今日の朝はわりと涼しかった。
いつもは暑くて目が覚めるのだが、今日は涼しくて目が覚めた。
昼、暑くても季節は確実に変わりつつある。
一番感じるのは日が急に短くなったことだ。
朝の5時でもまだ暗い。
雨が降ると季節の変わり目を感じる。(昨日の千葉や茨城の豪雨はとんでもないが。)
経験上たいてい9月の第二週には空気が入れ替わる。
北アルプスだと、このころに初雪が舞うようになる。
そして10月の体育の日(スポーツの日)の連休に北アルプスへ行くと根雪になるような雪が降りだす。
山小屋も早い所ではその頃に小屋じまいとなる。
昔のことだが、山の紅葉もあらかた終わった10月15日に岳沢小屋へ泊ったことがあった。
この日、北穂高小屋から縦走してきて、前穂高のピークを往復した。前穂からは岳沢小屋への急転直下の下りとなる。この時、前穂の先で追い越した70代ぐらいの老夫婦の登山者がいた。
ご主人さんがだいぶばてていて、追い越しながらもこの先の岳沢小屋までの急峻な下りに耐えられるのか気になっていた。
同じように小屋に着いた他の登山客たちも気にしていたようで、みんなであの二人どうしたかねと気をもんでいた。
というのも、夕方からまとまった雪が降り出していたからだ。
こないねえあの二人。
とうとう外はまっくらになってしまった。
暗闇の中、雪はどんどん積もって、小屋の外がまっ白になっていく。
これはまずい。山小屋のご主人へも年配の登山者二人が下山してこないことは伝えてある。手伝えることがあれば協力すると申し出ていた。
小屋としては警察からの救助要請がなければ動けないという。
(たぶんそれから小屋の人が警察と連絡を取り合ったと思うが)
とうとう小屋番の人が救助へ向かった。
そして、だいぶ夜もふけたころ、無事二人を救助して帰ってきた。
良かった、良かった。二人とも無事であった。
それにしても山小屋の主人は大変だ。
こんな雪の降る夜に、身動きが取れなくなった登山者を回収してくるとは。
しかも北アルプスの困難な登山道である。
さすがとしか言いようがない出来事であった。