goo blog サービス終了のお知らせ 

環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

日本の一人当たりGDP OECD30カ国中18位、そして・・・・・ 

2007-12-27 11:28:22 | 経済


私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック


今朝の朝日新聞が、内閣府が昨日発表した「06年度国民経済計算確報」で、2006年の日本の国民一人当たり名目GDPがOECD30カ国中18位で、1980年以降最低であったと報じています。また、世界のGDPに占める日本のシェアは9.1%で、これも1980年以降最低だったそうです。


「経済成長が常に正しい」と考えられていた20世紀の判断基準では、日本のこの状況は困ったものですが、「環境への負荷」を考慮に入れなければならない21世紀の判断基準では、日本のこの状況は一層困った状況だと思います。 

このランキング表からは読み取れないのですが、「国民一人当たりのGDP」という指標ではルクセンブルグは少なくとも2000年以降ダントツで世界1位を保持してきた国です。12月7日に、バリ島で開かれていたCOP13の会議にドイツの環境保護団体「GERMANWATCH」が公表した「温暖化対策実行ランキング 2008」(下図)では、56カ国中53位となっています。京都議定書で-28.0%(EU内で最大の削減目標)に対して、0.4%増となっています。日本は42位、米国は55位です。


このように判断基準を変えれば、これまで見えてこなかった21世紀の新しい潮流が見えてきます。
 


関連記事

世界のGDP、日本のGDP(2/18) 

温暖化対策実行ランキング スウェーデン1位、日本42位(12/9)  




それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。

      


10月の景気動向指数

2007-12-12 11:49:52 | 経済
 

私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック


内閣府は12月6日、「10月の景気動向指数」を発表しました。いつも申し上げていますように、まったく、環境に配慮していない経済指標です。なぜか見慣れた表が掲載されていません。



関連記事

9月の景気動向指数(11/7) 





それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。

      

9月の景気動向指数

2007-11-07 11:46:07 | 経済
 

私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック 

持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック


今日の朝日新聞が、昨日内閣府が発表した「9月の景気動向調査」を報じています。

今日の記事には、いつも見慣れた図が掲載されていません。その代りに、記事の見出しは「半年後の景気指数 16年ぶり「0%」となっています。この見出しは何か変化が起こりそうな雰囲気を漂わせているようにも感じられます。

こちらは毎日新聞です。
 

この種の数字に一喜一憂しているエコノミストには内心、心穏やかでないのかも知れませんが、環境問題からこの指標に注目してきた私はエコノミストがどのようなコメントを出すかに興味があります。 

関連記事

8月の景気動向指数、学生の反応、環境危機時計、そして、割りばしリサイクルに励もう(10/8) 

私の環境論13 「環境」と「経済」切り離せない(1/23)  







それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。

      

 WEFの「国際競争力報告書 2007-2008」

2007-11-02 10:36:40 | 経済


私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック


10月17日のブログ「日本の温暖化対策:経産省vs環境省、日本経団連vs経済同友会」 で、世界経済フォーラム(WEF)は10月31日に「国際競争力報告書 2007-2008」を公表する予定、と書きました。そして、この日のブログの結論は、「1991年に二酸化炭素を導入したスウェーデンのほうが国際競争力の低下を懸念して二酸化炭素の導入に反対している日本よりも国際競争力が高くなっている」としました。

昨日の朝日新聞が、10月31日に公表されたWEF(世界経済フォーラム)の「国際競争力報告書 2007-2008」の競争力ランキングを掲載しています。

もし、経産省や日本経団連が主張するように、「二酸化炭素税の導入」と「国際競争力の低下」の間に
相関関係があるとするならば私の結論は前回と同様、「1991年に二酸化炭素を導入したスウェーデンのほうが国際競争力の低下を懸念して二酸化炭素の導入に反対している日本よりも国際競争力が高くなっている」ということです。

このランキングが示すように、判断基準を変えれば、順位は変わるものです。

関連記事
  
WEF プレス・リリース:世界競争力ランキング 2007-2008

判断基準を変えれば、別のシーンが見えてくる(10/10)



 

ちなみに、次の図は昨年9月に、朝日新聞が報じたランキングです。



関連記事

WEF Executive Summary The Global Competitiveness Report 2006-2007


上の二つの図の整合性は不明です。ですから、これらのランキングは一喜一憂することなく、気軽に“相対的な見方の一応の目安”として利用するのがよい と思います。









それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。

      


8月の景気動向指数、学生の反応、環境危機時計、そして、割りばしリサイクルに励もう、

2007-10-08 18:07:36 | 経済
 

私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック 

問合せ先
持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>
メールgreenwelfarestate@mail.goo.ne.jp  
ウェブ http://blog.goo.ne.jp/greenwelfarestate

 ●関連記事 学習会のご案内(10/5) 



カテゴリー「日本は今」で、私が皆さんにお伝えしたいメッセージは上に書きましたように「環境の現状」をよく知ることです。環境の現状をよく知れば、どのような行動が実効性のある行動で、どのような行動が実効性のない行動かがわかると思います。

そこで、今日はばらばらなデータを示して、皆さんご自身で「日本の環境の現状」をよく考えていただきたいと思います。ですから、あえて私のコメントはつけません。


(1)国の行動 8月の景気動向調査


関連記事

私の環境論13 「環境」と「経済」は切り離せない(1/23) 

景気動向指数と労働時間(2/19) 

3月の景気動向調査(5/12) 

6月の景気動向指数(8/14) 


(2)生産の増大、消費の増大 



https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/03/7e371975a014f722ee3aeb20c092c879.jpg 





(3)私の講義に対する大学生の反応

●小学六年生の頃から酸性雨や温暖化、オゾン層の破壊、森林破壊、エネルギーの枯渇など環境問題は非常に深刻な事態だと教えられてきたが、それほど深刻に考えたことはなかった。五感で感じられなかったし、自分から遠く離れた外国のことだと思っていたからだ。この授業を受けて世界の未来が危ないという事態に震えが起きた。

環境問題と経済活動を一緒に見てきた授業はこれまでまったくなかった。環境問題をどうやって解決するかを考える前に、いまの経済活動のあり方を考え直し、持続可能な社会をつくっていくことが大切だと思った。

●環境問題はその国の環境に対する考え方や取り組みだけでなく、その国の政治的な見通しや経済活動もかかわってくる問題であることを初めて知り、すごく驚いた。


(4)環境危機時計




(5)ある主婦の行動(毎日新聞投書欄から)




それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。

      

7月の景気動向指数

2007-09-10 21:15:25 | 経済


私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック


9月8日の毎日新聞が、内閣府が7日、「7月の景気動向指数(速報値)」を発表したと報じています。景気動向指数は毎月6日、7日頃、内閣府が発表するもので重要な経済指標の一つです。私は環境問題の視点からこの指標を重視しており、私のブログでも4月以来毎月取り上げてきました。今後も取り上げていくつもりです


1月23日のブログ「環境と経済は切り離せない」 と、2月19日のブログ「景気動向指数と長期間労働時間」 で、その基本的な問題点を取り上げました。この高度成長期に創設された現在の指数11項目を変えない限り、エコノミストや経済評論家には環境問題の本質や恐ろしさが見えないからです。

経済指標を21世紀の社会に向けて新しくすることにより、今まで見えてこなかった新しい局面がエコノミストや経済評論家にも見えてくるはずです。



それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。

      

またまた更新、3つの指標

2007-08-26 11:00:57 | 経済


私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な緑と福祉の国をつくる会(仮称)のブログは、ここをクリック


これまでの日本は、目先のコストはたいへん気にするが、社会全体のコストにはあまり関心がなかったようである。90年代後半になって日本の社会制度からつぎつぎに発生する膨大な社会コストの「治療」に、日本はいま、追い立てられている、とこれまでのブログで繰り返し書いてきました。

昨日の朝日新聞の記事2点と今年1月26日の朝日新聞の記事を参考にします。いずれの記事にも、 「(過去)最高」の文字が ・・・・・ 日本の社会は望ましい方向に向かっているのでしょうか。


★国の借金、最高836兆円 6月末


財務省は24日、6月末時点の国の借金残高が836兆5213億円と過去最高を更新したと発表したそうです。

関連記事

このままでは国が滅ぶ、そして、10年後「借金時計」が止まった!


★05年度の国民医療費 最高の33兆円


この記事は小さな記事ですが、このデータは私が気にかかっていたデータです。日本の医療費がいかに高いか、そして年々増加しているはこれまでの新聞報道などでご承知のことと思います。

1990年の厚生省の国民医療費推計によれば、当時の日本の医療費は年間20兆円を越えていたそうです。この17年間に統計の内容が変わったり、定義が変わったりしたかどうかは定かではありませんが、医療費が増えていることはまちがいないでしょう。

もっとも、この医療費が国際的に見て高いのかどうかの判断はその内容(治療的に使われているのか、予防的に使われているのか)を十分吟味した上で議論しなければなりません。日本ではコストとか、経済性ということが盛んに議論されますが、それは往々にして「目の前のコスト」であり、「目の前の経済性」である場合が多いのです。


★「国民負担率」 最高の39.7%


このデータも、日本の福祉政策や経済政策を議論する時に、かならずといってよいほど引合いに出される日本独自の不思議なデータです。

関連記事

日本の国づくりを混乱させる2つの指標「国民負担率」と「環境効率」 

対照的な日本とスウェーデンの「債務残高」と「国民負担率」


このように、良きにつけ悪しきにつけ、 「最高」という文字が躍るのは、「持続的な経済成長」という国のビジョンのもとで、適切な制度の構造改革がなされていないためだと思います。



それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。

      

6月の景気動向指数

2007-08-14 09:31:23 | 経済
 

私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な緑と福祉の国をつくる会(仮称)のブログは、ここをクリック


また、今月も内閣府が「景気動向指数」を発表する時期となりました。6日に「6月の景気動向指数(速報値)」が発表されたと8月7日の毎日新聞が伝えています。



内閣府は景気の基調判断を「このところ改善を示す水準にある」とし、2か月連続で「改善」との判断を示したと書いてあります。このことは経済規模が拡大の方向にあるということを意味します。日本の政治の目標(ビジョン)である「持続的な経済成長」という20世紀型の発想では改善ですが、21世紀の「持続可能な社会をめざす」という判断基準では好ましい方向性ではありません。

このことをははっきりと説明するかのように、温暖化防止を目指す京都議定書の目標達成計画を見直している環境省と経済産業省の合同審議会は8月10日、「今の計画のままでは、90年度比6%減は達成できない」という中間報告をまとめたそうです。

私がいつも思うことは、電力会社は「1964年の電気事業法」で「供給の義務」を負わされていることです。この規定は社会が要求する需要に対して電力会社は供給の義務があり、「供給を断ることができない」ということです。

高度経済成長期に「経済の拡大」を促進する目的で制定されたさまざまな法律が、現在も、そして将来さえも規定するのはおかしいのではないでしょうか。

43年前の電気事業法も、21世紀前半の「経済のあり方」や「社会のあり方」を十分考えて、新法につくりかえるべきではないでしょうか。
43年前の電気事業法
も、21世紀前半の「経済のあり方」や「社会のあり方」を十分考えて、新法につくりかえるべきではないでしょうか。



関連記事

1月23日のブログ「環境と経済は切り離せない」

2月19日のブログ「景気動向指数と長期間労働」

4月7日のブログ「2月の景気動向指数」

5月12日のブログ「3月の景気動向指数」

6月11日のブログ「4月の景気動向指数」

7月11日のブログ「5月の景気動向指数」 



それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。

      




5月の景気動向指数

2007-07-11 10:55:10 | 経済

 
私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な緑と福祉の国をつくる会(仮称)のブログは、ここをクリック


また、今月も内閣府が「景気動向指数」を発表する時期となりました。5日に「5月の景気動向指数(速報値)」が発表されたと7月6日の毎日新聞が伝えています。
 
「大口電力使用量が3か月連続でそれぞれ改善」と書かれています。景気動向指数の判断基準で“改善”というのは、「電力の使用量が増えた」ということです。政治の目標である「持続的な経済成長」という20世紀型の発想では改善ですが、21世紀の「持続可能な社会をめざす」という判断基準では好ましい方向性ではありません。

その理由は次のブログを参照してください。

1月23日のブログ「環境と経済は切り離せない」 

2月19日のブログ「景気動向指数と長期間労働」 

4月7日のブログ「2月の景気動向指数」

5月12日のブログ「3月の景気動向指数」

6月11日のブログ「4月の景気動向指数」 



それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。

      

5月の失業率 日本:3.8%、スウェーデン:3.9%、

2007-06-29 21:03:48 | 経済
 

私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック


総務省が今日29日に、5月の完全失業率は3.8%だったと発表しました。これは9年ぶりに3%台になった4月と同率だったとのことです。



スウェーデンの統計局も6月20日に、同国の5月失業率をHPにアップロードしました。3.9%だったそうです。


両国の5月の失業率はほぼ同じレベルとなりました。実際には失業率の定義が異なるので、細かい数字の比較はあまり意味がありません。 「日本は失業率の計算に自衛隊員を含めているが、米国やドイツは軍人を除いている」と次の記事は書いています。スウェーデンとドイツの比較は可能だと思います。EU内で調整がなされているはずだからです。





それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。


      


4月の景気動向指数

2007-06-11 07:49:41 | 経済



私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な国づくりの会<緑と福祉の国・日本>のブログは、ここをクリック

 
内閣府は6月6日に、4月の景気動向指数(速報値)を発表しました。


私はかねてより、この経済指標を変えるべきだと考えてきました。私の環境論の根底にある基本認識は「経済と環境は切り離せない」、つまり、「経済と環境とは一体だ」と考えているからです。

1月23日のブログ「環境と経済は切り離せない」と、2月19日のブログ「景気動向指数と長期間労働時間」 で、この指標の問題点を取り上げました。この高度成長期に創設された現在の指数11項目を変えない限りエコノミストや経済評論家には環境問題の本質や恐ろしさが見えないからです。

経済指標を21世紀の社会に向けて新しくすることにより、今まで見えてこなかった新しい局面がエコノミストや経済評論家にも見えてくるはずです。

奇しくも6月6日からドイツ・ハイリゲンダムで開かれていた主要国首脳会議(G8サミット)は、「世界の温室効果ガスの排出量を2050年までに半減することについて真剣に検討する」という文書で合意をもって終了したそうです。

このことは日本政府の方針でもありますし、また、日本が環境立国をめざし、現在の持続不可能な社会を「持続可能な社会」に変えていく必要がある というのであれば、この機会にこの指標の見直しを早急に開始する必要があるのではないでしょうか。




それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。


      



3月の景気動向指数 

2007-05-12 12:42:56 | 経済


私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な緑と福祉の国をつくる会(仮称)のブログは、ここをクリック


5月10日の朝日新聞が、内閣府が「3月の景気動向指数」を発表したと報じています。


景気動向指数は毎月6日、7日頃、内閣府が発表するもので、重要な経済指標の一つです。私は環境問題の視点からこの指標を重視しており、私のブログでも過去3回取り上げ、その問題点を指摘ました。

 ①1月23日のブログ「環境と経済は切り離せない」        
 ②2月19日のブログ「景気動向指数と長時間労働」 
 ③4月 7日のブログ「2月の景気動向指数」 

この高度成長期に創設された現在の指数11項目を変えない限り、エコノミストには環境問題の本質や恐ろしさが見えないからです。経済指標を21世紀の社会に向けて新しくすることにより、今まで見えてこなかった新しい局面がエコノミストにも見えてくるはずです。

社会問題を民主的に解決するためにも、環境問題の解決をめざすにも現実に則した判断基準が必要です。「社会の変化」と「知識の拡大」に対応して判断基準を変えていかなければ、見える筈のものも見えず、わかる筈のものもわからなくなってしまいます

判断の相違は問題に対する「認識の深さ」と「広さの相違」によるもので、社会や人生に対する価値観の相違に由来するものです。重要なことは、「変わるもの」と「変わらないもの(あるいは変わるべきでないもの)」を社会や人生の価値観によって見分けることです。



↓環境問題の本質を知り、「環境問題についての共通の認識」を形成するためにご協力を!それぞれのマークを1回クリックしてください。


      

2月の景気動向指数 

2007-04-07 10:40:17 | 経済


私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な緑と福祉の国をつくる会(仮称)のブログは、ここをクリック


今朝の朝日新聞が、内閣府が昨日、「2月の景気動向指数」を発表したと報じています。景気動向指数は毎月6日、7日頃、内閣府が発表するもので重要な経済指標の一つです。私は環境問題の視点からこの指標を重視しており、私のブログでも過去2回取り上げました。



1月23日のブログ「環境と経済は切り離せない」と、2月19日のブログ「景気動向指数と長期間労働時間」 で、問題点を取り上げました。この高度成長期に創設された現在の指数11項目を変えない限りエコノミストや経済評論家には環境問題の本質や恐ろしさが見えないからです。

経済指標を21世紀の社会に向けて新しくすることにより、今まで見えてこなかった新しい局面がエコノミストや経済評論家にも見えてくるはずです。



↓環境問題の本質を知り、「環境問題についての共通の認識」を形成するためにご協力を!それぞれのマークを1回クリックしてください。

      


「経済成長」は最も重要な目標か

2007-03-19 16:39:10 | 経済


私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な緑と福祉の国をつくる会(仮称)のブログは、ここをクリック


3月17日のブログ「日本はほんとうに省エネ国家なのか」 で掲げた図の中川秀直・自民党幹事長の著書「上げ潮の時代」をとくとご覧下さい。GDP1000兆円計画と書いてあります。そして、この本の「はじめに-GDPが2倍になる必然」で、中川さんはつぎのように述べています。

名目4%成長で成長していけば、18年でGDPはいまの500兆円から1000兆円に倍増する。生まれたばかりの赤ちゃんが大学に入るころ、あるいは、いま20歳の青年が38歳の社会の中堅層になったころ、そして、50歳の壮年は68歳で、まだ働き続けるか年金で悠々自適の暮らしを選ぶかを考えているころ、日本の生活水準は2倍になっている。そして、経済成長は、格差是正の良薬でもあるのだ。

「GDPが今の2倍になれば、日本の生活水準は2倍になる」、「経済成長は格差是正の良薬でもあるのだ」という中川さんや政府の政策担当者、それにTVやマスメディアでGDPの成長を主張し続けるエコノミストは、今日のブログのテーマにあげた「経済成長は最も重要な目標か」とおっしゃる橘木俊詔・京都大学大学院経済学研究科教授の主張にどう反論するのでしょうか。

橘木さんは「日本の経済格差」(1998b 岩波新書)の著作があり、最近の社会問題になっている「格差社会」でしばしばマスメディアに登場するこの分野の論客です。私はこの橘木さんの「経済成長は最も重要な目標か」という主張に注目しました。

橘木さんは「家計からみる日本経済」(岩波新書 2004年1月)の「第1章 行き先を見失った日本経済」の「1 経済成長至上主義の限界」でつぎのように述べています。

超低成長経済、もしくはゼロ(あるいはマイナス)成長率の経済から、正の経済成長率への転換を目指して、今日、日本ではエコノミストをはじめ政策担当者、政治家を中心にして、何とか日本経済を大不況から脱却させるための政策論議が盛んである。

確かに正の経済成長率は社会・経済の多くの諸問題(例えば、失業、財政赤字、社会保障財源など)を解決してくれる可能性が大である。しかし、発想を転換して、経済成長を求めることが人間の幸福にとって本当に重要なのか、経済成長を求めなくても多くの諸問題を解決してくれる方策はあるのではないか、といったことを考えてみることも価値がある。


第1に日本の1人あたりのGDP(国内総生産) や国民所得は今や世界最高水準になっており、所得水準が高くなったので、これ以上の生活水準を求めなくてよいのではないか。もとより、後に述べるように、物価水準の高さや住宅の質が依然として良好でないことから、日本人はまだ豊かではない、という説に説得力はある。

したがって、これらの課題に取り組むために、私自身もゼロ成長ではなく、0.5%から1%の成長率が理想とする意見に反対はしないし、むしろ賛成する。

第2に高い経済成長率、例えば、3~4%の成長率を達成するには、労働時間を今まで以上に長くする必要がある。 やっと欧米並みの労働時間に近づいた現在、さらにわが国の悪しき伝統である「サービス残業」を考慮すれば、これ以上の労働時間の長さを求めるのではなく、人生を楽しみ、ゆとりある生活を送ることの価値に、日本人も目覚めてもよいのではないか。

ひたすらに働いて高い経済成長を求めるのは、いわば先進国に追いつくために発展途上国に課せられた「必要性」でもある。戦後の長い期間にわたった日本人の長時間労働は、まさにこれに該当していた。もうそう言う時代ではない。

第3日本を含めた先進国が高い経済成長を求めると、南北間経済格差(すなわち先進国と途上国の間の経済格差)はますます拡大するおそれがある。

貧困に悩んでいる発展途上国に、経済成長の可能性を追求する余地を与えるためにも、先進国は一歩後退するか、足踏みをしてもよいのではないか。

当然のことながら、発展途上国が経済成長促進を図るのは理にかなっており、もしパイが一定である世界経済であれば、先進国の政庁政策は途上国のそれを阻害する懸念がある。

第4に先進国の経済成長は限度のある世界の天然資源(例えば石油、鉱物、森林、水産)の枯渇に拍車をかける。

これは世界の資源のパイが一定であるから、さけられない。次世代の人たちの生活を脅かさないためにも、節度のある天然資源の利用に励むことは大切なことである。

第5に高い経済成長は世界の環境破壊にも悪影響がある。 高い成長を目指す経済活動は、CO2をはじめ様々な環境汚染や地球温暖化の原因になるので、快適な人間生活を送れるようにするには、ほどほどの経済活動に抑制することも時代の要請である。

ここに述べられている経済学者・橘木さんの5つの主張は、私がこれまで主張してきた「環境問題と経済のかかわり」とみごとに一致します。私は橘木さんの著書と出会って大変勇気づけられたのですが、日本の政治のリーダーや多くの経済学者やエコノミストはなぜこのような「基本的な認識」に乏しいのでしょうか。



↓環境問題の本質を知り、「環境問題についての共通の認識」を形成するためにご協力を!
そのためには、それぞれのマークを1回クリックしてください。

     


景気動向指数と長時間労働

2007-02-19 16:10:35 | 経済


私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な緑と福祉の国をつくる会(仮称)のブログは、ここをクリック


★景気動向指数

内閣府は毎月初旬に「景気動向指数」を発表します。今月は2月6日に発表されました。2月7日の朝日新聞によりますと、「鉱工業生産指数」と「大口電力使用量」は過去最高を記録、景気回復が順調に続いたことを裏付けたそうです。

この図と類似の図を1月23日のブログ「環境と経済は切り離せない」で取り上げ、「環境への配慮がまったくない」と指摘しました。そして、その図が21世紀の経済活動を判断するのにふさわしくないので、新たな指標を創設する必要があることを明らかにしました。

さて、上図をご覧下さい。あり得ないことですが、もし、皆さんひとり1人の努力が実って電力が見事に節電され、その上さらに、大口電力の使用量が減少するような事態が生じたとしたら、上図の○は●となり、「景気動向指数」ではマイナスと評価されることになるでしょう。

上図を追認するように、電力10社全社が増収となっています。景気回復の影響で各地の産業用需要が伸び、家庭用もオール電化の普及などで堅調だったのがその理由だそうです。

★長時間労働

また、2月8日の朝日新聞には「会社員の10人に1人が夜10時過ぎまで残業している。
先進国の中で飛び抜けて長い」という興味深い記事があります。「日本の労働基準法は労働者を保護するため1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならないと定めている。つまり、残業は原則は禁止なのだ。違反には懲役もある」と書いてあります。

この記事には興味深い図が添えられていますが、「残業時間と労働者の分布」と「週50時間以上労働している就業者の比率」の2つの図を紹介します。



もしかすると皆さんは、これらの情報は労働分野の問題であって、環境問題とは関係ないと思われるかも知れません。しかし、私の環境論では、1月21日のブログ「人間の生存条件の劣化」で示したように、経済活動を媒体として労働分野の問題と環境問題は密接に関連しているのです。その証拠に一番上の図には「所定外労働時間指数」(製造業)という項目があるではありませんか。

大変興味深いのは、労働時間について、日本とスウェーデンが対極に位置していることです。

このように、景気回復のために「大口電力使用量」が増えること、「時間外労働」が増えることなどはいずれも20世紀の発想による「経済成長」の域を出ていません。はたして、このような時代遅れの経済指標によって「21世紀の日本の経済」を判断することが望ましいのでしょうか。

「社会の変化」と「知識の拡大」に対応して判断基準が変わっていかなければ、本来、見える筈のものも見えず、わかる筈のものもわからなくなってしまいます。