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健康長寿 めざしましょう

ありがとう、ニックさん

2015-12-11 07:00:50 | 日記
忘れられない決勝戦

 ひと月前の11月14日、また一人昭和を代表するレスラーがこの世を
去りました。
心を込めて合掌です。

 毎週金曜日は「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」と題してお届けして
いますが、今週は「金髪狼」 ニック・ボックウィンクルです。

 188cm、120kg、均整の取れた肉体でしかも金髪の優男。
初来日は1964年の日本プロレスでした。
この時はNO2の扱いながら主役レスラーを喰う活躍をしたと言います。

 その後も来日を重ね、AWA提携路線を掲げて毎シリーズ大物レスラーが
登場していた国際プロレス、世界チャンピオン揃い踏みを目指していた
全日本プロレス、両団体のマットに燦然と輝く歴史を焼き着けました。

 しかし私の中の「ニックの真骨頂」は1970年の日本プロレスで
行われた第1回NWAタッグリーグの決勝戦です。
8組の参加チームによるリーグ戦を勝ち上がって、今から45年前の
11月5日の決勝戦に臨んだのはニックとジョニー・クィーン、対するは
アントニオ猪木と星野勘太郎。

 猪木がメキメキと頭角を現してきた時期ではありますが、一枚格落ちの
感がする星野とのチームでは戦力的に不利、と凡戦が予想されていました。
しかしその星野の一世一代の活躍もあり、60分もの熱戦が展開されました。
直後に始まった延長戦で、猪木がニックに卍固を決めて漸く試合は終了しました。

 堂々優勝の猪木組ですが負けたニック組もその戦い振りが大いに評価されました。
クインのアシストを受けて金髪を知り乱しながらパンチを振り下ろし、目立たない
ながらも関節を決めて相手の動きを封じて試合を組み立て、極めつけは正面に
据えた相手の脇を決めて後方に投げ飛ばす独特のスープレックスで作り出す見せ場。
当時は同じようなタイプのレスラーは他にほとんどおらず、ニックの戦い振りが
いつまでも記憶から薄れて行きませんでした。

人間としての魅力

 このシリーズの為だけに作られた即席チームながら準優勝したのは、誰と
組んでも結果を出せる力量と誰とでも良好な関係を築ける人柄がニックにあった
証でしょう。
 プロレスに非日常を求めるファンにとって、公私ともに型破りなレスラーは
大変魅力的です。
しかし所謂トンパチを従えて興行を続ける団体関係者には気の休まる暇も無いでしょう。

 そんな中、ニックはリングを下りれば常識人として親しまれ、紳士として
敬愛されていました。
韓国系のダーリーン夫人と仲睦まじく手をつないで優しく微笑むニックの写真が
専門誌に掲載された事もありました。
 リング周辺の人々、ファンやスタッフや仲間のレスラー、そして家族からも
慕われ続けたニック・ボックウィンクル、享年は80歳でした。
 彼と一度でも一緒に時を過ごした人は皆言うのでしょう、ありがとうニックさん。
コメント
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