イタリアより

滞在日記

アリタリアの終焉と新生フラッグ・キャリア

2021年09月29日 | アリタリアーイタリア航空

レオナルド・ダ・ビンチ空港にて/2013年12月撮影

それでも大好きだったアリタリア機


長い間滞っていたブログですが、先年「パレルモ行きのバス」の中で起こったちょっと愉快だった出来事や、コロナ禍で観たイタリアのドラマ「パラディーゾ・恋する百貨店Ⅱ」のエッーとのけぞった最終話等、諸々のイタリア話を書き始めようかと考えていた矢先に知ったアリタリア-イタリア航空の消滅…やっぱりなぁと思う反面、長い間利用してきたアリタリアがなくなるのは残念でなりません。


アリタリアから移管され
来月2021年10月15日から就航する「ITA」のロゴ

なんかねぇ…ali(翼)をもぎ取ったような…


コロナ禍で今年もイタリアには行けないだろうと思いながらも、アリタリアの公式サイトで、あちこちの都市の就航を検索しては楽しんでいたのですが、ある日を境に突然検索が出来なくなり、おかしいなぁと感じていました。2021年7月時点では、羽田-ローマ間も表示されていて、次回は、羽田出発にしようと旅の空を思い浮かべてもいたのです。なじみの旅行会社にもこの一件を聞いてみましたが、情報は何も入っていないとのことでした。ところが、9月6日、アリタリアの会員に届くニュースレターを読んで事の真相を知ることになりました。


2021年9月6日/アリタリアから届いたニュースレター


『(イタリアの)経済開発省は、特別管理下にあるアリタリア航空 (Società Aerea Italiana S.p.A.)の航空部門を100%出資の公共企業であるイタリア・トラスポルト・アエロ (Italia Trasporto Aereo S.p.A.) の売却手続きの中で、アリタリア航空に対し、新しいフラッグキャリアの運航開始予定日である2021年10月15日をもって、航空券の販売を終了し、同社の運航を停止することを許可する』と文中のリンク先には、そう表記があって


ハンガリーに向けてアリタリア機と最後の旅に出るフランシスコ法王/2021年9月12日

Italiavola&Travelより


つまり、『アリタリア-イタリア航空』は、『Italia Trasporto Aereo S.p.A』〈通称:ITA〉に移管され、来月2021年10月15日をもってなくなる、ということに。もっともこの「ITA」は、2020年11月に、イタリア政府が経済財務省を通じて設立した航空会社で、アリタリアは2017年以降政府の管理下にあった為、当然といえば当然の成り行きだったのかも知れません。幾度もの経営破綻を繰り返し、その都度の再建にも失敗してきたアリタリアは、これでついに『完全国有化』されたことになります。といっても、それは、これまでのように国が財政支援をして、アリタリアを救済・改革するという処置ではなく、全く以て新しい会社がその運営を担うということ。そうアリタリアは破産したのです。


機中、法王は「ci lascia Alitalia」-アリタリアは私たちを去る-と話されたのだそう

Italiavola&Travelより


コロナ禍に見舞われた二年間、様々に変容する社会を見ることになりましたが、余りにも強大な労働組合、社内にはきっと改革の志を持つ人も居ただろうと思うけれど、澱のごとく滞っているように感じる企業風土を、この航空会社を利用するたびに垣間見れば、アリタリアは今の時世でなくても遅かれ早かれ迎えた終焉だっただろうと思います。


高速道路からフィウミチーノ空港へ向けてデモを行ったアリタリアの労働組合
`Noi siamo tutti Alitalia!`-私たちは全てアリタリアだ―のスローガンを掲げて
9月24日・corriere della deraより

「ITA」は、2750名の職員からスタートする
その大半はアリタリアの従業員らしいけれど
1万人以上居たアリタリアの人員からすれば
職を失う人も勿論居て…

『Italia Trasporto Aereo S.p.A』に於いては、機体の数や職員も大幅に削減、規模も随分縮小してのスタートになるようですが、公式サイトにはイタリア国内で就航する路線をはじめ、『REST OF THE WORLD』(就航する世界のその他の地域)として『Tokyo Haneda』の表記があることは安心材料です。

それにしても、アリタリアから引き継がれる資産をはじめ、プログラムやシステムはそれなりにあるのだろうけれど、まだまだうかがい知れない「ITA」。アリタリアの終焉に思いをはせながらも、生まれ変わるイタリアのフラッグキャリアには大いに期待を寄せたいと思います…せめて先人の轍は踏まないようにと願いながら。

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4 コメント

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dopo tanto tempo! (pockn)
2021-09-30 09:31:37
kazさま、久しぶりの更新を嬉しく読みました。どうしたのかなとちょっと心配もしてました。
アリタリア、びっくりです。あのデザイン、好きでした。
イタリアでは何をするにもどこへ行くにも接種証明が求められるようですが、逆にそれがあれば近いうちにイタリアへ行けるようになりそうですね。
またシチリアレポートも楽しみにしています。
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Unknown (Maria)
2021-10-01 10:47:09
いつも楽しく拝見しております。有意義な情報もたくさん頂いていて、いつか私も連れ合いとイタリアに行くのを楽しみにしています。
アリタリアの倒産の話はほんとに驚きました。ローマまで乗り換え無しに行けるので、次回はアリタリア!と思っていたのに。でも新しい会社のでも直行で行けるのですね。なんかホッとしています。早く又旅行できるといいですよね。
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pocknさんへ (kazu)
2021-10-01 20:08:29
こんばんは。コメントを頂いてありがとうございます。ほんとにお久しぶりです。勝手気ままなブログなのにお気に止めて下っていたなんてとても嬉しいです。アリタリアはほんとに残念ですよね。私もpocknさんと同じあのロゴも制服も大好きでした。良い思い出もあるし、なんだかんだと言ってもファンでした。

ほんとですね。ワクチン接種は2度済んでいるし、行けたらいいなぁ。ずっと昔、高速鉄道のイタロが走り始めた頃、会員登録したのですが、最近、そのイタロからよく格安チケットの案内がよく来ます。「すぐに購入を!」なんて書いてあって、もうむずむずしてしまいます。シチリア旅行ももう二年も前のことになるのですよね。もう少し更新出来たらと思っています。いつもありがとうございます。
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Mariaさんへ (kazu)
2021-10-01 20:20:09
こんばんは。コメントをありがとうございます。つたないブログを読んで下さって、そんな風に言っても頂いてとても嬉しいです。アリタリアの破産は今に始まったことではないのですが、やっぱり無くなってしまうのはとても寂しいです。新しい航空会社「ITA」は、ブログにも書きましたが、今のところ、羽田路線はあるようなので、私もMariaさんと同じちょっと安心しました。直行便はやはり便利ですものね。ほんとに全て解禁になって又旅が楽しめるようになればいいですね。
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