母の風邪

父から私へ風邪がうつり、私から母へ、また風邪がうつっていった。
風邪は、人を介するうちに、ドンドン凶悪性を増し、最後にうつった母は、大変なことになった。
母は、元来、大げさな人なので、病気になっても、みんなそのことを知っているせいか、あまりかまわれないのだ。
特に、私は、あまり関わらないようにしてきた。

昨晩、「さあ、寝よう。」と、歯を磨いていた母の首を見ると、赤くはれ上がっている。
母に、「赤いよ。蕁麻疹じゃない？」と、言うと、のんきに歯を磨いていた母は、鏡を見つめ、「顔まで赤くなってる。」と、必死の形相で、父に報告しに行った。
きっと、風邪薬が合わなかったのだろう。
父に、「病院へ行け。」と、言われ、いつもなら、グダグダ言って、はぐらかすけど、今回は、言うことを聞いて、今朝一番で医者に行った。

風邪の講釈も聞かないといけないけど、蕁麻疹のことも聞かないといけない。
あまり、深く関わると一日が病気の話で終わりそうなので、私は、目も合わさず、自分の部屋へ引っ込んだ。