世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●人の住めない星になる? 人類100年平和は夢まぼろし

2019年02月02日 | 日記

 

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●人の住めない星になる? 人類100年平和は夢まぼろし


アメリカが、INF(中距離核戦力)全廃条約の離脱を宣言した。6か月後には条約が失効する。この離脱が、米中ロ三つ巴の軍拡競争の要因となる恐れも充分にある。

ロシア側に、条約違反が見られると、米国は主張するが、その辺は外交上のニアンスの問題であり、嘗ての、絶対的ヘゲモニーを所持していた米国であれば、特に、気に掛ける問題ではなかった。

しかし、最近の米国は、こらえ性を失い、カミツキガメのような覇権国になった。


おそらく、このような動きや、アラブの春以降の起きた、ウクライナクーデター、クリミア併合、シリア内戦誘発、IS国誕生、ベネズエラ等々の戦い、そして、米中経済戦争と、今の米国は、全力を挙げて国家の衰退をとめようともがいている。

米ソ2大国の睨みあい、米国一極支配、そして、G8、G20,そして、大袈裟に言えば“Gゼロ”の世界。

米国がもがけばもがくほど、世界の不安定化は助長される。


だからといって、米国が覇権国を、即時、放棄してしまえば、これは、今まで以上の混乱を招く可能性も大きい。

米国にしてみれば、時間をとめて、考えをまとめたいところだが、米国の覇権に挑戦する国がある以上、時間はとめられない。

トランプ大統領が北朝鮮ロケットマンとの友好を演じたとしても、米vs中露、アメリカ大陸vsユーラシア大陸の地政学・イデオロギー上の構図は変えようもない。

おそらく、米国の情報筋は、アメリカが弱腰をみせれば、プーチンのロシアは、その間隙を必ずついてくると睨んでいるのだろう。

特に、中東を中心とするユーラシアのNATO崩壊を試みることを怖れているのかもしれない。そのことと、今回のINF(中距離核戦力)全廃条約の離脱を宣言は無関係とは言えない。

ざっと、現状を把握しただけでも、今後30年弱、米国が無傷でいられるわけはないと認識する。

そのままを望むためには、覇権国は覇権国であろうと、もがくだろうから、その分だけ、世界に波紋が広がる。


我々が住む、日中韓台の地政も安泰ではない。韓国・台湾経済は、かなりの速度で減速している。

日本も中国も、偽の経済統計で、国際社会の信頼を失っている。


到底、今後の30年、「日米同盟基軸」と念仏を唱えているようでは心許ない。おそらく、今後の30年は、日米同盟基軸の幻想が、一枚一枚剥ぎ取られる時代になるだろう。

つまり、米国から武器を買えば許して貰えるような半端な話では済まされなくなるに相違ない。

トヨタ車は、すべて米国で生産せよとか、日中貿易を半減せよとか、もがきの強要を、米国は言ってくる。例示が妥当かどうか別にして、似たり寄ったりの、無謀な要求を突きつけてくるのは必定だ。

このような、差し迫る、忌まわしい日米基軸が想像できる状況の中、わが国の政党は、その想像性に欠けている。

アメリカを怖れ、へっぴり腰で政治の舵取りをしようと云う政党だらけになっている。


もう、この時点で、わが国の将来は決定している。3流国まっしぐらなのだ。

それでは、“オマエは、中国やロシアと同盟を組めというのか”、と云う反論が返ってくるのは判っている。
何処とも、同盟など組まなくて良いのだ。日米基軸も、引き延ばせるだけ引き延ばしても良いが、のっぴきならない国づくりに加担してはいけない。コンクリート系インフラは作らないことだ。

工業国、輸出立国、自由貿易からの徐々の撤退だ。

3流国でも4流国でもかまわない。どこの国も真似のできない国を作り、競争世界から足を洗うことだ。日本人に競争世界は不向きである。


輸出を拡大しようとするから、軍事に目が行く。軍事を自前で出来ないから、日米安保体制になる。

筆者が、定常乃至は低下経済の選択も辞さないのは、競争の原理で動く経済至上主義の世界から脱却しようと思うからだ。

いずれにしても、我々が望まなくても、かならず、そういう時代になってしまうからだ。


こんな法外な弱肉強食時代が続くわけがない。必ず、どこかでバブルのように弾ける。

幸運にも、わが国には、自然の豊かさがある。異論はあるだろうが、栄養的には、地産地消は充分可能だ。世界有数の漁場を持ち、肥沃が農地を持つ。多くの森林を抱え、多くの河川と天然の湧水が豊富だ。

火山国は長短の要素を見せるが、有効に利用し、時に災難に遭うだろうが、、それが自然と人間の営みなのだ。

観光立国と輸出工業国を並走させるなど、狂気の沙汰だ。オリンピックなどと云う商業行為にうつつを抜かすのも、あきらかな間違いだ。

人口など、1億人で充分だ。無理やり輸出を伸ばそうと考えるから、あらゆる面で齟齬が生まれている。

筆者は、移民に、一定範囲で賛成だが、日本人の多くが、日本人同様の権利を持つ日本人として、受け入れる心構えが準備できる期間は必要と考える。


人間らしい生き方には、おのずと非生産的になるもので、欧米的合理主義は合わない。

非生産性も人間だと云う認識がないと、余白のある人間活動は生まれない。

その余白を、遊びや文化文藝に勤しむことで、日本独特の文化を取り戻していけば、おのずと道は開かれる。独創的文化が、気がつくと、世界において生産性に変わることもある。


一人当りのGDPがどれだけ落ちても、物価が、それ以上に落ち込めば、国民の生活は、それなりであり、あすの我が身を憂うことのない、共同体に包まれて、程よく生きて、死んでいけばよい。

100歳まで生きようなどと、コマーシャル商品に手を出すこともなく、程よい年齢分生きる国をめざすべきだ。

現在は、このような考えは受け入れ難いだろうが、そういう時期は必ず来る。

ゆえに、早々に経済競争から脱却し、日本独自の世界観や国家観を見出して貰いたいと思う、今日この頃だ。


正直な気持ち、日本文化の原点は、どう考えても神話ではなく、仏教伝来に端を発する。それ以上の古を想うのであれば、それは縄文の世界になる


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