とうちゃんのぷらぷら日記

アウトドア系の日記及びうんちく

東京国立近代美術館 高畑勲展(日本のアニメーションに遺したもの)へ行く

2019-08-15 11:12:56 | 音楽 美術
高畑勲展は、アニメーションの制作現場が垣間見える展覧会だ。

作品情報を共有する手法がまことに細かい。
展覧会では、作品ごとに使用した原画や絵コンテとともに作成資料も展示しているのでアニメ作成の行程のイメージがつかみやすい。
作業に当たっては個々のアーティストの持つ潜在的能力を最大限に引き出すことと同時に、それが監督の意図する所に統一されなければならないので、監督のイメージや全体的な構成、細部の場面のイメージまでも、作業にあたる人達にきっちり理解してもらう必要がある。

キャラクターの性格、登場人物の相関図、作画の色の指定、いろいろなコンセプトやアイディアを共有する。
シーンのテンションの変動を波形にした表現など斬新なアイデアだ。
作品の質を高め、効率のよい作業を行うための事前準備の技術は、他のものづくりの仕事にも大いに参考となるだろう。

そしてなにより仕事が行程を含めて美しい。
優れたアニメの原画は、すでに高額で取引される美術品扱いになっているが、
現物を見るとさもあろうという出来栄えだ。


アルプスの少女ハイジは、ヨハンナ・スピリの原作を凌ぐ名作だと思う。
ハイジの生活環境、登場人物の性格、行動パターンなど、徹底したリアリズムを追求する姿勢が物語に深みを与えている。
それだけでは面白みは生まれないが、アニメという表現が、作品に躍動感を与え、キャラクターの個性を際立たせている。アニメの持つ表現力を見事に開花させた作品だ。

アニメとは別途に高畑勲さんの訳で奈良美智さんが絵を描いたジャック・プレヴェール「鳥への挨拶」という詩画集の原画が展示されていた。
これもとてもセンスがいい詩画集なので、帰りに買いたいと思ったが、売っていなかった。(絶版のようだ)

常設展では土田麦僊の「湯女」と藤田嗣治の「血戦ガダルカナル」「5人の裸婦」
が展示されていた。(個人的に注目の作品)


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