ダニエル書 9章
その62週の後、油そそがれた者(メシヤ)は断たれ、彼には何も残らない。やがて来たるべき君主の民が町と聖所を破壊する。その終わりには洪水が起こり、その終わりまで戦いが続いて、荒廃が定められている。(9・26)
ダニエルに示された預言は、更に核心部分へと迫ります。それは、「油注がれた者」すなわちメシヤ(キリスト)の来臨に関する預言です。
この第9章の前半部分はダニエルの祈りです。
ユダヤの国が滅び、民はバビロンの捕囚となり、神殿が破壊されたのは、自分たちの不信仰ゆえであるとの告白と悔い改めの祈りです(9・3~19)。言い訳がましくない潔い祈りです。
その祈りに応えて、神は、御使ガブリエルをつかわして御言をダニエルに告げられたのです(9・21~23)。
数多くいる御使(天使)のなかでも、ガブリエルは御告げのための天使長と考えられています。一般的な祈りの応答であれば、位の低い天使が御告げをもって来るのでしょうが、この場合はキリスト来臨に関する重要な預言であったため、天使長のガブリエルがもたらしたのでしょう。キリスト誕生をマリヤに告げたのもこのガブリエルでありました。余談ですが、ミカエルは天の軍勢の天使長といわれています。
さて、預言の内容を見てみましょう。
まず、「あなたの民とあなたの聖なる都については、70週が定められている」のです(9・24)。この70週のことを「ダニエルの70週」と呼びます。
つまり、イスラエルの救いと御国の完成までに70週が定められているのです。この場合、1週は7日のことではなく、7年のことです。そして、油注がれた者であるメシヤ……つまりキリストが登場するまでに、7週と62週が経過するというのです。次のように記されています。
「それゆえ、知れ。悟れ。引き揚げてエルサレムを再建せよとの命令が出てから、油そそがれた者、君主の来るまでが7週。また62週の間、その苦しみの時代に再び広場とほりが建て直される。」(9・25)
これは新改訳聖書の翻訳なのですが、口語訳の翻訳の方が分かりやすいでしょう。
「それゆえ、エルサレムを建て直せという命令が出てから、メシヤなるひとりの君が来るまで、7週と62週あることを知り、かつ悟りなさい。その間に、しかも不安な時代に、エルサレムは広場と街路とをもって、建て直されるでしょう。」(9・25)
預言によれば、メシヤが登場するまでに、7週と62週で〝69週〟が経過することになっています。69週とは、69×7年で483年です。いつ起点にして計算するのでしょうか。「エルサレムを建て直せという命令が出てから」です。
では、この命令はいつのことでしょうか。
BC538年に、ペルシャのクロス王が出した命令でしょうか。クロス王は、ユダヤ人の奴隷解放と祖国帰還を許可した勅令を出したのですが、この時ではありません。
BC457年に、ペルシャのアルタシャスタ王が、エズラに対して「神殿再建」を命令するのですが、この時でもありません(エズラ記7章)。
その後、アルタシャスタ王は、ネヘミヤに〝エルサレムの町の再建〟を命じます。これはBC445年のことです。この時をもとに計算すると、それはイエス・キリストがロバの子に乗ってエルサレムに入城なさった日に相当するのだと算出する学者もいます。この計算の場合、1年を360日で計算しています。まさに、イエスがご自分をキリストだとを表明なさった日にあたります。 ※キリストはロバの子に乗ってエルサレムに入ると、ゼカリヤは預言した。だから、イエスがそのようにして町に入られたのは、ご自分がキリストであることの表明と考える。
さあ、そのキリストが登場するとどうなるのでしょうか。「その62週の後、油そそがれた者は断たれる」と預言されています(9・26)。 ※「油注がれた者とは「メシヤ」「キリスト」のこと。
まさにダニエル書の預言どおりです。イエス様はロバに乗ってエルサレムに入られた日の週の金曜日に十字架で殺されました。
さらに、油注がれた者であるメシヤが断たれた後のエルサレムはどうなると預言されていますか。「やがて来たるべき君主の民が町と聖所を破壊する。その終わりには洪水が起こり、その終わりまで戦いが続いて、荒廃が定められている」のです(9・26)。
この「来るべき君主」とは、第4の獣の国の王のことです。「大きな像」の預言でいえば、鉄と粘土でできた足の部分……つまり、ローマ帝国の君主のことです。まさに預言どおりにローマ帝国は、紀元70年にエルサレムの町と神殿を破壊し、その崩壊と混乱が始まりました。そして今に至っています。
ここまでが、「ダニエルの70週」のうちの69週までの内容です。
では、残りの1週である7年はどうなったのでしょうか。69週とは区切ってこう記しています。
「彼は一週の間、多くの者と堅い契約を結び、半週の間、いけにえとささげ物とをやめさせる。荒らす忌むべき者が翼に現われる。ついに、定められた絶滅が、荒らす者の上にふりかかる。」(9・27)
69週目と残りの1週との間には、時間的な空きがあると理解すべきでしょう。というのは、ローマ帝国の君がエルサレムの町と神殿を破壊し、荒廃においやった所まで実現していますが、その後の1週(7年)の出来事はまだ実現していないからです。
27節の「彼」とは第4の獣の君主のことです。彼は、終わりの時代にイスラエルと契約を結びます。この契約は、世界の火薬庫と言われる中東に平和をもたらすかと思われる内容でしょう。
すると、最後の1週が動き出します。ここで、黙示録に記された終わりの時代の「患難期」が7年…、すなわち1週であることと一致します。
しかし、週の半ばに……つまり3年半が経過すると、彼は契約を破棄して、神殿に座して、自らを神と宣言します。そして、残りの3年半(ひと時とふた時と半時)にイスラエルを大迫害します(ダニ7・25、9・27)。イスラエル史上最大の患難です。
このようにして、終わりの時代に、第4の獣とその帝国が登場するわけです。69週目の時もそうであったように、最後の1週もローマ帝国のような巨大な帝国です。現在の欧州連合がそれだとするのは早計です。しかし、世界がグローバル化しようとする潮流は、第4の獣が登場する舞台と言えるでしょう。
このように、ダニエル書は歴史を支配される神の預言として注目すべき書物です。終わりの時代に生きる私たちは、この書物を通して、目を覚まして祈り、福音を伝える任務をいただいています。
その62週の後、油そそがれた者(メシヤ)は断たれ、彼には何も残らない。やがて来たるべき君主の民が町と聖所を破壊する。その終わりには洪水が起こり、その終わりまで戦いが続いて、荒廃が定められている。(9・26)
ダニエルに示された預言は、更に核心部分へと迫ります。それは、「油注がれた者」すなわちメシヤ(キリスト)の来臨に関する預言です。
この第9章の前半部分はダニエルの祈りです。
ユダヤの国が滅び、民はバビロンの捕囚となり、神殿が破壊されたのは、自分たちの不信仰ゆえであるとの告白と悔い改めの祈りです(9・3~19)。言い訳がましくない潔い祈りです。
その祈りに応えて、神は、御使ガブリエルをつかわして御言をダニエルに告げられたのです(9・21~23)。
数多くいる御使(天使)のなかでも、ガブリエルは御告げのための天使長と考えられています。一般的な祈りの応答であれば、位の低い天使が御告げをもって来るのでしょうが、この場合はキリスト来臨に関する重要な預言であったため、天使長のガブリエルがもたらしたのでしょう。キリスト誕生をマリヤに告げたのもこのガブリエルでありました。余談ですが、ミカエルは天の軍勢の天使長といわれています。
さて、預言の内容を見てみましょう。
まず、「あなたの民とあなたの聖なる都については、70週が定められている」のです(9・24)。この70週のことを「ダニエルの70週」と呼びます。
つまり、イスラエルの救いと御国の完成までに70週が定められているのです。この場合、1週は7日のことではなく、7年のことです。そして、油注がれた者であるメシヤ……つまりキリストが登場するまでに、7週と62週が経過するというのです。次のように記されています。
「それゆえ、知れ。悟れ。引き揚げてエルサレムを再建せよとの命令が出てから、油そそがれた者、君主の来るまでが7週。また62週の間、その苦しみの時代に再び広場とほりが建て直される。」(9・25)
これは新改訳聖書の翻訳なのですが、口語訳の翻訳の方が分かりやすいでしょう。
「それゆえ、エルサレムを建て直せという命令が出てから、メシヤなるひとりの君が来るまで、7週と62週あることを知り、かつ悟りなさい。その間に、しかも不安な時代に、エルサレムは広場と街路とをもって、建て直されるでしょう。」(9・25)
預言によれば、メシヤが登場するまでに、7週と62週で〝69週〟が経過することになっています。69週とは、69×7年で483年です。いつ起点にして計算するのでしょうか。「エルサレムを建て直せという命令が出てから」です。
では、この命令はいつのことでしょうか。
BC538年に、ペルシャのクロス王が出した命令でしょうか。クロス王は、ユダヤ人の奴隷解放と祖国帰還を許可した勅令を出したのですが、この時ではありません。
BC457年に、ペルシャのアルタシャスタ王が、エズラに対して「神殿再建」を命令するのですが、この時でもありません(エズラ記7章)。
その後、アルタシャスタ王は、ネヘミヤに〝エルサレムの町の再建〟を命じます。これはBC445年のことです。この時をもとに計算すると、それはイエス・キリストがロバの子に乗ってエルサレムに入城なさった日に相当するのだと算出する学者もいます。この計算の場合、1年を360日で計算しています。まさに、イエスがご自分をキリストだとを表明なさった日にあたります。 ※キリストはロバの子に乗ってエルサレムに入ると、ゼカリヤは預言した。だから、イエスがそのようにして町に入られたのは、ご自分がキリストであることの表明と考える。
さあ、そのキリストが登場するとどうなるのでしょうか。「その62週の後、油そそがれた者は断たれる」と預言されています(9・26)。 ※「油注がれた者とは「メシヤ」「キリスト」のこと。
まさにダニエル書の預言どおりです。イエス様はロバに乗ってエルサレムに入られた日の週の金曜日に十字架で殺されました。
さらに、油注がれた者であるメシヤが断たれた後のエルサレムはどうなると預言されていますか。「やがて来たるべき君主の民が町と聖所を破壊する。その終わりには洪水が起こり、その終わりまで戦いが続いて、荒廃が定められている」のです(9・26)。
この「来るべき君主」とは、第4の獣の国の王のことです。「大きな像」の預言でいえば、鉄と粘土でできた足の部分……つまり、ローマ帝国の君主のことです。まさに預言どおりにローマ帝国は、紀元70年にエルサレムの町と神殿を破壊し、その崩壊と混乱が始まりました。そして今に至っています。
ここまでが、「ダニエルの70週」のうちの69週までの内容です。
では、残りの1週である7年はどうなったのでしょうか。69週とは区切ってこう記しています。
「彼は一週の間、多くの者と堅い契約を結び、半週の間、いけにえとささげ物とをやめさせる。荒らす忌むべき者が翼に現われる。ついに、定められた絶滅が、荒らす者の上にふりかかる。」(9・27)
69週目と残りの1週との間には、時間的な空きがあると理解すべきでしょう。というのは、ローマ帝国の君がエルサレムの町と神殿を破壊し、荒廃においやった所まで実現していますが、その後の1週(7年)の出来事はまだ実現していないからです。
27節の「彼」とは第4の獣の君主のことです。彼は、終わりの時代にイスラエルと契約を結びます。この契約は、世界の火薬庫と言われる中東に平和をもたらすかと思われる内容でしょう。
すると、最後の1週が動き出します。ここで、黙示録に記された終わりの時代の「患難期」が7年…、すなわち1週であることと一致します。
しかし、週の半ばに……つまり3年半が経過すると、彼は契約を破棄して、神殿に座して、自らを神と宣言します。そして、残りの3年半(ひと時とふた時と半時)にイスラエルを大迫害します(ダニ7・25、9・27)。イスラエル史上最大の患難です。
このようにして、終わりの時代に、第4の獣とその帝国が登場するわけです。69週目の時もそうであったように、最後の1週もローマ帝国のような巨大な帝国です。現在の欧州連合がそれだとするのは早計です。しかし、世界がグローバル化しようとする潮流は、第4の獣が登場する舞台と言えるでしょう。
このように、ダニエル書は歴史を支配される神の預言として注目すべき書物です。終わりの時代に生きる私たちは、この書物を通して、目を覚まして祈り、福音を伝える任務をいただいています。
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