とうちゃんのぷらぷら日記

アウトドア系の日記及びうんちく

藤田嗣治展へ行く

2018-10-07 19:54:17 | 音楽 美術
暑すぎる10月の連休。
ウォーキングにはきびしそうだ。
それで、東京都美術館の藤田嗣治展へ行ってきた。

連休なので混むだろうと開館9時半前に着くよう出かけたが、すでに美術館から列が長く延びていた。ここまで来て引き返すわけにはいかないので並ぶ。
結局15分待ちぐらいか。

初期のころからの作品と、キリスト教に帰依した晩年の作品まで網羅されている。
この正統派の画家の画力は圧倒的だ。
最近国内でも藤田嗣治人気はうなぎ昇りのようだが、以前には、実力派の画家にも関わらずあまり知られていなかったと思う。(私もそうだった)
戦争画の傑作を描いたせいなのかとも思うが、
当時の日本の画壇で、嗣治さんに太刀打ちできるような洋画家はいなかったろう。
それで、ねたまれて迫害されたのではないかと思えてしまう。

今日の目的は、その戦争画の傑作「アッツ島玉砕」を見ることだった。
戦争画ということで、評価することがはばかれる雰囲気があるようだが、壮大な構想と宗教画を思わせるような象徴的な人物描写に圧倒される。
もう一枚の戦争画「サイパン島同胞臣節を全うす」と連続で展示されていたことも意味深い。
そのうちもっと評価が高まるだろう。
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信濃デッサン館閉館に思う

2018-07-22 08:09:46 | 音楽 美術
信濃デッサン館が今年の3月に閉館になっていたそうだ。
知らなかった。
私にとって信濃デッサン館は、これまで何回も訪れたお気に入りの美術館だった。
友人と来たり、奥さんと行ったり、最近では5年ほど前になるがオートバイで行った。

そもそも大学1年生ぐらいの時に前山寺を訪れてその存在に気が付いたのだが、(開館したばかりの時だったようだ。)当時は、こんな田舎に美術館というのが不釣り合いで、あやしんだ。
デッサン館というのもなんだかピンとこなかった。
人っ子一人いなかったのも不気味だった。
きっと新興宗教かなんかの信者が、自分たちの神様みたいなのを描いて展示した怪しい美術館なんじゃないかと妄想した。それでその時は恐れて素通りした。

一時期は観光バスが駐車場に何台も停車しているのを見かけたこともあったが、最近では来館者も減少していたらしい。
今になって思う。
昔の私と同じように、やはり一般の人に信濃デッサン館の名前というは、どうもピンとこなかったのではないか、もっと村山槐多や立原道造をイメージ出来る名前だったらどうだったんだろうと。

それにしても残念だ。
私にとっては、遠方の友人が突然亡くなってしまったような感じだ。
ああ、もう信濃デッサン館へ行くことが出来なくなってしまった。

小さい美術館でも収蔵作品のセンスの良さは日本一だった。
5年前、美術館のカフェで厚切りトーストを食べながら、塩田平を眺めた。
私が「この景色もすばらしいですね。」と言ったら、お店の女性は、「そうなんですか
私には当たり前の景色にしか見えません」と素っ気なかった。生意気だが、私はこの景色に魅了されて中学生のころから、塩田平を訪れていた。

今は、信濃デッサン館のコレクションが散逸してしまうことを恐れる。

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東京オペラシティー コンチェルト・フォー・マイセルフ ラフマニノフ交響曲第2番

2018-03-08 01:14:13 | 音楽 美術
新宿駅から初台へ歩く

新宿の新しいバスターミナルをまだ見ていなかったので見学。


甲州街道も歩道が広くなりおしゃれなアベニューとなった。


感心しながら歩いていると懐かしい初台の吉野家があった。


感激して豚汁セットを食べる。
なにしろ40年近く前のことだが、この店で吉野家の牛丼を初めて食べたのだ。(今ではビルになってしまったが)
当時の初台周辺は、夜になると真っ暗で、24時間営業の吉野家だけが妙に明るかった。
中島みゆきの「狼になりたい」の歌詞に吉野家が出てくるが、
私にとってこの曲の吉野家のイメージは、この店だ。
と、妙に力がはいったところで、東京オペラシティーコンサートホールへ向かう。

今日は、東京フィルのコンサート
コンチェルト・フォー・マイセルフという聴いたことのない曲とラフマニノフの交響曲第2番。
コンチェルトの方はジャズを取り入れた斬新な曲で、小曾根真さんというジャズ系大御所ピアニストの方が担当。

いきなりジャズ系ごきげんクラッシック的演奏で始まる。
途中ビックバンド的なのりや、山下洋輔のような演奏など、バラエティーにとんでいる。
ピアノの弦を直接指で弾いたり、叩いたり、同時に鍵盤でも演奏したりの曲芸演奏もある。
アンコール曲は、ほとんどジャズだった。
こうして第一幕が盛大に終了。

第二幕は、小曾根さんには負けないからね的東京フィルの気合で、
ラフマニノフ交響曲第2番の演奏が始まる。
特に第三楽章、第四楽章は、オーケストラが歌う、歌う、熱唱するで
神がかり的な演奏。
この季節の東京フィルの演奏は、やります、見せます、聴かせます、
で、いつも三拍子揃っている。

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高村光太郎の審美眼

2017-08-26 00:03:31 | 音楽 美術
「書を見るのはたのしい。画は見飽きることもあるが、書はいくら見ていてもあきない。
またいくどくり返しみても、そのたびに新しく感じる。」・・・・書の深淵

「神護寺の薬師はまったくいい。特殊なもので、ああいうものはあれだけぽっつり在るのだけれど、いろいろな方面から考えてあの像は大変面白い。・・・中略・・・神護寺の薬師になると丸鑿(まるのみ)の絶頂なのだ。あれは最もいい条件で丸鑿を使って居り、丸鑿でしゃくってあるけれども非常に謹んで使っていて決してやり過ぎていない。・・・中略・・・あの像は技術の上からも非常に立派なもので、素晴らしいと思う。」

「更に遡れば、私は夢殿の観音を最高のところに置きたい。此は彫刻などと呼ぶ以上に精神的な部類に入って了ふ。この御像は彫刻の技術としては不器用であるけれども、その不器用な所が素晴らしい。彫刻的には不調和で無茶苦茶な作であるが、寧ろその破綻から良さが出て来て居り、完全に出来ていない所から命が湧いて来ている例である。」
・・・・・・・・・・・以上 高村光太郎選集、回想録より

「ロダンなんかでも、まだ「考える人」あたりはあぶらっこいが、しまいの「法王の首」なんか作った時代のはとてもいい。けれども多くの人はそれを認めない。やはり大きいものをこしらえた時代がいちばん全盛時代だなと思う。そして、晩年小さくなってくると、いくらか下り坂なんだろうぐらいに思っている。けれどもロダンのいちばんいいのは、いちばん終わりにこしらえたピオ何世かの「ローマ法王の首」なんだ。これはもう本当に芸術だけになったような人の作品だね。ミケランジェロだっていちばんしまいの「ロンダニーニのピエタ」、あれがいちばんいいんだよ。「モーゼ」なんかはまだあくどい。」
・・・・・晩年の高村光太郎より

どうでしょう、これらの高村光太郎の言葉。
さすがは高村光太郎、ただ者ではありません。
その見識の深さに脱帽いたしました。

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この夏 ポーラ美術館へ行く

2017-08-11 15:32:31 | 音楽 美術
ポーラ美術館は、箱根の山中にあり、なかなか気軽に行けない。
確かに車で行けばさほど時間はかからないが、東名高速を走ることになり、
一人で行くには、お金のかかる美術館だ。

ところがこの夏娘が夏休みで暇そうにしているので、奥さんと3人でポーラ美術館へ出かけた。(3人だと一人当たりの交通費は、安くなる)

美術館の建物はモダンな造りでガラス張りの部分が多い。
明るく美しい美術館だが、建物を維持するにはかなりのお金がかかりそうだ。
それで入館料は、大人1800円とやや高めになっている。

それでもポーラ美術館の収蔵コレクションは、質が高い。
作品のすばらしさからいつか行きたいと思っていたのだが、(団体旅行では何回か来たことがあるが、団体さんではゆっくり見ていられない)やっと行けた。
ピカソ、シャガール、の作品は質も高く数も多い。


マチスのリュートも傑作だ。
作品の多くが美術の教科書にも載っているようなもので、なじみ深い。


ポーラ美術館の収蔵品で私が最も注目しているのは、村山槐多の湖水と女と言う作品なのだが、申し訳ないが展示の仕方にはとても不満がある。
一つは、額縁が金ぴかで、ひどく作品に不釣り合いなことだ。
二つ目は、絵に当てる照明が不適切で、絵がてかてか光ってしまい、作品本来の陰影の深さが感じられないところだ。
なんとかしてもらいたいものだ。

帰りは、御殿場インターに入る前に御殿場アウトレットに寄った。

それで、この通り。


やはりお金のかかる美術館なのだ。
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六本木のジャコメッティ展へ行く

2017-07-15 19:26:18 | 音楽 美術
ジャコメティの彫刻は、特別好きなわけでもなかった。

昔、小学生、中学生向けの美術本を見ていたとき、
なにがいいのか分からない彫刻がいくつかあった。
一つは「塗られたブロンズ」という作品
(缶ビールのようなものが二つ並んでいるだけの作品)
もう一つはデュシャンの「なぜクシャミしないのか」という作品
(小さな虫かごのような中に四角い白いサイコロのようなものが沢山入っている作品)
そして、ジャコメッティの「森」
(ひょろひょろの人物が地面から生えてきたような作品)
今回の展覧会にも展示されていた。

しかしながら最近、現代詩の同人誌「歴程」のメンバーであった、矢内原伊作氏と宇佐見英治氏がジャコメッティと深い関わりがあったことを知り、行ってみる気になった。

ジャコメッティについての評論を書き、ジャコメッティに矢内原伊作さんを紹介したのが宇佐美さんらしい。

ジャコメッティを抜きにしても
お二人には、少し興味がある。
辻まことや山之口獏とも深い交流があったからだ。

私が唯一知っていた作品「森」は、
後ろにやや低い人物が2体、前に背の高い人物が5体と、その右に上半身のみの人物が配置されている。
人物の表情は、顔が小さいため、悲しいのか嬉しいのかあまりよくわからない。
他の作品でも同じだ。

一見、噴出した溶岩のようでもあり、神像のようにも見える。
精神性を強調した作品にも思われ、円空仏にも通じるものがありそうだ。
単純化された人物像には、ある種の仏像のような気配も感じられた。

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24年ぶりにブリューゲル展を見る

2017-04-23 19:10:35 | 音楽 美術
ブリューゲル展のイメージキャラクター 「タラ夫」
足の毛がグロい



ブリューゲル展は24年ぶりだそうだ。
ということは、
前に見たのは24年前のことなのだ。
だけど次の24年後は、もうないかもしれない。
それで今回は、観音様でも拝むようなつもりで出かけた。

最近の美術展は盛況だ。若冲展なんか混みすぎて見る気にもなれなかった。
ダリ展も混んでいた。
特に展覧会の後半になるとますます混む。
今回のブリューゲル展は、小ぶりの版画が主体だ。
バベルの塔だって大して大きくない。
混んでいては、作品を見るより人を見に行くようになってしまう。
それで今回は、夜討ち朝駆けで、朝一番に出かけ、開館40分前に並んだ。
さらに開館したら、まずはバベルの塔の所へ(バベルの塔は展示作品の最後の作品だった)
同じ考えの人は多いようで、朝一でも、けっこう盛況だった。

ブリューゲルの絵には独特の空気感がある。
宮崎駿さんなんかも相当影響を受けているんじゃないかと思う。

場所を替えて東京芸術大学でもバベルの塔のコラボ展をやっている。


バベルの塔の立体模型と、映像模型


入口の特殊カメラで自分の顔を撮るとあなたもバベルの塔の建築労働者になれる。


帰りは谷中霊園から日暮里の駅へ


ここの立ち食いそば屋さんは、安くてうまい。
すっかりファンになってしまった。
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ニューイヤー・コンサート2017ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団 サントリーホール

2017-01-02 05:59:54 | 音楽 美術

元旦なので、お寺さんへお参りに行くと、同級生がやって来た。
「よお、おめでとう」
「おお」
「これから、護摩だきがあるから一緒に行こう」
「ええ、うちのお寺でそんなことやってんの」

半分見える本堂の中に、椅子が並んでいるのが見える。
さっきから鳴り物の練習も聞こえてくる。
どうも、あそこに座ったら簡単には帰れそうにない雰囲気だ。
午後からのコンサートを考えると、ちょっとリスクが高い。

「ウーン、まあ、そうね、またこんどにしとくわ」
と、ここは、えびずさりで退散。


というわけで、今日は、ニューイヤー・コンサートへ行ってきた。
指揮者はルードナーさんだったので、迷わず決めた。
今年のコンサートは、西の風。パリから吹くオペレッタの風だ。

開始そうそうのカウンターパンチの2曲で、今日のコンサートの雰囲気が見えた。
ルードナーさんもバイオリンを弾きまくる。
細かい演出を配したエンターテイメントの演奏は、観客をあきさせない。
歌あり、踊りありのコンサートは、他では真似のできない豪華さだ。

今日の流れでは、ラデツキー行進曲はいらないかなとも思ったが、
やはり、それなりの演出で聴かせてくれる。

ルードナーさん、ウィーン・フォルクスオーパーのみなさん
ニューイヤー・コンサートのすばらしい演奏をありがとう。


開演前、グッズ売り場にルードナーさんがいらした。
誰もお客さんがいないので、2014年のニューイヤー・コンサートのCDを買ってルードナーさんにサインをしてもらった。
こんな時、「今日のコンサート楽しみにしています」とかすらっと言えたらカッコいいんだろうけどね。


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サントリーホール クリスマスオルガンコンサート2016

2016-12-24 22:49:02 | 音楽 美術
昨日に続いてバッハ・コレギウム・ジャパンのコンサートへ行く。



ヴァイオリンとオルガンの競演はよいですな。
ヴァイオリンは若松夏美さん。
歌うような響き。

一体となったコーラスは、プロの技
天上からのメッセージのよう。

皆さん昨夜は、メサイアの打ち上げで沢山お酒を飲まれたそうな(サントリーでしょうか)
それでもこの声とは、ソプラノのレイチェルさんは、さすがにウイスキーの国の方

昨日のメサイアに比べればまだまだくだけた演奏会でしたが、
イエス誕生の物語をしっかり入れるなど、格調の高さは崩さない。

最後はオルガンの伴奏で、お約束のきよしこのよるとなりました。(みんなで合唱)

クリスマスでんがな


ハレルヤコーラスを一般募集でやるそうです
来たれ若人



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サントリーホールでメサイアを聴く

2016-12-23 22:23:57 | 音楽 美術
メサイアのフルコーラスとなると少し敷居が高いと思ったが、
今年は、日にちが良いのと、もともとハレルヤコーラスが好きだったので、
コンサートへ行ってきた。

サントリーホールもクリスマス仕様


今日のお客さんたちは、紳士な人が多い。
というのも、皆一様に真剣に聴き入っている。(静かだ)
コーラスを妨げる咳やざわつきも極めて少ない。

さすがにこの長丁場のメサイアを聴こうという人たちはマニアだ。

演奏は第2部へ
いよいよハレルヤコーラスが始まった。
ああハレルヤコーラスだ。
ああいかん、どうもこのフレーズは・・・・・
キリスト教徒でもないのに
この後、ずっとコンサートが終るまで涙が止まらなかった。


帰りは、いつもは溜池山王の駅から帰るのだが、
今日はなんだかしばらく歩いてから帰りたい雰囲気だった。
それで山越えで神谷町から帰った。


ハレルヤコーラスは、昔から私の家にレコードがあった。
それは、母の後輩の合唱部の生徒達が歌うハレルヤコーラスだった。
ソノシートのようなレコードだったが、そのレコードを聴くために
家では、わざわざ安物のステレオを買った。

レコードのジャケットには、シックな小ホールに立つ合唱団の姿があった。
そんな自分にとってオーディオの原体験となっているのもハレルヤコーラスだった。




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クラーナハ展へヴィーナスを見に行く 国立西洋美術館

2016-10-16 18:12:07 | 音楽 美術
この顔にピンときたら110番
ではないが、
ポスターを見てピンときた。
この女性の顔は、かなり昔から知っている。

「いいの、こんなの載せちゃて、まずくない」
心配するほどエロチックなヴィーナスは、百科事典の別冊「世界の文化」の中に載っていた。

展覧会のポスターとは違う絵だが、この絵と同じ顔だ。
クラーナハ展の作品リストを調べたら、やはりヴィーナスがあった。
昔のスケベ心がよみがえる。
これはどうしても本物を拝んでおかなければ。
で、朝から出かけた。

問題のヴィーナスの絵は、え、こんなに小さいの
というぐらいのサイズの絵だった。

「今日の一枚」
ルカス・クラーナハ 作
「ヴィーナス」
1532年 
縦37.7 横24.5
シュテーデル美術館蔵(フランクフルト)

もう一枚、同じような連作の作品も展示されていた。
「ルクレティア」
サイズ、絵の構成とも同じだ。

このヴィーナスは、今まで1mぐらいの大作なのかと思っていた。
どうしてこんなに小さい絵なのか考えた。
やはり、普段は隠しておいたのではないだろうか。
貴族の肖像画のように、客間かなんかに、ドドーンと飾るわけには
いかなかったのではないかな。

他の女性像も、背筋がゾクゾクするような怪しい美しさだ。
剣に生首なんて、意味深な組み合わせだ。
ポスターになっている「ホロフェルネスの首を持つユディト」は最近修復されたばかりだそうで、たいへん美しい(こちらの絵はヴィーナスよりはるかに大きい)

クラーナハはピカソやデュシャンにも大きな影響を与えたそうだ。関連するピカソの作品も展示されていた。

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滋賀県 甲賀 櫟野寺(らくやじ)の秘仏を東京国立博物館で観る

2016-09-24 22:00:13 | 音楽 美術
めったに拝むことの出来ない秘仏が東京に来ているとのことなので、雨の中出かけた。
肩書は重要文化財だが、こんなにすごい重要文化財はない。
展覧会のキャッチフレーズも
「総高5メートル超、大迫力の秘仏が東京へ」
「平安の秘仏」
「滋賀櫟野寺(らくやじ)の大観音とみほとけたち」

木造十一面観音坐像は、圧倒的な存在感で、蓮弁の上に座している。
その下、台座の部分はくびれているので、仏像の加重の中心が像の真下にこなければ前につんのめったり蓮弁ごとひっくり返ってしまうことになる。
つまり、一見造形美を優先させているかのような観音像も、
根底には建築士のような建造物を造るクールさがあるということだ。

秘仏であるせいか、金箔の状態が極めてよい。(後の世に張り替えたものなのだろうか)
光背をはじめ、観音像の顔の部分も、きわめて綺麗だ。
膝のあたりは、少ししもげていると思ったら、法衣の部分は細かい彩色が施されていた。
当初は鮮やかな色であったものだろう。
後ろからも見ることが出来るので、裏面の十一面観音も見ることが出来る。

本来仏像は、安置されている寺で見るべきだろうが、このように適度な照明に明るく照らされることは、この後もうないことなのかもしれない。
そういう意味では、極めて貴重な展覧会だ。




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山種美術館コレクション名品選Ⅱ 浮世絵六大絵師の競演

2016-08-28 20:10:43 | 音楽 美術
美術館の題字は安田靫彦だそうです。(原版は館内階段横の壁に掲示されています)


浮世絵というのは、宮廷画でも、信仰のための絵画でもなく、
大衆のための娯楽の絵画であるというのが画期的です。
商売として沢山売るため、版画の技術が発達し、
絵にも大衆を飽きさせない創意工夫に溢れていて、
絵の対象も風景画から芸能関係のブロマイドや、果ては枕絵までとおよそ考えられることはすべてやるという貪欲さが根性すわってます。
今でこそ、美術館などでうやうやしく拝見しますが、
もとは、庶民の家にあった絵画というのがすごいですね。

鈴木春信 「梅の枝折」

図柄、構図とも細かいですね。
よく見ると梅の花のおしべまで描き込まれています。

鳥居清長 「当世遊里美人合 橘妓と若衆」
     「社頭の見合」

すらりとした人物が今風な描き方で、
ファッション雑誌の、スタイル画のようです。

歌川豊国 「役者舞台の姿絵 高らいや 三代目市川高麗蔵の千崎弥五郎」
     「役者舞台の姿絵 やまとや 初代坂東蓑助の早野勘平」
     (二枚つなげて展示しています)

右の千崎弥五郎は、SMAPの「草彅 剛」風で左の早野勘平は「陣内 孝則」風です。
江戸時代の美男の基準が現代にも通じているようで面白いですね。

東洲斎写楽「二代目嵐龍蔵の金貨石部金吉」
     「三代目坂田半五郎の藤川水右衛門」
     「八代目森田勘弥の賀籠舁鶯の治郎作」

写楽の人物の臨場感は、他の浮世絵とは一線を画すレベルです。
まったく奇跡的なまでの描写力。
特に「二代目嵐龍蔵の金貨石部金吉」「八代目森田勘弥の賀籠舁鶯の治郎作」はすごい。

歌川広重 東海道五十三次 揃いでの展示です。

版の初期のころの刷りのようで
名作の誉れ高い「蒲原 夜之雪」は、後期の中央部分を黒く刷り上げるのではなく、縁の部分を黒くして中央部分は白く残す刷りとなっています。

「原 朝の富士」山頂部分が四角い紙の枠からはみ出している。(富士山の高さを強調しています)
「掛川 秋葉山遠望」でも画中の凧が枠から、わざとはみ出して描かれている
この辺の遊び心は、江戸時代としては画期的。


木曾路之山川(雪月花之内 雪)3枚
絵は南宋画のようでも、雪は確実に日本の湿り気の多い雪だとわかるのが名人の描き方



美術館の加山又造の壁画

加山又造は、「夜桜」が展示されています。
私にとって加山又造は「迷える鹿」が第一に思い浮かぶ作品なのですが、様々な異なる画風のせいで、長い間、加山又造のこれらの作品が、どれも同じ作家の作品であるということを認識できずにいました。





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読響名曲シリーズ サントリーホール 8月17日

2016-08-18 00:00:40 | 音楽 美術
読売日本交響楽団
指揮 セバスティアン・ヴァイグレ

メンデルスゾーン 序曲ルイ・ブラス 
シューマン    交響曲第4番 
ドヴォルザーク  交響曲第8番 


台風いっちゃったので、今日もお出かけOK
しかし妙に暑い。
そうだ、コンサートへでも行くかな、ということでやってきた。(ホールの中は涼しいだろう)
(サントリーホールのコンサートの席は、まだ空いていた)

当日割引の2割引きセールでアタックチャンス!(握りこぶし)
普段買うことのできないS席でも大丈夫だ。

というわけで、コンサートの曲は、ややマイナーな感じだったが行ってきた。

メンデルスゾーンはメンデルの法則で、聞いたことがなくても、納得の曲調。

シューマンは、よくわからないけど、指揮する人にとっては、難しそうな地味めな曲。
交響曲第4番は、クララ(奥さん)への誕生日プレゼントとしてシューマンが贈った曲だそうです。

「クララ!」
「ハイジー!」 
「まあ、ペーターも来てくれたの、嬉しいわ」
「チケット売れ残ったらどうしよかと思ってたの」


ドヴォルザークは第3楽章あたりは聞いたことがある。
第4楽章の金管楽器がしびれる。

けっこう盛大な拍手で、通な人にはわかるんですね。

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伴大納言絵巻を見る(出光美術館)

2016-07-03 20:08:27 | 音楽 美術
出光美術館の看板は結構控えめ(なんだか銀座あたりの画廊の看板みたい)

どうせ混んでるんだろうなと思ったが、そうでもなかった。
今回の絵巻は3期に分けて公開されていたようだ。
メインの応手門の炎上シーンは1期なのでもう終了していました。

伴大納言絵詞の主人公は伴善男で、
最初に応手門放火の嫌疑をかけられたのが左大臣源信で、
今風に言えば「よしおちゃん」と「まこと君」だ。
平安時代は、けっこう現代風な名前がある。
このちょっと後には源融「とおる君」なんていう人もいた。
まあ絵巻とは関係ないことなのでこのぐらいに。

絵巻は最近修復されたのか、色が鮮やかだ。
空いていたので、食い入るように見ることができた。
登場人物の顔を見ていると、こういう顔の人が当時本当にいたんだろうなと思う。
ほとんどの人が素足にわらじだ。歩くのに痛くはなかったのか。

絵巻の最後、伴善男が連行される所、車の車輪が円ではなく、縦長に描かれている。視覚的効果を優先して描いているのがすごい。
とにかく、人物が生きいきと描かれていて、当時の人々の様子が窺い知れる超貴重な絵巻だ。
絵詞の文字の部分はみやびな平がなで記されていた。
今回10年ぶりの公開とのことなので、次回また見られるかどうかはけっこう怪しい。

他にもまだまだある名作の数々
「祇園祭礼図屏風」安土桃山時代の祇園山鉾巡行の様子が描かれている。

「洛中洛外図屏風」(江戸時代)二条城に伏見城、京都の名所が織りこまれた堂々たる屏風絵。
ところで屏風絵のシーンを区切る金色の霞は、最初に考えた人は天才ですね。
これだけ大きい風景が単調にならずに、作者が描きたいシーンをデフォルメして同じ絵の中に組み込むことが出来るなんてすごい。

「江戸名所図屏風」では不忍の池のペリカンに注目です。
なんでも、1629年(寛永6年)不忍の池にペリカンがやってきたとの記録があるそうで、それでこの絵はそれ以降の年代に描かれたということがわかるんだそうです。いやー細かいところまで見てますね。

ほかにも、歌麿の美人画、尾形光琳の硯箱、
野々村仁清、俵屋宗達、酒井抱一といったビックネームの作品が並びます。

出光美術館を出たあとは、そのまま帰ってはもったいないので、すぐ目の前の皇居を見学。


お約束の二重橋から、江戸城のお堀を観察
このあたりは、アジア系の外人さんばかり。



二重橋右方向


みごとな石垣ですね。


お堀の水は濁っていますが、それもまたアクセントになって美しい。




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