出歩け

「お前はいつも縮こまっている。もっといろいろ調べて新しいところに出歩け。」と、父は言います。
しかし、私は超の付くくらいの方向音痴。
出歩きたくてもいけないのです。
いつも、誰かの後ろを歩いて、安心しているのです。

「この狭い日本で、迷子になるはずがない。」と、言いますが、いくら小さくても日本は広いんです。
一本電車を乗り違えるだけで、全然違うところに行くことになります。
私は、安全主義者なんです。
冒険は一切しません。
本当は、これから一人になるのに、いつも人の後ろばかりついて行ってはダメなんだ。と、父は言います。
きっと心配してくれているのです。
「自分で目的を持って歩くと、楽しいぞ。」と、言います。
私はそれより不安のほうが大きいんですが。
きっと、何かの拍子に出歩くのも楽しくなることもあるでしょう。
それまでは、手足を縮めて小さくなっているしかないのです。