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日本発、悪魔の植物

2015-12-22 07:00:32 | 日記
アメリカ政府がほれ込んだ

 海を渡ってアメリカから日本に着いた種が発芽して、いまや日本中に生息域を
拡大し在来種を根絶やしにしている話を先週取り上げました。
それに対して日本からも秘密兵器がかの地に送り込まれ、今やアメリカ中で猛威を
振るっていると言うのが今週のお話です。

 毎週火曜日はウォーキング中に見かけた山野草の話題をお届けしていますが今週は、
日本中どこででも目にする植物、マメ科 クズ属 クズ です。

 飼料として、庭園の装飾として、はたまた土壌の流失防止として余程魅力的に
見えたのでしょう。
素晴らしい植物だとほれ込んだアメリカ政府が音頭を取って日本から移送しました。
時は1876年、以後国を挙げて繁殖が推奨されたのです。
 しかし自然の力は簡単にコントロール出来るものではありません。
流れ出した種が無秩序に生息域を拡げ、憧れの植物は何時しか「デビルズ・プランツ」
(悪魔の植物)と呼ばれる存在になってしまいました。

根粒菌との共生

 クズの強みは根に根粒菌を飼い、互いに必要な栄養分を供給し合う関係を作り上げている事。
これにより栄養が乏しく競争の激しい土地であっても、ライバルよりも早く成長出来るのです。
 豊富に生産されたデンプン「葛粉」は根に蓄えられ次第に巨大化して塊根に育ちます。
日本ではこれを湯で溶かして葛湯を作り、乾燥させて生薬の葛根湯として古くから使われて
きました。
更につるは作業用の材料として広く用いられても来ました。
 クズを生活に取り入れる為には定期的な刈り取りが必要になり、結果として人間との
良好な関係が保たれたのです。
いつしかその関係が崩れ、日本でもアメリカでもクズは厄介な植物とされてしまいました。

 偶然の一致でしょうが、アメリカ発のウリ科のアレチウリと日本発のマメ科のクズは
葉の形や大きさが良く似ています。
広げた掌程の大きさの葉が前者は1枚、後者は3枚一組でつるから元気よく生えています。
山肌の樹々の凹凸を覆いつくして、柔らかな布を被せたかの様な風景に変えてしまうのも
似ています。
一見穏やかに見える表層の下では、元からあった植物が光合成を阻害されて地獄の苦しみを
味わっているのも一緒です。
挙句の果てに両者ともに世界の侵略的ワースト100生物に揃って選定されてもいます。

 今や世界中で無秩序な侵略を続けるふたつの植物。
勢いを止めるには、どうしたら上手に利用できるかを考えなさい、先人はそう教えて
くれています。
コメント
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