
「L´ORCO」(人食い鬼)
園内、前述したとおり、おどろおどろしい石の彫刻が点在していますが、なんと言っても有名なのが「人食い鬼」のモニュメントです。以前日本でも飲料水のテレビCMに使われました。『喉が渇いたら~♪』と広告の飲料水をこの人食い鬼の口に流し込むパフォーマンスだったと記憶しています。
実は「L´ORCO」というのは、ギリシャ神話に出てくるハーデスやプルートンに倣(なら)った冥界の神オルクスのことをいいます。古代ローマ神話の死の神に由来する地獄の王・・・
恐ろしい叫び声をあげる石と化した男の巨大な頭は地上から突出し、目玉のない空虚な黒い目はこの場に立つ者を絶望の淵へ誘(いざな)う~その異様さはまさしく人を喰らう鬼と呼ばれるにふさわしい。あー怖いですよねぇ。夢にまで出て来そうです。

この場所でたまたま一緒になったイタリア人の観光客と記念写真の撮り合いをしましたが、“ここが地獄の入り口だとお前は気付かねばならない”と言われてしまえば、座して笑っている場合ではありません。なんと恐ろしい。更には、彼の唇に書かれた言葉は、上記の写真、朱で上書きされている「OGNI PENSIERO VOLA」!。“ありとあらゆる思考・観念は飛び去る”。あっらーこっちも意味深長で、一層恐怖を駆り立てられます。
このフレーズはダンテ・アリギエーリが著した「神曲」“地獄の門”に記された「lasciate ogni speranza o voi che entrate=この門をくぐる者は一切の希望を置いていけ」のオマージュであることは明らかで、そうと知れば、大急ぎで腰を上げここから立ち去らなければなりません。だって、これからローマまで長い帰路をたどらなければならないのに、希望も思考回路も絶たれてはそりゃもう大変です。
と前置きがまたまた長くなりましたが、“帰り道”にちょっと触れておこうと思います。帰路は、先ずは単純に来た道を薬屋さんまで歩いて行けばいいのですが、そこからのバスは、来た行程を元に戻る道のりを私は選びました。前述の時刻表にあるように18時10分のバスでオルテ駅までUターンしましたが、以下のように、16時40分発ビテルボ行きのバスもあります。

実は、ボマルッツォへ行くもう一つの行程が、このビテルボ経由です。ローマ市内の鉄道駅から、ボマルッツォのバス停「カヴール通り」に行くバスが出る「Viterbo Porta Fiorentina」駅まで行き、そこからコトラルのバスに乗って、カヴール通りへという道のりになるのですが、この冬の時期は「フィオレンティーナ駅」までの列車の直通はなく、オルテ駅へ行く倍の時間がかかります。当初、ビテルボ経由で怪物公園へ行き、その途上にあるランテ荘へ寄ろうと計画をしていたのですが、こういう訳で断念することになりました。
話を元に戻すと、帰路も然りで、ビテルボまで行くのはいいのですが、そこからローマ・テルミニ駅までの直通電車がない。恐らく、近隣駅まで代替バスで移動して、その駅からテルミニを含むローマ市内の駅までという行程になるのだろうと思います。シーズンになれば、あるいは学校が始まれば、電車の便も増えるし、数は少ないながら直通列車も走るはずですが、いずれにしても冬の時期は交通機関の接続がやっかいです。

日が落ちるとめっきり寂しくなるバス停前
そして、もう一つ注意したいのは、ボマルッツォの町のバールです。考えると当たり前なのですが、夕方の営業時間は16時30分から。青空のもと、公園内をゆっくりと見て回り、ボマルッツォの古い町並をのんびり散策出来たのは良かったのですが、それをしてもなお、18時10分発のバスの待ち時間は結構ありました。近くのバールが営業するまでの時間つぶしに少々困ったので、この辺りの時間配分には注意が必要です。
どこへ行くにも、クリスマス前後の交通機関は不便です。移動する時はどこかに何かしらのしわ寄せが来る。今回もその典型でしたが、なにものにもとらわれず、ゆったりとした一日を過ごせたのは、毎年のことながらオフシーズンならではでした。
kazu さんみたいな自ら切り開いていく旅、憧れるけど、私の足はポンコツちゃんだし、頭の固い添乗員もいるし、、そんで、またまた後ろを振り向いたら(>人<;) 私の曖昧な態度がいけないのです。楽しむしか無いのですが遣り方が。。(−_−;)
の中にボマルツォがありました。副題は「怪物たちの宴」。池上英洋氏は「怪物公園が造られたマニエリスムという時代には、発掘された洞窟などから着想を得た様式が流行をみていた。聖なる森もこうした傾向が、極端な形で現れたものと考えてよい。生と死のシンボルや、官能的なエロティシズムがあからさまに配置されたこの楽園は、しかし
亡き妻に捧げられたレクイエムでもあるのだ。」と書いて
います。
怪物の口の中での、楽しそうなポーズと表情から
そうお見受けします。
ボマルツォにはひどく傾いて建っていて、中に入ると
不思議な感覚に襲われる家があり、遠からぬ
トッレ・アルフィーナには、大きい目が描かれた壁や
屋根から飛び出す脚もあって、この周辺には、芸術家が
自由に想像の翼をはばたかせたような不思議なものが
多くて、おもしろいなと思います。
ラッツィオに限らず、イタリア全国で、電車やバスの地方便は多くが通学や通勤の足として使われているので、復活祭休みや夏休み、クリスマス休暇で学校が休みになると、運休の便が多く、運行されても便が格段に少なくなってしまいます。そういう中、情報を集められて、無事に遠征されたかずさん、すばらしい!
そうなんですよねぇ。公園内は貰った地図に番号が振ってあって、その順番で全部見て回ったのですが、傾いた家は入りませんでした。その昔、宝塚にあったファミリーランドに同じようなアトラクションがあり、その家に置かれた鏡の前でめまいが(笑)そのトラウマもあってやめました。なおこさんは入られたのですね。ほんとにこの時期は自由奔放な、一種狂気とも思えるような芸術があったようで興味深いです。
いつも冬の時期に、それもクリスマス前後にイタリア各地を歩くので、交通機関には四苦八苦、苦労しています。現地にお住まいのなおこさんから見られたら、いつもあたふたとしていて滑稽でしょうねぇ。お恥ずかしいです。この旅行でも又々イレギュラーだった地方のバスを追いかけました^^;。
先ほどクラさんのブログを読ませて頂きましたが、ふむふむと共感できることがいっぱいでした。勉強になります。