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「知らざあ言って聞かせやしょう」 はじめに その1

2017年02月02日 00時05分33秒 | 伝統芸能(歌舞伎など)
 「知らざあ言って聞かせやしょう」 心に響く歌舞伎の名せりふ 赤坂 治績 新潮新書 2003年

 はじめに その1

 日本の文化には大きな特徴があります。それは、古い形を遺しつつ、新しいものも作ってきたということです。たとえば、「本歌取り」という言葉があるように、和歌では歌を新しく作る時も古歌の優れた語句・発想・趣向を積極的に継承すべきと考えられてきました。中世に成立した演劇の能・狂言も、江戸時代に成立した演劇の歌舞伎。人形浄瑠璃も、そのような伝統的な考え方を受け継ぎました。日本の演劇に古い形が遺っているのはそのためです。歌舞伎は、古い形を遺しつつ、新しい形も作ってきたため、次々に幅を広げて、多頭怪獣と評されるされるような演劇になりました。

 1944(昭和19)年、山梨県生まれ。演劇評論家。劇団前進座、「演劇界」編集部勤務を経て独立。