じることに世界中の人々が同意したという事実だ。
つまるところ、人の命よりも尊いものが「あった」世界から、
何も「ない」世界への移行が完了したことの証であり、
ウィルスを敵と見做し、今現在地上に生存している自分たちをウィルスから守ることが
死者に対して敬意を払うことよりも重要だと、少なくとも公的に判断したということである。
◉ ◉ ◉
「清潔な」社会、それは科学的証拠に基づく差別のない公平な社会である。
機械システムの前でヒトは誰もがみな同等だからだ。
機械にとっては高潔な人格も卑怯な人間も、
あるいは高い志も歪んだ心の闇も等価である。
先に述べた、人間にとって「人の命よりも尊いものが何も”ない”世界」とはそのような場所だろう。
そこでは個々の人間が、人種や家系、嗜好や病歴や財産、購買・行動履歴など
あらゆる測定・予測可能な「個体情報」という変数の集合として処理され、
機械によって管理のみならず評価される「存在」となっていくに違いない。
「機械だからできるヒトの公平な評価」、
それは現在の人間が家畜に対して行っていることと変わりはない。
人類が無限の経済発展を前提とした資本主義システムを維持しようとするならば、
それは必然だろう。
(三輪眞弘)
今回のパンデミックがぼくに与えた衝撃は、
その規模や死者数や世界経済への影響などの「被害の大きさ」ではない。
そうではなくて、人類史上初めて、様々な宗教を持つ人々の集団礼拝を禁じ、
ウィルスが原因で亡くなった人々のお葬式を禁じることに世界中の人々が同意したという事実だ。
つまるところ、人の命よりも尊いものが「あった」世界から、
何も「ない」世界への移行が完了したことの証であり、
ウィルスを敵と見做し、今現在地上に生存している自分たちをウィルスから守ることが
死者に対して敬意を払うことよりも重要だと、少なくとも公的に判断したということである。
◉ ◉ ◉
「清潔な」社会、それは科学的証拠に基づく差別のない公平な社会である。
機械システムの前でヒトは誰もがみな同等だからだ。
機械にとっては高潔な人格も卑怯な人間も、
あるいは高い志も歪んだ心の闇も等価である。
先に述べた、人間にとって「人の命よりも尊いものが何も”ない”世界」とはそのような場所だろう。
そこでは個々の人間が、人種や家系、嗜好や病歴や財産、購買・行動履歴など
あらゆる測定・予測可能な「個体情報」という変数の集合として処理され、
機械によって管理のみならず評価される「存在」となっていくに違いない。
「機械だからできるヒトの公平な評価」、
それは現在の人間が家畜に対して行っていることと変わりはない。
人類が無限の経済発展を前提とした資本主義システムを維持しようとするならば、
それは必然だろう。
(三輪眞弘)