環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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私の環境論 「経済危機と環境問題」⑦ ジョセフ・スティグリッツ・米コロンビア大学教授

2008-11-03 21:03:25 | 環境問題総論/経済的手法
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20世紀から21世紀への移行期にあたって、社会科学系の学者や研究者は「パラダイム(思考の枠組み)の転換」という言葉を好んで用います。 

しかし、日本の政治や社会に大きな影響力を持つ社会科学系の学者の考え方の枠組みには、「資源・エネルギー・環境問題に関する十分な概念が埋め込まれていない」ため、パラダイムの転換については、「20世紀型経済成長」の延長線上の議論に終始しています。このことは、小渕恵三内閣のときに組織された経済戦略会議の提言の背景にある歴史的認識にもあらわれています。 

この会議のメンバーであった慶應義塾大学総合政策学部教授(当時)の竹中平蔵さんは、1999年の著書「経世済民 経済戦略会議の180日」の第4章 構造改革への道で、「なぜ、いま構造改革なのか」というタイトルのもとで、経済戦略会議の歴史的認識を次のように書いています。この部分は、日本の21世紀社会がめざすべき方向を、経済戦略会議が示唆していると考えられる重要なメッセージです

ここでとりあげた「経済戦略会議の歴史的認識」は、社会科学系の学者や研究者には説得力のある意見と映るかもしれません。しかし、「経済の持続的拡大」の延長上にある、古い考えではないでしょうか。ここに示された歴史的認識は大問題です10年経った今、 この歴史的認識がやはり古い考えであったことが証明されたのではないでしょうか 



朝日新聞の企画「経済危機の行方 世界は」が7回目となりました。今回登場するのは2001年のノーベル経済学賞を授与された米コロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツさんです。「資源・エネルギー、環境問題」の視点が入っているかどうか、ご確認ください。

スティグリッツさんは上の記事の中で「この危機をきっかけに、新自由主義は終わりを迎えなければならないと思う。規制緩和と自由化が経済的効率をもたらすという見解は行き詰った。」と述べておられます。

それでは、「資源・エネルギー、環境問題」の視点はどうでしょうか。長期的視野に立って地球温暖化対策に力を入れ、 「グリーンなアメリカ」を作るべきだ、とおっしゃっています。

私が15年ほど前から言い続けてきた「経済学に対する基本的な主張」をやっとノーベル経済学賞受賞の経済学者がアメリカ発のサブプライムローンに起因する経済危機におよんで、 「新自由主義の終わり」「グリーンなアメリカ」 (資源・エネルギー、環境問題をきちんと考慮に入れたアメリカ)を主張し始めたのです。

米国がこの機に「グリーンなアメリカ」を模索することになれば、「グリーンな福祉国家」スウェーデンに遅れること12年、日本はさらに何年か遅れることになるでしょう。

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