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環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

「エコノミストはもともと将来を予測できない」、とエコノミストが言う

2009-03-23 10:51:17 | 経済
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昨日のブログで、中谷 巌さんの「資本主義はなぜ自壊したのか」を取り上げました。これを書きながら思い出したのが、日本の経済界・経済学界の「認識」とエコノミストへの「妄信的な過度の期待」でした。今日はおよそ10年前の2つのエピソードを紹介しましょう。

最初は2000年10月、若井和憲さん(岐阜大学工学部教授)からいただいた電子メールです。そこに書かれていたことは工学部の教授と経済学を専攻する大学院生の対話です。私には日本の根本的な問題点を示唆しているように思えますし、また、若井さんのご了解も得ておりますので、ここでも掲載します。

―――――――――― 
数年前、文系でトップクラスの国立大の経済学専攻の博士課程の学生が、新しいエネルギー資源について私の研究室のホームページに、質問をしてきました。彼に「経済学者は持続的発展をとめて日本はどこまで経済活動を縮退させても持ちこたえられるか」という方向の研究をし、日本・世界の将来を見通すようにしなくてはいけないのではないか、それができるのは経済界ではなく経済学者ではないか、それができなければ経済学者の意味がないのではないか、と逆に質問しました。

その彼の答えは、「確かにそう思う。だが、経済学界では持続的発展を背景にした理論展開をしなければ、誰からもつまはじきにされる。自分も教授がそういう立場でしか認めないので、博士論文はそういうことで準備している。持続的発展を切り捨てる立場は、就職にジャーナリストを選ぶつもりだが、その後の活動でやっていきたい」とのことでした。

アメリカおよびそれに追従する日本は、すべての生産活動がフル加速の状態で進んでおり、止まることができない。つまりアクセルを緩めて定速走行になれない。日本は、フル加速を続けるために次々と新製品を生みだし、古い製品をごみにする資源輸入国だから、どうしても付加価値をつけてそういう生産を続ける構造になってしまっているというのが私の考えで、それをとめる方向を経済学者は見いださないかぎり、経済学者の責任は果たせないという次第です。破綻あるのみと。経済学は数学だということも言われているのですから、このまま発展すれば、ネズミ講と同じことだということは知っているはずですね。
――――――――――――

私も若井さんのお考えに同感です。昨日のブログ「私の疑問に初めて正面から答えた経済学者 中谷巌さんの最新著『資本主義はなぜ自壊したのか』」を読んでいただいた後、お読みいただくとことの本質がおわかりいただけると思います。

この大学院生は中谷さんが教授をされていた大学の院生でしたから、当時の中谷さんの影響を強く受けたことでしょう。彼は当時の状況下で「博士論文」を書き、その後、希望のジャーナリストとなって、現在、「持続的発展」を切り捨てる活動を続けているのでしょうか。お目にかかる機会があれば、ぜひ、お話をしてみたいと思います。

この機会にもう一つ、ぜひとも追加しておきたいことがあります。それはマスメディアから日常の経済動向について発言を求められる機会が多い「エコノミスト」と称される専門家のグループについてです

10年前のことでいささか古い話ですが、当時テレビ番組にも登場していたメリルリンチ証券チーフエコノミストのイェスパー・コールさんが、「論争 東洋経済」(1999年11月号)で、 「エコノミスト」の定義を次のようにあざやかに述べていました。日頃、マスメディアを通じて提供される「エコノミストの議論」に疑問を抱いてきた私にはまさに目からウロコが落ちるような感がありましたし、「10年経った今でもまったく新鮮だ」と思える発言です。

―――――――――
エコノミストが将来を予測できるという思い込は、20世紀末における最大の神話の一つといってよい。 (中略)  しかしこれだけは肝に銘じておこう。
 
昨日の予想がなぜはずれたかを、明日説明できる者――これがエコノミストの正確な定義である。エコノミストは、一国の経済動向や成長の原因を後から検証することはできる。しかし、何が景気回復や富の拡大の引き金になるか予測することは、彼らにとってもともと不可能なことである。
――――――――――

イェスパー・コール 『金融社会主義の終焉は間近』 p165~172の最初のページ

この定義は彼の論文の冒頭に出てきます。私は、イェスパー・コールさんの「エコノミスト」に対する定義は今でも正しいと思います。しかし、これに続く彼の論文の内容はどうでしょうか。2008年9月から現在までの世界の、そして日本の経済状況を見ますと、まさにこの定義通り、つまり、彼の論文は「エコノミストには将来を予測できない」という彼の仮説をみごとに証明してみせたのです。

「エコノミスト」の定義で始まった彼の論文の内容は10年後の今改めて読み直してみると、私には10年後の世界の現状を、そして日本の現状をまったく示唆していなかったように思います。


彼が属していたメリルリンチ証券は、今、世界同時金融危機の嵐の真っただ中にあります。かれらはこれから数年の世界の経済状況をどのように考えているのでしょうか。その予想が当たるかどうかは期待しませんが、どのようなメッセージを日本社会に発しているのか、聞いてみたい気はします。

ちなみに、今日閲覧したウィキペディアには、次のように書かれていました。

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メリルリンチ(Merrill Lynch & Co., Inc.)とは元米国三大投資銀行の一つで、国際的に幅広く展開をしていた金融機関であった。銀行業を始めとし、世界37カ国・地域に展開していた。現在ではバンク・オブ・アメリカに吸収されている。2008年9月15日、バンク・オブ・アメリカに1株29ドル、総額500億ドルで買収されると発表。2009年1月1日、バンク・オブ・アメリカによる買収が完了した。
----------


さて、今日の結論です。今日は『論争 東洋経済』(1999年11月号)に目から鱗の「エコノミストの定義」を書いて下さった、当時のメリルリンチ証券チーフエコノミストのイェスパー・コールさんをご紹介しました。先日、この定義を一層明らかにしてくれる“名言:経済学者が10人集まると11通りの処方箋があるを雑誌『週刊エコノミスト』(2009年2月3日号)に見つけましたので、ご覧ください。これでは、エコノミストが将来を予測できないのは当然すぎるほど当然ではありませんか。この神話は21世紀の今、2010年にもまだ生き続けているように思います。




私の疑問に初めて正面から答えた経済学者、中谷巌さんの最新著「資本主義はなぜ自壊したのか」

2009-03-22 17:39:53 | 経済
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2008年9月以降、経済関係の週刊誌には、世界や日本経済・金融危機に関する特集記事がこれでも、これでもかと掲載され、ますます読者を不安にさらしています。また、21世紀の日本経済や科学技術を論ずる雑誌や書物も溢れています。これらの著者の多くは評論家あり、自然科学系あるいは社会科学系の大学教授あり、エコノミストあり、ジャーナリストありと多彩ではありますが、これらの著者に共通していることは、工業化社会の経済の将来を左右する最も重要な要因である「資源・エネルギー問題」や「環境問題」の視点がまったくといってよいほど、欠落していることです。このことは、今なお経済学の基本的な枠組みが生産の基本的要素として 「資本」、「労働」および「土地」あるいは「技術」を掲げていることからも明らかです。

21世紀の経済や技術を論ずる経済学者やエコノミストの議論もこの枠組みを超えるものではありません。大学で講じられている経営学は企業や組織を学問の対象とし、「戦略論」「組織風土論」、「知識創造論」、「リーダーシップ論」、「ゲーム論」などを展開してきましたが、いまなお、企業活動に必然的に伴う「資源・エネルギー・環境問題」に十分踏み込んでいません。

経済関係の書物でも、特に、将来の経済の方向性を議論しているもの、具体的には「21世紀」を冠した書物で、 「資源・エネルギー問題や環境問題」に基礎を置いてない経済議論は絵に書いた餅のようなもので、バーチャル・リアリティの世界です。書物だけではありません。テレビの討論番組も、著名なエコノミストや一流経営コンサルタントによる経済に関する高価な有料セミナーも・・・・・・

★20年来の疑問に、ついにまともな答えが見つかった

何はともあれ、まずは次の図をご覧ください。
 
私が長らく日本の主流の経済学者に求めていた疑問  「経済成長はいつまで持続可能なのか」に対する答えがこれです。まさか、あの中谷さんからこの答えをいただくとは夢にも思いませんでした。さらに次のような記述があります。

●なぜ資本主義は環境を破壊するのか①

●なぜ資本主義は環境を破壊するのか②
 

中谷さんは、私がこの20年間、私の著書で、雑誌で、講演会で、そして、このブログで問い続けてきた「経済」と「環境」の関係について、疑問の余地がないほど、はっきりとお書きになっておられます。けれども、それは文字面だけのことです。本文に環境問題に対する本質的な議論がなく、中谷さんのご著書の「まえがき」に登場する識者のうち日常的に環境問題を論じておられるのは安田喜憲さんと末吉竹二郎さんのお二人だけで、安田さんは考古学者でご専攻が環境考古学です末吉さんは国連環境計画(UNEP)の特別顧問で環境問題と金融の関係で積極的に発言されておられますが、議論の範囲が限られています。

関連記事

私の環境論14 環境問題は経済の「目的外の結果の蓄積」(2007-01-24)

私の環境論 「経済危機と環境問題」①岩井克人・東大経済学部教授(2008-10-17)

私の環境論 「経済危機と環境問題」②行天豊雄・元大蔵省財務官(2008-10-18)

私の環境論 「経済危機と環境問題」のとりあえずのまとめ(2008-11-29)

★「パラダイムの転換」とはいうけれど

私の「スウェーデンに学ぶ持続可能な社会」(朝日選書792)の「第5章 経済成長はいつまで持続可能なのか」(p137~162)の最初の節を紹介します。中谷さんの基本認識を意識しながら読んでいただくとわかりやすいと思います。

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20世紀の政治・経済分野の基本テーマは「市場経済主義(資本主義)」か「社会主義」かでした。21世紀前半社会の基本テーマが、グローバル化に基づく「市場経済主義のあり方」であることに異論をはさむ社会科学者はほとんどいないでしょう。21世紀の社会は、過去・現在の延長線上にありますが、現在をそのまま延長・拡大した(フォアキャストした)方向にはあり得ないことは、これまで議論してきたように、「資源・エネルギー・環境問題」から明らかです。 

ヨーロッパには、ドイツ、フランス、英国、北欧諸国という、所得水準が高く、資本主義のあり方がまったく異なる国々が共存しています。これらの国々は福祉への取り組みも異なりますが、EUを構成する主要国として米国とは異なる道を模索しています。この現象は「米国型の市場原理主義」と「ヨーロッパ型の福祉国家路線」の対立のようにも見えます。そして、日本は米国に追従しているように見えます。
 
20世紀から21世紀への移行期にあたって、社会科学系の学者や研究者は「パラダイムの転換」という言葉を好んで用います。しかし、日本の政治や社会に大きな影響力を持つ社会科学系の学者の考え方の枠組みには、「資源・エネルギー・環境問題に関する十分な概念」が埋め込まれていないため、パラダイムの転換については、「20世紀型経済成長」の延長線上の議論に終始しています。このことは、小渕恵三内閣のときに組織された経済戦略会議の提言の背景にある歴史的認識にもあらわれています。

ここでとりあげた「経済戦略会議の歴史的認識」は、社会科学系の学者や研究者には説得力のある意見と映るかもしれません。しかし、「経済の持続的拡大」の延長上にある、古い考えではないでしょうか。ここに示された歴史的認識は大問題です。 

★中谷さんの「資本主義はなぜ自壊したのか」への反響 
                 
ネット上にはそれぞれの立場からの賛否両論が渦巻いています。経済の門外漢である私は、中谷さんのような経済学者が「環境問題」を十分意識したという点で評価をしているのですが、ネット上の評価は必ずしもそうではありません。特に、12月発売直後の反応は中谷さんが考え方を改めたという点で読者の方々にさまざまな戸惑いがあったようです。

中谷さんが、開放経済とは言い難い「ブータン」や「キューバ」に関心を寄せたのは意外でしたが、開放経済である北欧諸国に興味を感じ、「なぜ北欧経済は活気を呈しているのか」と題した節で、「そこで我々がまず参考にしなければいけないのは、アメリカ流の新自由主義とは対極にある北欧の国々のあり方である」とおっしゃっているのが新鮮で、印象的でした竹中さんとは正反対です。


このブログ内の関連記事
ついに、あの中谷さんも、竹中さんも「北欧の成長戦略に学べ」 と ???(2010-01-05)



私は中谷さんの「資本主義はなぜ自壊したのか」を読んだ後に、週刊朝日の「改革が日本の不幸にした」(2009年1月23日号)、文藝春秋の「竹中平蔵君、僕は間違えた」(2009年3月号)を読みました。他の経済学者が中谷さんの著書をどのように読んだのか興味があったのですが、3月14日付けの朝日新聞に9人の経済学者や社会学者のコメントを紹介した記事が掲載されました。

●週刊朝日 「改革が日本を不幸にした」(2009年1月23日号)

●毎日新聞「文化」 中谷巌さん(2009年3月9日)

●朝日新聞 資本主義はどこへ 「成長」 竹中平蔵さん(2009-03-09)             

●松岡正剛の千夜千冊 1285夜 中谷巌著『資本主義はなぜ自壊したのか』 日本再生への提言


★私の結論


中谷さんがおっしゃるように、環境問題は世界のほぼ全域に広がった、市場経済社会を揺るがす「21世紀最大の問題」と位置づけられますが、主流の経済学者やエコノミストの多くには、そのような認識はほとんどないようです。これまでの経済学は人間と人間の「貨幣による関係」を扱い、貨幣に換算できない関係を無視してきました。経済学の枠組みのなかに、経済活動の本質である「資源・エネルギー・環境問題」の基本的概念が十分にインプットされていないからです。

こうした、いまとなっては間違った前提に基づき、 「持続的な経済成長」というビジョンから抜け出すことのできない経済学者やエコノミストの言説を無批判に受け入れるのではなく、「資源・環境・エネルギー問題」に配慮した、自然科学者の明るくはない未来予測に、耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。

次の図は「経済大国」日本と「福祉国家」スウェーデンの「環境問題」に対する社会的な位置づけの相違を表しています。人間社会には「政治システム」「社会システム」「経済システム」があり、それらのバランスが大切なのですが、日本では常に「経済システム」を優先する傾向があります。人間社会は自然に支えられて成り立っています。日本とスウェーデンの「環境問題に対する位置づけの相違」にご注目ください。


日本は「環境問題」を人間社会に生じるさまざまな問題の一つと考えています。ですから、環境問題よりも、目の前の景気回復や格差のような経済・社会問題のほうを重視しがちです。一方、スウェーデンは人間社会を支える自然に「環境問題」という大問題が生じていると考えます。両国が考える「環境問題」の位置と大きさをご確認ください。スウェーデンでは、ここに掲げたような日本の経済・社会問題はほとんどないか、あるいは解決済みと言ってよいでしょう。

スウェーデンが考える「持続可能な開発」とは社会の開発であって、日本が考える経済の開発、発展あるいは成長ではありません。


15年前のウォーラーステインの主張がいよいよ現実に!

2009-02-01 19:51:02 | 経済
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前回のブログの更新から2週間以上経ってしましました。
2008年秋に急速に広がった感がある世界金融危機の発端は昨年9月15日の「米国の投資銀行」 リーマン・ブラザーズの破綻による「リーマン・ショック」だと言われています。それ以来、マス・メディアはこぞって、金融危機に関する連載記事を掲げ、その道の識者へインタビューを試みています。

このブログで取り上げた経済学者の岩井克人さん(東京大学経済学部教授) スティグリッツさん(米コロンビア大学教授) はそれぞれ「新古典派経済学の実験は破たんした」、「この危機をきっかけに、新自由主義は終わりを迎えなければならないと思う」と述べておられます。

このような主張を目にして、私がずぐ思い出したのはアメリカの社会学者ウオーラーステインさんのお考えを掲載した14年前の朝日新聞の記事です。

私はこの記事を見るまでは、この方のお名前さえも知りませんでした。この記事が初めての出会いでした。私がこの記事をとっておいたのは、「もう一つの大きな問題は環境問題です。500年の間に人類は地球の森や水を犠牲にしてきました。地球の環境問題を本当の意味で解決しようとすれば、それだけでも資本主義の経済は破産に追い込まれてしまうような深刻なものです」という記述があったからです。

この記述は当時の(そして今も)私の環境論の基本的な認識とぴったり一致しています。

関連記事

私の環境論14 環境問題は経済の「目的外の結果の蓄積」(2007-01-24) 



そして、この方の著書『脱社会学』(藤原書店 1993年9月発行)のp145に次のような記述を見つけ、わが意を得たりと思っていました。

ウォーラーステインさんが国際社会で、そして、日本のしかるべき学界でどのような評価を受けているのか、門外漢の私にはさっぱりわかりませんが、上記の新聞記事を読む限り、「私の環境論」ウォーラーステインさんの「世界システム論」は親和性が高いような印象を受けています。最近のご著書を拝見する機会を見つけようと思います。    


2007年 国民1人当たりGDP スウェーデンは8位、日本は19位(G7で最下位)

2008-12-26 11:15:05 | 経済
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2009年1月18日の学習会のご案内 
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昨日のブログで、OECDの試算によると、「2010年のODAの対GNI比はスウェーデンが1位であるのに対し、日本が22カ国中米国と並んで最下位となる見通し」という報道を紹介しました。

今日は、「2007年の国民1人当たりのGDPがスウェーデン8位、日本が19位(G7で最下位)」という12月25日に内閣府が発表したデータを紹介します。世界全体のGDPに占める日本の割合は8.1%となったそうです。一方スウェーデンは7位となっています。

関連記事

危機の時代 どうする日本、 スウェーデン型社会という解答(2)(2008-12-17) 

日本の一人当たりGDP OECD30カ国中18位、そして・・・・・(2007-12-27)

2010年のODA試算 日本最下位、ODAの対GNI比 スウェーデン1位、日本最下位

2008-12-25 11:32:41 | 経済
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このところ、日本のマスメディアは米国発の経済危機の広範な影響とそれに伴う不況の報道で大わらわのもようです。このような状況下で、12月22日の朝日新聞の夕刊が「2010年のODA」のOECD試算の結果を報じています。

ここでも、スウェーデン(1位)と日本(最下位)は正反対の位置づけにあります。

関連記事

06年のODA実績 GNI比 スウェーデン1位、日本18位(2007-04-04) 

ロバート・ハイルブローナー  21世紀の資本主義、その行方は???

2008-03-30 07:47:28 | 経済
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★20世紀の資本主義






関連記事

「パラダイムの転換」とはいうけれど(07-02-13)



★21世紀の資本主義

野村総合研究所主席エコノミスト、福島清彦著「ヨーロッパ型資本主義 アメリカ資本主義との決別」(講談社 現代新書」2002年10月発行)の15ページおよび23ページに次のような記述があります。私には大変理解しやすい記述です。





1994年2月に、ダイヤモンド社からロバート・ハイルブローナー(1919年生まれのアメリカの経済思想史家で、ニューヨークのニュースクール・フォー・ソシアル・リサーチ大学院の経済学教授)著/中村達也・吉田利子訳「21世紀の資本主義」が出版されました。この本の帯びには「馥郁たる香り、ある経済学者の苦悩とロマン。珠玉のエッセー。昨秋、全米で出版後惣ち全米ベストセラー。『ニューヨーク・タイムズ』紙のブックレビュー、1993年ベストブック<経済部門>に選ばれる」と魅力的なコピーがあります。

私はこの著者を全く知りません。この著者が世界の経済学者の間で、米国の経済学者の間で、あるいはわが国の経済学者の間で経済学者としてどう評価されているのか全くわかりませんが、この本を読み進むうちに、私の環境問題に対する認識と基本的に合致する箇所がかなりありましたので、その部分を読者の皆さんの議論のための参考に供したいと思います。






(1)勝利につながる資本主義の戦略とは




(2)21世紀に成功する資本主義




(3)資本主義を揺るがす大問題

 


日本語版への序章(5ページ)で、著者は「日本が現在の栄光に安住するなら、それは愚かなことである」と述べています。まさに、21世紀に入った現在の日本の状況を見通していたのかもしれません。

そして、この本の最終章「第5章 未来へのシナリオ」の最終節「資本主義を超えたところに何があるか」で、こんどは、スウェーデンが登場します。著者は次のように述べています。

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「スウェーデンのように社会主義的資本主義の考え方を熱心に追及してきた国は資本主義の要請、なかでも、資本蓄積の必要性と、平等という社会主義的目標追求との矛盾によって、袋小路にはまりかけている。スウェーデンはいまでも人間の顔をした資本主義の明るい例であり、多くの点で、近い将来も適応によって生き延びることのできる資本主義だと思う。しかし、勢いが失われて、あまり成功しているとはいえない現在の状況から前進できると予想するのは非常に難しい。スウェーデン、それにある程度までは市場型社会主義一般は、前進はおろか、見通しすら困難な辺境に達したようである。それでは、スウェーデンを超える道はあるのだろうか」(119ページ)
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と疑問を呈し、そのスウェーデンを超える道として、著者は社会の統合原理を「参加」におく、参加型社会の理念に人類の未来を託すと考えているようです。この本が出版された1994年前後はまさにスウェーデン経済が苦しんでいる時でした。

ですから、日本の今を見事に見通したこの本の著者も15年後の今のスウェーデン社会を見通すことは難しかったのかも知れません。 

関連記事  
希望の船出から11年-経済も、環境も、福祉も、 バックキャストが有効だ!(08-03-30)

北欧はここまでやる。週刊東洋経済1月12日号が特集(08-01-07) 

進化してきた福祉国家⑪ スウェーデンについて私たちが最近知ったこと(07-09-06) 

進化してきた福祉国家⑫ スウェーデンを軽視する日本(07-09-07) 



そして、著者はこの本を次のような考えで結んでいます(121ページ)。


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それでは、21世紀の社会はこの方向に向かうのであろうか。私はそうは思わない。移行は非常に難しく、社会の再構成は非常に複雑である。とりわけ、真の意味でこれほど革命的な変化が、歴史的にほんの短期間で起こるならば、抵抗もきっと激しいだろう。参加型経済は、破局をも含むどんなことが起ころうと、21世紀の社会秩序とはならないと思う。     

しかしながら、思想はそれ自身生命力を持つ。少なくとも、資本主義後のそうした秩序にかかわる目標と一般的な社会概念が、来るべき世紀に私たちの意識に芽生えることは不可能ではない。参加型社会の思想や理想は、資本主義をできるだけ長く機能させようと苦悩しているあいだは、大いに役立つにちがいない。解決や成功ではなく、緊張と失敗が常態となる可能性が大きいこれからの時代、そのことを想定して別の社会的目標を設定しておくことは、けして無駄ではあるまい。
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私の考えでは、(1)、(2)および(3)を理解し、実践して来た数少ない国のひとつ(おそらく唯一の国)がスウェーデンではないかと思います。私は2007年8月31日のブログ「進化してきた福祉国家⑨ 現実主義の国vs現状追認主義の国」 「現実は社民党最大の敵である」という故パルメ首相の言葉を引用し、スウェーデンの現実主義を紹介しましたが、この言葉はまさに(1)に対応しますし、スウェーデンの現在の社会は(2)のようですし、スウェーデンの持続可能な社会への挑戦はまさに(3)を理解したものです。



★「ゆで蛙」という寓話

1995年4月15日付の朝日新聞の論壇に「このまま“ゆで蛙”になりたくない」と題する米スタンフォード大学教授の今井賢一さんの主張が出ておりましたが、この主張は(1)と同じことを言っているのだと思います。    

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われわれ日本人は「ゆで蛙」になり安楽死しつつあるのではないか。「ゆで蛙」というのは、アメリカのビジネススクールでよく語られる「蛙をフラスコに入れて、 高温で熱すれば、蛙は飛び出して助かるが、徐々に熱すると気持ちよく安楽死してしまう」という実験例のことで、企業がリストラをするような場合にも、だらだら少しずつやるのは禁物だという寓話である。理論というほどのものではないが、アメリカ人らしく産業界の具体例を引いて説明するので、なかなか説得力がある。    

われわれ一人ひとりが外界の熱を感知して、「自己」を変えつつ、他と連動して社会を動かして行く(自己組織化)ことであるが、頼るべき哲学なしでは漂流する。基本に立ち返ることである。「基本」とは環境の変化にリアルタイムに対応して生きることである。

企業が真に革新しうるには、企業を構成する個々人が自らをリエンジニアリングしなければならない。変化の激しい時ほど、新たな経済機会が生まれ、社会や個人に潜在していた能力が発揮される。
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年度末にあたって、改めて日本経済を支える基本条件の確認と 「日本の効率化」とは

2008-03-28 10:48:34 | 経済
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日本の年度末にあたって、21世紀の日本の環境問題を考えるときに、私たちが把握しておかなければならない日本特有の主な条件を挙げておきます。それは日本経済が制約を受ける社会的・地理的条件です。大変不思議なのは、このような前提を忘れた議論ばかりが行われていることです。


★日本経済が制約を受ける地理的・社会的条件

●日本は世界第2位の経済活動をしている経済大国であること。90年代、日本は世界のGDPの総和=約30兆ドルの16%に相当する4.8兆ドル=約500兆円をつくりだす経済活動を行なっていた。日本の2006年の名目GDPはおよそ4.3兆ドルで90年代とほぼ同じであるが、BRICs(ブラジル、ロシア、中国およびインド)などの新興国の経済規模が拡大したため世界全体の経済規模は拡大しており、日本の占める割合は9.1%に低下した。

先進工業国第2位の人口大国であること。2005年、約1億2770万人、世界人口の約2.0%、2004年にピークを迎え、以後減少傾向にある。

国土と可住面積の狭さ(約37万平方キロメートルの国土)、約343人/平方キロメートル(2005年)の人口密度の濃さ

これらの3条件は、経済的な視点から見れば「大きな国内市場」を意味するとともに、スケールメリットによる効率化を生むことになりますが、環境問題の視点から見れば「環境負荷の増大」と「人体の負荷増大」を意味することは、すぐにおわかりいただけると思います。さらに、厳しい3つの条件があります。

●原材料の約30%、エネルギーの約90%を海外に依存している。

この100年間で日本のエネルギー消費が下がったのは、第1次世界大戦と昭和大恐慌、第2次世界大戦、70年代の石油危機のときしかない。

●食糧自給率が40%を切り、先進国中最低。





★日本の「効率論」で忘れてはならない大前提

ところで、日本の企業人、エコノミスト、政策担当者の多くはこれまで日本の経済パフォーマンスを語るとき、「効率の良さ」を挙げてきましたが、これには次のような大前提があることを忘れてはなりません。

平穏時あるいは予想される範囲の近未来しか想定していないこと。あらかじめ準備していたことを遂行する時には、日本の官僚機構、企業、学校などの既存の組織はきわめて有効に働くが、事前に想定された範囲を超える出来事(大事故や大きな自然災害など)が起こるとシステムが機能しなくなる。 

常に健康な成人を想定していること。社会を構成するのは老若男女である。それぞれに健康なものもいれば、そうでないものもいる。日本の制度は健康な成人に焦点を当てた「強者の論理」に基づくものである。
 
これらの前提に立てば、生産、物流コストをぎりぎりまで切り詰め、「効率化」を図ることが可能となりますが、安定した社会やインフラの整備、自由な企業活動を保障するとともに、国民の健康、生活、財産の安全を確保するには、さらにコストがかかるはずです。社会全体のコストを考えることが重要です。




★「経済成長一辺倒」の20世紀、「21世紀の方向性」が見えない日本



G8は依然成長路線(07-02-12) 

 「パラダイムの転換」とはいうけれど(07-02-13) 

 「成長論」しか言えない経済学界(07-02-14)

 「成長一辺倒」の戦後60年①(07-02-15)

 「成長一辺倒」の戦後60年、これからも(07-02-16) 

経済、エネルギー、環境の関係



小渕恵三内閣のもとにつくられた「経済戦略会議」に、当時の経済企画庁長官であられた堺屋太一さんに請われて、メンバーに参加した竹中平蔵さんは、小泉内閣では経済財政政策・金融担当大臣を務められました。皆さんは、次に示した竹中さんのお考え「経済が2%成長できるということは、35年後に所得水準が2倍、親から子どもの世代にかけて、生活水準を2倍にできるという夢の経済」を同評価しますか。





下の図は、2006年10月に当時の自民党幹事長であられた中川秀直さんが上梓した「GDP1000兆円 上げ潮の時代」(講談社)の「はじめに」です。先に紹介した竹中さんの発想そのものといってよいような文章が出てきます。ただし、こちらは竹中さんの「経済が2%成長できるということは・・・・・」ではなくて、「名目4%成長で成長していけば・・・・・」です。


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日本は今、まさに20世紀の価値観とは異なる21世紀社会への転換期を迎え、その方向性が見えず苦悩しているところです。




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またまた過去最高を更新、2つの財政指標

2008-03-11 10:37:33 | 経済
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「 シンポジウムのご案内」と「趣意書」は下の図をクリック            「第3回学習会のご案内」は下の図をクリック           


混迷を続ける日本で、確実に、そして、着実に、「過去最高」を更新している2つの財政指標があります。何かと異論の多い「国民負担率」と「国の借金残高」です。


●国民負担率


2008年1月24日の毎日新聞の記事です。




●国の借金残高


これらの件については、改めてコメントをする必要はないでしょう。好ましいことではなさそうです。前回の発表との比較にご関心のある方は、次の記事をご覧ください

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2008年1月の景気動向指数

2008-03-10 16:04:05 | 経済
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「 シンポジウムのご案内」と「趣意書」は下の図をクリック            「第3回学習会のご案内」は下の図をクリック           


今月もまた、内閣府が「景気動向指数」を発表する時期となりました。下の図は3月6日に発表された2008年1月のものです。


私の環境論では、20世紀後半に顕在化した「環境問題」の大半は、私たちが豊かになるという目的を達成するために、企業による生産活動と市民の消費活動があいまってつくりだした経済活動の「目的外の結果」が蓄積したもの です。経済活動が大きくなれば「目的外の結果」も比例的に、あるいはそれ以上に大きくなります。

ですから、これからの経済は、 「経済活動(モノやサービスの流れ)」を「金の流れ」で見るのではなく、「資源・エネルギーの流れ」で見なければなりません。

そのためには経済成長(GDPの拡大)、具体的には「個人消費の拡大」「設備投資の拡大」「貿易の拡大」「民間住宅投資の拡大」「巨大構造物の建設」といった、これまで当然視してきた「拡大志向の考え方」やその考えを支えてきたさまざまな「経済指標」を変えなければならないでしょう。それは、こうした指標が「資源・エネルギー・環境問題」の現状をまったく反映していない性格のもの だからです

たとえば、「景気動向を最も的確に示す」といわれ、内閣府が毎月6日頃に公表する「景気動向指数(DI)」があります。私がまず変えるべきだと思うのは、この指数を構成する指標です。景気動向指数は、景気と深いかかわりを持っている30の指標からなっています。景気に先行する「先行指数」(11指標)、景気と一致して動く「一致指数」(11指標)、景気に遅れて動く「遅行指数」(8指標)ですが、これら3つの指数は高度成長期に入る1960年代に創設され、80年頃に現在の指数に定着したものです。

上の図に示したように、ほぼ30年前に定着した「一致指数」を構成する11の指標は、生産指数(鉱工業)、大口電力使用量、稼働率指数(製造業)、商業販売額(小売業および卸売業)、営業利益(全産業)など、すべて「経済規模の拡大」を前提とした指標だからです。「先行指数」や「遅行指数」も同様です。


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2007年12月の景気動向指数(08-02-07)



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環境への配慮がない経済用語:回復、減速、景気動向指数など・・・・・

2008-02-24 17:44:39 | 経済
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今日の「ニュースがわからん!」は経済用語です。私が環境問題のかかわりで、毎月紹介している景気動向指数もその一つです。景気動向指数は、景気と深いかかわりを持っている30の景気指標からなっています。景気に先行する「先行指数」(11指標)、景気と一致して動く「一致指数」(11指標)、景気に遅れて動く「遅行指数」(8指標)ですが、そのうち「先行指数」は高度成長期に入る1960年頃創設され、80年頃に現在の指数に定着したものです。 

20数年前に定着した11の指標は、生産指数(鉱工業)、大口電力使用量、稼働率指数(製造業)、商業販売額(小売業および卸売業)、営業利益(全産業)など、すべて「経済規模の拡大」を前提とした指標です。


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12月の景気動向指数(08-02-07)  



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2007年12月の景気動向指数

2008-02-07 13:06:08 | 経済
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「私の環境論」で皆さんに伝えたい最も重要なメッセージは、 「経済」と「環境問題」は切っても切れない関係にあるコインの裏表と表現してもよいということです。もう少し丁寧に述べれば次のようになります。

●経済活動は、 「目的とする結果(経済成長、つまり、GDPの拡大)」とともに、必ず 「目的外の結果」を伴なう。「目的外の結果」の大気圏,水圏および土壌への蓄積が「環境問題」である。言い換えれば、環境問題とは経済活動(資源とエネルギーの利用)の拡大によって生じた「生態系の劣化」、「人間の生存条件の劣化」、そして「企業の生産条件の劣化」と言ってよい。

●人間を忘れた環境問題はありえない。環境問題を解決できるのも、悪化させるのも現在に生きる我々だけである。環境の持続性が「持続可能な社会の最も重要な必要条件」であることが理解できれば、環境問題の論点は「対応できるか、できないか」ではなくて、「対応できなかったら、我々はどうなるか」でなければならない。



ですから、私は常々、内閣府が毎月6日前後に公表する「20世紀の遺物と言ってもいいような景気動向指数」という経済拡大の現状を評価する指標を改め、21世紀の経済活動の合理性を示す新しい指標をつくるべきだという主張をしてきました。指標が変われば、今まで見えてこなかったものが(エコノミストにも)見えてくるからです。



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混迷する日本⑧ あの「景気動向指数」のルーツを発見(?)(08-01-22) 




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混迷する日本⑧ あの 「景気動向指数」 のルーツ(?)を発見

2008-01-22 21:10:06 | 経済
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昨年12月12日のブログで「10月の景気動向指数」をとりあげ、いつものように、 「環境への配慮がまったく反映してない経済指数だ」と書きました。私の主張は、だから、早く変更すべきだというものです。

このブログにトラックバックが付きました。そこには「景気動向指数」の解説がありました。


景気動向指数

わたしにとって、たいへん興味深かったのは次の記述です

xxxx
このような景気動向指数の考え方は、1930年代に全米経済研究所(NBER)の経済学者によって開発された。日本では60年(昭和35)より経済企画庁(2001年からは内閣府)が指数を作成し、発表している。景気の山と谷を景気の転換点という意味で景気基準日付というが、一致指数が50%の基準線を上から下に切るときが景気の山、逆に下から上に切るときが景気の谷に対応している。
xxxxx

「景気動向指数」は1930年代に米国経済研究所の経済学者によって開発され、日本では1960年から現在に至るまで使われているという記述を見ると改めて「環境問題に直面している21世紀の経済指標としてはふさわしくない」という私の主張に正当性があることを知り、意を強くしました。

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10月の景気動向指数(07-12-12) 

私の環境論13 「経済」と「環境」は切り離せない(07-01-23) 

来年4月から「景気動向指数」をDI方式からCI方式に変更(07-12-29) 



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11月の景気動向指数

2008-01-11 12:39:32 | 経済
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今日の朝日新聞が、内閣府が1月10日に発表した「昨年11月の景気動向指数」を報じています。この記事には図が掲載されておりませんので、わかりにくいかもしれませんが、記事中に出てくる指標がどのようなものなのか、なぜ私がこの指標に注目しているのかは過去のブログ記事を参照してください。


毎日新聞には、見慣れた図が掲載されていました。

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来年4月から「景気動向指数」をDI方式からCI方式に変更

2007-12-29 10:38:03 | 経済
 

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私の環境論では、経済活動と環境問題は「原因と結果」の関係にあり、「コインの裏表」のように切っても切れない関係にあると考えています。そこで、私は私のブログ中で繰り返し、内閣府が毎月6日前後に公表する「景気動向指数」が60年頃の高度経済成長期につくられたものであり、21世紀の経済指標としてふさわしくないので変更すべきではないかと問題提起してきました。そして、指標を変えれば、今まで見えてなかったことが見えてくるようになるとも主張しました。

12月18日の毎日新聞が、来年4月分(公表は6月)から「景気動向指数」をDI方式からCI方式に変更することを内閣府の有識者会議が決めたと、報じています。


内閣府がこの指数を初めて発表した1960年以来、48年ぶりの変更だそうです。いかにも動きが遅いと思います。新しい景気動向指数がどのように変更されるのかわかりませんが、国際社会の大きな変動にハラハラしながら、この指数に一喜一憂してきたエコノミストやエコノミストの見解をそのまま受け入れてきた政治家や官僚、企業家に国際社会の大きな変動がわかるような指標になってほしいと思います。

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1月23日のブログ「私の環境論13 環境と経済は切り離せない」

2月19日のブログ「景気動向指数と長期間労働」

4月7日のブログ「2月の景気動向指数」

5月12日のブログ「3月の景気動向指数」

6月11日のブログ「4月の景気動向指数」 

7月11日のブログ「5月の景気動向指数」  

9月10日のブログ 「7月の景気動向指数」 

10月10日のブログ 「8月の景気動向指数、学生の反応、環境危機時計、そして、割りばしリサイクルに励もう」(10/8) 

11月7日のブログ「9月の景気動向指数」 

12月12日のブログ「10月の景気動向指数」 


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日本の2006年の名目GDP:世界の10%を割る

2007-12-28 12:40:55 | 経済


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昨日の日本経済新聞が一面トップで「日本の2006年の名目GDPが、世界の10%を割った」と報じています。ニュースソースは、内閣府が一昨日発表した「06年度国民経済計算確報」で、この記事は昨日のブログとも関連します。
 

この記事の図をご覧下さい。94年をピークに「日本の世界経済に占める割合」は年々低下し、2006年には10%を切ったのですが、日本の、そして、世界のGDPは成長を続け、それを支えるエネルギー供給量と消費量は着実に増加しています。つまり、世界経済の規模が拡大し続けているからです。「有限な地球」という概念がいまだ十分に理解されていないのです。世界の大勢は「エコロジー的に持続可能な社会」へ向かっているとは言えません。

私の環境論では、経済活動と環境問題は「原因と結果」の関係にあり、「コインの裏表」のように切っても切れない関係にあるのですが、経済分野のジャーナリストやエコノミストは20世紀同様、21世紀になっても相変わらず経済活動と環境問題を切り離して考えているようです。



このように判断基準を変えれば、これまで見えてこなかった新しい潮流が見えてきます。


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