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ミンダナオの海から(4)-ジュゴンとは?-

2006-01-08 | 南の海
ジュゴンという動物をご存じでしょうか?名前は聞いたことがあるという人が多いのではないでしょうか。最近、テレビなどで紹介されることが多いらしいですね(私はテレビを持っていないので知りませんが)。

 ジュゴンは、海牛とも言われ、人魚伝説を作った動物でもあります。沿岸に住む海棲哺乳動物で、イルカや鯨などと同じように、陸上動物から海に再適応して進化した動物です。しかし、イルカと違って海岸の近くで海草を食べて生活するため、おとなしく、動きも鈍く、しかも食べると美味しいらしいので、人間に食べられたりして、数はどんどん減って来ています。日本では、沖縄でザンとかジャンという名前でよく知られており、沖縄本島や八重山諸島では昔から多くのジュゴンが生息していたようです。しかし、今では沖縄本島周辺に10頭前後が生息していると思われるだけで、八重山では絶滅したとされています。

 沖縄本島でも、ジュゴンは絶滅したと長らく信じられてきたのですが、名護市辺野古沖の海を埋め立てて、米軍のヘリコプター基地を作るという計画が明らかになったことから、にわかにその海域にジュゴンが生息することが表面に出てきました。実は、地元の人に聞くと、地元の人はジュゴンがこのあたりの海に時々出現していることはよく知っていたようです。研究者が日本ではジュゴンが絶滅したと勝手に信じていただけだったようです。

 その結果、ジュゴンは米軍基地のための埋め立てに反対する人々のシンボルとなってきました。そこで、防衛施設庁、環境省、水産庁などが急遽調査を始め、その結果、沖縄本島のいくつかの海草藻場(もば)にジュゴンが現れて、海草を食べていることがわかってきました。その一つが辺野古沖の埋め立て予定地周辺の藻場です。米軍基地ができれば、ジュゴンの生息場所も大きい影響を受けるために、日本のジュゴンを守るために米軍基地建設と埋め立てに反対するグループもたくさんできました(http://www.sdcc.jp/J/ ;http://sea-dugong.org/ ほか)。

 日本は太平洋・インド洋に生息するジュゴンにとっては最北の地。北限のジュゴンというわけです。しかし、そのジュゴンももう10頭前後。しかも、その生息地は米軍基地のみならず、海岸のコンクリート化や埋め立て、汚染などで沖縄本島のサンゴと同様に絶滅も時間の問題になりつつあります。

 アジアでも、ジュゴンは減少の一途です。ジュゴンが生息している国は多いのですが、どこの国もジュゴン保護政策を作って保護をしています。ジュゴンは、ワシントン条約で移動も規制されています。ジュゴンは、海草だけを食べ、しかも海底に生えている海草でなければ食べないので、水族館で飼育するのは大変難しいのです。鳥羽水族館に2頭のジュゴンが飼育されていますが、これは世界的にも稀なことなのです。鳥羽水族館では、フィリピンのパラワン島でジュゴンを捕獲し、連れてきました。餌には、韓国からアマモを輸入して、それを海底に固定するために大変な苦労をして、餌にしているようです。しかし、アマモは海草ですが温帯の種類で、熱帯であるフィリピンのジュゴンは見たこともない海草です。それでもなんとかアマモを食べさせて飼育することができたようです。大西洋に生息するマナティーは、ジュゴンと非常に近い動物ですが、マナティーは、キャベツやレタスなどの陸上植物でも食べるので、飼育が比較的簡単です。

 鳥羽水族館のジュゴンの故郷であるフィリピンには、アジアではおそらくもっとも多くのジュゴンが今でも生息しているようです。そこで、われわれはミンダナオ島に行けばジュゴンが見られるだろうと思って、やってきたのです。(続)


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