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健康長寿 めざしましょう

アメリカから侵略にきた植物

2015-12-15 07:00:21 | 日記
工事車両に乗って全国へ

 12月は日本軍が真珠湾を攻撃し太平洋戦争に突入した月でもあります。
日米決戦は多くの悲劇を招いた上で終了しましたが、植物界では今も戦いが
繰り広げられています。

 毎週火曜日はウォーキング中に見かけた山野草を取り上げていますが今週は、
ウリ科 アレチウリ属 アレチウリ です。

 昭和30年代に静岡県に陸揚げされた、アメリカからの輸入大豆に混入した
種が侵略の第一歩でした。
徐々に生息域を拡大し昭和45年には千曲川流域への侵入が確認されています。
 その後工事作業車や残土などに付着して拡散し、生息地を爆発的に広げました。
現在青森県以南の地域の全てでアレチウリの生息が確認されています。
 主に栄養分の豊富な河川敷で繁殖しますが、車で運ばれ高速道路沿いに繁茂
している様子も見られます。

こんなにある、強い繁殖力の秘密

 繁殖力が強い理由は次の通りです。
先ずは土壌環境への適応性が大きい事。
だから故郷から遠く離れた太平洋を挟んだ土地にもすぐに馴染みました。
 8月頃に花を開いて種を作りますが、その数が非常に多い事。
金平糖の様な形の1cm程の種には細くて白いトゲが幾本も生えています。
それはズボンの布地も簡単にすり抜ける鋭さです。
この種が一株に400個~500個、ある調査では25000個も実っているのが
確認されたそうです。

 翌年5月頃に芽吹きますが発芽率は70%程。
残りは周りの環境が更に良くなるまで休眠する習性を持っています。
 ツル植物の様に他の物に巻き付いて成長するので、茎を太くするよりも長く
する事に栄養を回せます。
だから成長が早い。
最大で10mもツルを伸ばして他の植物を覆いつくします。
 光合成を阻害された周囲の在来種は根こそぎ枯らされてしまいます。
猛威を振るった後、秋には一旦枯れますが翌年大量の種子がまたあちこちで芽を出します。

 今のところ天敵は存在せず、我が世の春を謳歌しています。

 長野県では毎年7月の最終日曜日を「アレチウリ駆除全県統一行動日」に制定し
2007年以降活動を続けています。
国土産業省千曲川河川事務所が策定した行動マニュアルを見てみましょう。
 駆除は「種を着ける前に、出来るだけ小さいうちに、1年に数回、アレチウリが
生えなくなるまで数年継続して、『抜き取る』」しか方法がない様です。

 とんでもない破壊兵器がアメリカから送り込まれていた物です。
しかし日本も手をこまねいているばかりではありません。
実はこちらからも秘密兵器をかの地に送り込んでいるのです。
 次週はそのお話を。
コメント
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