歴代志上 8・34 ヨナタンの子はメリバアル。
第8章はベニヤミン族です。新約の時代に至って活躍した使徒パウロはこのベニヤミン族の出身です。
さて、ベニヤミン族は12部族の中では小さな部族ですが、イスラエル初代の王サウルを生み出しました。就任当初のサウル王は謙遜な人柄でしたが、後には高ぶり、神の道から離れて行くようになりました。その経緯が、彼の生んだ息子たちにつけた名によって現れています(8・33)。興味深い記録です。
サウルの長男はヨナタンで「神の賜物」という意味です。ヨナタンは信仰にあつく、後の王となるダビデの良き友人でありました。
次男はマルキシュアで「主なる王は救い」という意味の名です。ここまでは、サウル王の神への誠実さがうかがえます。
しかし、三男はアビナダブで「わが父は高貴である」という意味の名です。この「わが父」とは、主なる神を指しているのではなく、名付け親であるサウル王自身を指していると思われます。このあたりから、サウルの高ぶりが見られます。
そして、四男はエシバアル。「バアルは居ます」という意味の名です。カナン人の間で崇拝されていた異教の神バアルはここに居るというのです。イスラエルの民は、このバアル崇拝にどれほど惑わされたことでしょう。大変な霊的混乱を招いたことはよく知られているとおりです。なのに、「バアルは居ます」という名をわが子につけるほどに、サウル王は偶像礼拝に傾斜していったのです。
しかし、長男のヨナタンは違いました。父の変質ぶりを牽制するかのように、わが息子に「メリバアル」と名づけました。これは「バアルに反対する者」という意味です。
ヨナタンは父サウルを愛し仕えましたが、信仰においては父とは異なりました。
わが子に「バアルに反対する者」と名づけることによって、自らの信仰の立場を明確にしました。このヨナタンの子メリバアルが別名「メヒボシェテ」です。
メヒボシェテは父ヨナタンが戦死した後、ダビデ王によって救い出され、愛された人物です。信仰によって歩んだ家系を、神はお忘れにならず、よき報いをもって応えてくださることを教える事例です。

