BAMBOO-JET  ~うみの部屋~

タケノコジェットでどこへでも!
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通訳デビュー

2007-02-03 23:29:00 | のほほん日記
先日、ダニエルと会社のあるつがる市の隣にある五所川原市にある病院に、社員の名簿を渡すのとあいさつ回りにいった。
伺ったのは、この地域では一番の大きい市立の総合病院S病院と私立の総合病院M病院のふたつ。
万が一会社の社員やその家族が病院にかかりたいとき、対応してくれて請求書を会社宛にまとめて請求してくれるようにお願いしてるのだ。以前何度かダニエルが話を通してるので、今回は私の紹介と名簿の改正版を渡しに行った。S病院は大病院なので、事務の担当の人もすごく事務的でみんな忙しそうである。「たぶんここの方々は私達にあまり来てほしくないみたいです」というとおり、書類を渡して挨拶すると「あ、そうですか。」という事務的な対応。ま、公務員ってこんなもんだよね。
次にM病院へいった。こっちはS病院ほど大きくはないが、建物は立派だし個人病院ならではの落ち着いた雰囲気があって、事務や受付の方々もすごく優しい雰囲気。「こっちは友達ですからいつも来たらおしゃべりして長くなるんです。ここの委員長は文学にも精通しててすごくインテリジェンスです。」とダニエルが言う。彼曰く「友達」らしい。「永井荷風を読むのを勧められました」だそうだ。
なるほど、始めに事務長が私達の対応をしてくれた。名簿を渡し私の紹介をしたら、長テーブルをすすめられ、腰掛けると机の上にあるエコノミスト(英語版)をダニエルがすばやく目配せして「ほらね・・・」などといってる。しばらくして事務長がコーヒーかと思いきや、ローズヒップ&ハイビスカスティーを運んできた。意外だ。「女性がくるときはいつもこちらなんです」と微笑む。それから20分ぐらい世間話をしたら委員長先生が登場した。委員長先生はすぐにまた戻らねばならないらしく、グットタイミングと思ってたダニエルは「我々も約束があるので。。。」とうまく退出することができた。それがないと世間話で1時間ぐらいいることもあるらしく、奥さんにあらかじめ話をしておいて、30分ぐらいしたら電話をかけてもらい、うまく抜け出したりしてるそうだ。
「ま、できればうちらの仕事がないほうがいいですよね」「そうですね、、できればお世話にならないほうが、いいですよね」などとその時は笑いながら会話してたのだが、なんと次の日病人が出た。
怪我とか大病ではなく、目の病気らしい。その人は私が初めて三沢に行った時一緒の車に乗ったブライアンさんだった。目が3日前から赤くなってるらしく、電話が来たときとにかく一度事務所に来てもらうことにした。
間近でみると片目がが真っ赤である。とっても痛々しい。これは眼科に行くべきである。たぶん何かに感染したんだ。。。と彼も言う。とりあえずS病院に眼科があるので電話してみてもらえるか相談をした。まさか昨日の今日で早速ご厄介になるとは思わなかった。話しやすいM病院のほうがいいのだが、残念ながら眼科はないのだ。電話したS病院もちょっとビックリしてて、直接眼科担当の看護師と相談して、見てもらう時間を決めてもらった。「病院の先生って英語できるのかなぁ・・・?」(ちなみにブライアンさんは日本語は全く話せない)と期待したら、「誰か通訳の方来ていただけるんですよね?!!」と看護婦の差し迫ったような声が。。。思わず「私行きますから。」などと即答したが、はて、、、通訳できるのかな?と思った。たしかにNY生まれのブライアンさんの英語は聞きやすい。でも病気に関する英語なんて何一つ知らないぞ。。。大丈夫かなぁと不安になった。
ダニエルには「お願いします(ニコっ)」と微笑まれる。実はこの日3時からダニエルの剣道の先生と、事務所でダニエルの妻が焼いたチーズケーキをみんなで食べるお茶会を企画してたのだ。しかし、病院の先生は3時を指定してきたので、、、ああ、お茶会出れないやと思いました。でもしょうがない。これも仕事だし、なによりやりがいはあるよな、とブライアンさんとS病院へ。
S病院では受付のみんなが珍しそうにうちらをみてくる。ま、わかるけど。診察券を作るのも一苦労した。さて、予定より20分遅れて眼科にたどり着くと他に患者はいなかった。午後のこの時間帯だからかな?
待ってましたとばかりに看護師さんたちが、中で待ち構えていた。まずは問診票の記入であるが、ブライアンさんは日本語が読めないので、看護師さんからの質問が。
「いつからその症状が始まったのか?」「何かぶつけたり、シャンプーが目に入ったとか、身に覚えがあるか?」「動物は飼ってるか?」「今他の医者にかかってるか?」(←これ訳するの難しかった)「薬に対するアレルギーはあるか?」などなど、ヒヤヒヤしながら、なんとか終えると、次は視力検査。
近眼と老眼の検査。彼は46歳である。ちゃんと老眼鏡も持参してた。
そのあと眼圧検査。「チェック アイプレッシャー」などと直訳したが果たしてこれであってたのか?
「空気が少し機械から出てくるからビックリしないでくださいよー!」とあくまでもマイペースな看護師さん。私も必死で「エア カムフロム マシーン ドン ビー サプライズ」などという。通じたのか、噴出すブライアンさん。それが終わるといよいよお医者様だ。なんだか意外なくらい若いお医者さんで、痛みはいつから?とか目やにはある?などと聞いてくるが、今度は『目やに』という単語がわからない。もー電子辞書で無理やりだして、ブライアンに見せる。彼はすぐに理解し、「あー、いや、目やにはないよ」という。お医者さんはすぐに目薬出しますからね、というので、「病名は何でしょう?」と聞くと「強膜炎です。結膜炎の一種です。」だと。とりあえず病名は知らせたほうがいいと思うので、辞書で調べて見せてあげた。すると、「それって何?」という。その単語に見覚えがないのか、、、ひえー、こういう場合なんて説明すればいいのか、「目の炎症よ」といいたいのだが、いかんせん炎症などという英単語が出てこない。もう適当に「目の膜に熱があるのよ」みたいなことをいっておいた。そして先生から薬の説明があって、また彼から「アンチバイオロチック?」と質問が。は、、、アンチ?バイオ?ナンじゃそりゃ、、と初めて聞く英単語に「ええ、たぶん。。。」と答えると、「キミ、アンチバイオロティックって知ってる?」と聞かれたので、正直に知らないと答えて、スペルを教えてもらい辞書で引くと『抗生物質』でした。なるほどなぁ。先生に聞くと2種類の目薬のうち一つは、たしかに抗生物質らしい。
これで何とか診察が終わった。私達は看護師さんの案内で、病院内の薬局に処方箋を出しに行き、無事薬を受けとれた。なんとか、終わった。とりあえず、たいした重い病気でもないし、通院する必要もないし、あー、よかった。
ブライアンさんからは「薬はいつまでやればいいの?」と聞かれたので、「あなたの眼の具合がよくなるまでか、薬がなくなるまで」と答えた。「普通何滴するものか?」などという質問までされた。1滴か2滴。多いほどいい。。。などと答えてしまったが、これって個人差だよなぁ。
とにかく私の初通訳は終わった。通訳として役になったどうかは微妙だ。でも医学用語の勉強いには少なくともなったし、初めての相手がブライアンさんでよかったなぁと思う。彼も納得してくれたみたいだし。新しく作ってもらった診察券を渡し、次からはこれだけですぐに見てもらえると教えた。
事務所に戻るとすでにお茶会は終了してあったが2切れチーズケーキが余っており、ダニエルに勧められた。私がいない間に、事務所にダニエルの子供達が保育園で作った節分の鬼の面を見せにきて、それが風で飛ばされるという事件があったらしい。子供のために飛ばされたお面をとりにいったダニエルは雪に覆われた田んぼの用水路に落ちてしまい、着替えた後だった。事務所に付いたとき、よれよれのTシャツとパジャマのようなのびきったズボンで登場したのだが、私は病院での仕事が終わった安堵感で彼の外見の変化にまったく気にも留めてなかった。だから、チーズケーキを食べながら今度はダニエルにどんなに、その用水路に落ちた事件がすごかったか、聞かされる羽目になったのである。