フィンランドの電力需要の10%ほどは、ロシアからの送電でまかなっていたそうだ。西側諸国と見なされるフィンランドだが、ロシアとの関係も深い。
フィンランドは、スウエーデン王国から→ロシア帝国(フィンランド大公国)→1917年に独立国家となったが、独立後もウクライナと同じようにロシア(ソ連)との壮絶な戦争を経験している。
冬戦争、継続戦争と呼ばれる祖国防衛戦争だった。
ロシアと隣り合う国は、過去に何らかの痛手を被っている。
日本でも日露戦争を経て北方領土問題は現代まで続き、問題は未解決のままだ。
フィンランドはそれを積極的に解決し、両国の友好関係を構築してきた。
戦争によりフィンランドは独立を守りぬいたもののフィンランド領であったカレリア地方の一部はソ連に割譲することとなった。
シベリウスの曲が抒情的だったり、ムーミンの物語がどこか物悲しいのは、そうしたフィンランドの歴史が背後にあるからなのかもしれない。
紛争のたびに領土は変遷する。それが大抵の国の歴史だ。
国を構成するのは地域であるが、地域の定義は曖昧である。
行政単位、民族単位、宗教単位、いろいろなパターンがあるかと思う。
フィンランド領の島にオーランド諸島というバルト海の島がある。
地勢的にも重要な島で、フィンランド同様、スウェーデンであったり、ロシアであったり、領有権も変遷した。
島民の多くは、スウェーデンに帰属することを望んでいた。このため、スウェーデン領になることが認められるのか、このままフィンランド領に留まるのかでもめたが、国際連盟の裁定でオーランド島民の高度な自治を保障することにより解決した。
これにより、オーランドでは、スウェーデン語(公用語)の使用が認められ、文化や伝統も保証された。裁定には国連事務次長であった新渡戸稲造が中心的役割を果たしたという。
このような方式が世界の紛争地域の問題解決への糸口にならないものかと思う。
フィンランドは私が昔習った物理(地球物理学)の先生が留学した国だった。当時はまだ、日本人の外国旅行もままならない時代だったそうだが、国費留学だったのでフィンランドへ行けたのだそうだ。
10年ほど前、その先生からオーランドについての共同研究をまとめた本をいただいたことがあった。
それで、フィンランドのことをブログに書いてみた。