世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

消費増税、風前のともし火 焦りだす自民と野田、苛立ち隠さぬ走狗新聞

2012年05月25日 | 日記
原発事故後の環境・エネルギー政策: ─弛まざる構想とイノベーション
クリエーター情報なし
冨山房インターナショナル



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消費増税、風前のともし火 焦りだす自民と野田、苛立ち隠さぬ走狗新聞


 消費増税法案を巡って、野田vs小沢vs輿石vs谷垣、なんとも面白い構図になっている。この消費増税法案の“そもそも論”が国会で丁々発止国民の前で行われない点も異様である。国民生活に総体的に影響を及ぼす、今回のエネルギー問題や消費増税法案のような場合、フェアでオープンな議論の場が設けられ、国民にジャッジする機会が与えれるのが理想だとつくづく思う。政党や政治家個人の賛成・反対には議員として選択の自由はあるだろうが、最終的に彼らは、精度の程は怪しいが有権者の審判を仰ぐわけだから、民主主義のルールには沿っている。

 問題なのは、国民の生活に直接的影響を及ぼすような政策・議論(例:原発を含むエネルギー政策、消費増税等)を実施しようとする場合、フェアな論争の場を提供するようなシステムがないと、その政策の是非を一般的有権者が判断する“物差し”が提供されないことになる。現在の、霞が関が事務局を務める「審議会」「有識者会議」「諮問委員会」等々の類は、既にヤラセの会議だと、多くの国民が感じはじめてきた以上、有効には作用されない。閣僚らによる「国民との対話集会」等々のヤラセも、色褪せている。

 勿論、ネット社会に入っているわけで、積極的に情報を集めれば、その政策への知識も深まり、国民として自分なりのジャッジは可能になるだろう。ワークショップ(「体験型講座」)の凝縮版のようなものだが、住民投票とか国民投票に至らないまでも、最低限の知識の共有がないと、所詮民主主義と云うもの成立しえないのだと思う。例えば、原発再稼働賛成論者と反対論者をサシで徹底討論させるフェアなテレビ番組など行われれば、国民のジャッジに、感情ではなく知識が多少は加味されるわけで、成熟度が少しは進歩するだろう。消費増税なら、財務省NO論客vs高橋洋一の討論をNHKが3時間ぶっ続けで中継すれば済むことだ。

 視聴者の意見だとか、そう云うクダラヌものは一切排除。二人で徹底的に、持論を展開させれば良い。司会者が口を挟むことさえ止めた方が良い。将棋の対戦のように、持ち時間タイマーでチンだけで充分。NHKが国民の視聴料で運営している以上、この程度の公共性ある放送をするのは当然だ。東京スカイツリー、金環日食も結構だが、国民にフェアな知識を提供し、国民の知る権利を提供し、国民なりにジャッチが出来る環境整備を整えるのも、NHKの役割に相違ない。娯楽に徹するのは、民放で充分だろう。筆者が言いたいのは、共有の知識を最低限持って、民主主義が成り立つ努力をしないと、日本は似非民主主義の汚名を永遠に持つことになる。

 本日の本題から又ブレてしまった(笑)。小沢・野田会談について、朝日新聞が嘆き節を語っている。到底社説のレベルではなく、単なる愚痴に近い。ヤケクソを語っているともいえる。それと比べるのも野暮だが、東京新聞の「私説・論説室から」の論調の方が格調高い。地域新聞とは言えなくなりつつある中日・東京新聞だが、如何にマスメディアと呼ばれ良い気になっている連中の心の腐れ具合が判る対比なので、敢えて載せておく。

≪ 野田・小沢会談―ああ、この仰々しさ
 民主党の小沢一郎元代表が、野田首相との会談に来週にも応じる――。そんなニュースが、朝日新聞をはじめ各メディアをにぎわせている。
 会談には、仲介した輿石東幹事長も同席する予定という。
 首相はきのうの国会で「(消費増税が)党の方針として固まっていることは理解いただき、どうしても成立させなければならないとご説明したい」と意気込みを語った。
 首相の熱意もわからないではない。法案成立に「政治生命をかける」という首相と、それに「反対」だという小沢氏が話しあう意義も認める。
 だが、なぜ、会談のために、いちいち和平交渉の特使よろしく、幹事長の仲介を経なければならないのか。
 いったい、この仰々しさは何なのだ。こんな田舎芝居じみたやり方が、国民の政治へのうんざり感をいっそう強めていることに、国会議員たちは気づくべきだ。
 小沢氏は、いまはひとりの民主党員である。党代表を務めたこともあり、政治経験の豊富な政治家だが、みずから常々「一兵卒の身」と語ってきた。  そうであるなら、党の代表でもある野田首相とは、例えていえば「民主党」という同じ町内に住むお隣さんのような間柄ではないか。
 実際、小沢氏の個人事務所から首相官邸までは、歩いて5分もかからない。
 重要なテーマであればなおさら、「来週にも」などという必要はない。いつでも、どこででも、何度でも会うべきだ。
 それに会談前から「決裂なら党分裂か」「輿石氏のメンツはつぶせない」といった観測が乱れ飛ぶ「永田町文化」も、国民と政治との距離を広げていく。
 小沢氏はみずからのグループの議員たちとは昼夜を問わず会合を重ねている。しかし、首相と直接会うのは野田政権の発足以来、9カ月近くで初めてだとい う。
 なかなか会わない。それによって会談自体の希少価値を最大限、高めようとする。それが小沢流なのだろう。
 何とも時代がかった政治手法である。即断即決で動く市場経済のようなスピードまでは求めないが、もう少しさらりと行動できないものか。
 欧米のメディアでは、一党員が党首に「来週にも会う」という記事は、まず目にしない。それを報じている日本のメディアの一員として、みずからの記事の奇 妙さを自省しつつ考える。
 2人はさっさと会えばいい。 ≫(朝日新聞24日社説)


≪ 自由(民主)2党
 消費税増税を柱とする「社会保障と税の一体改革」法案の審議が衆院特別委で始まり、民主党と自民党との政策の違いが、ますます分からなくなっている。  消費税増税に「政治生命を懸ける」と断言した野田佳彦首相が、自民党の協力を得るために「骨格の考え方に差はないと思う」と、両党の違いよりも共通点を強調するから無理もない。
 野田佳彦首相の言動は、「税金の無駄遣い根絶」「政治家主導への転換」など、民主党と国民との契約である二〇〇九年衆院選マニフェストをほごにして、自民党に擦り寄るものだ。
 つまり、民主党の自民党化。これでめでたく(?)民主党は自民党の一派閥に成り果てる。言葉の応酬が激しいから対立しているように見えるが、「自由民主・民主党」という大きな政治勢力の中で「内輪もめ」をしているにすぎない。
 あの暑い夏、国民が選択したのは、自民党とは違う新しい政権への交代ではなかったのか。
 しかし、三年近くたって見えてきたのが、自民党と同じ政策の実現に民主党が奔走する現実だとしたら、なんとも悲しい。これでは政権交代の意味がない。
 自民党と、自民党化した民主党との間に違いがない状況で衆院解散・総選挙に踏み切っても、国民に政権の選択肢はない。どっちが勝っても消費税が上がるなんて、国民をばかにするにもほどがある。≫ (東京新聞23日私説・論説室から:豊田洋一)


 どちらの論説が本質論に迫っているか、説明するまでもないだろう。この朝日と東京新聞の論説の差が、今の消費増税を推し進めようとする勢力の姿だ。まるで、正義が勝か、邪悪が勝かの如き様相なのだから呆れる。野田は24日の衆院消費増税関連特別委員会で、消費増税が公約違反だと云う事を初めて認めた。公約違反を認めるなら、国民を騙して政権を握っていること自体に正当制がなくなる。仮に、その汚名を晴らすつもりなら、どうして公約違反をしてまで、増税をしなければならないのか、フリップでも駆使して、丁重に自ら国民に具体的に語り尽くすべきである。美辞麗句の連続で、消費増税と財政の健全化の仕組みを、野田は語りきれないだろう。

 財務省の連中から、どのような財政論を吹き込まれたのか判らないが、小沢が会談で、その理由を説明しろ、と迫るかもしれない。財務省からの脅しの内容がどう云うことか、内容如何では、応援しないものでもない等と言えば、ペラペラ話すかもしれない(笑)。いずれにせよ、小沢は“増税の前にするべき事”が先行しない限り、消費増税法案に賛成はしない。妙な妥協をすることは、支持議員だけでなく、2割の強力な支持層に亀裂を生む。それは小沢の政治力の崩壊を意味するので、今さら崩せない。

 野田としてみれば、小沢・輿石側と真正面から話し合えば、正当性がどちらにあるか判っている。だからこそ、敵側(自民・谷垣)との話し合いを先行させる裏技に走ったわけだ。このお膳立てが財務官僚によってなされたのは事実だろう。ところが、財務省にパイプのある自民党領袖達は谷垣を除き、大島、森、伊吹など、そろそろ引退を考えるような連中だった点が致命的だったろう。中堅若手への接触を財務省はネグり、野田を唆した。谷垣にしても、脆弱な基盤に乗った総裁であり、決断できる環境にはなかった。その為、密談は中途半端なものとなり、“裏技”と云う行為だけが野田の政治力を弱めた。

 この裏技密談情報を、輿石の耳に入れておかなかった点は重大ミスだ。輿石抜きの行動が、輿石の左右両睨みのポジションを小沢側にシフトさせた。輿石にしてみれば、党内融和、党分裂を避けることが幹事長としての役目であり、正当性が小沢側にある以上、野田側の譲歩以外、打開策がないと踏んでいる。その輿石に、小沢との会談をセットするように依頼したと云う事は、最善でも輿石の方向性に従うことになるかも?と云う妥協の腹を野田は持っている筈だ。財務の野党パイプが、単に自民党の一部勢力でしかなく、3割程度しか固められない勢力だと認識したのだろう。

 小沢にしてみれば、財政の健全化は必要だし、消費増税もやむなしの事態もあるだろうが、それは次期総選挙で国民に問いかけてからでなければ、民主党が嘘つき政党だと云うことになるのが許せないわけだ。その前に、死に物狂いで、国民との約束を果たすべく努力すべき時だ。これから1年間は、増税などの“易きに流されず”政治家として汗をかけ、と云うことだ。考えてみたら判ることだが、現在の永田町で与野党通じて一番大きな派閥が小沢グループだ。民主も自民も区別がつかなくなればなるほど、最大派閥の存在感は増す。とても皮肉なことだが、そういうことになる。

 だいぶ長くなったので、結論を急ごう。会期は特例公債法案の問題もクリアしなければならないので、20日程度の会期延長を行い、消費増税法案は継続審議とする。これが一番すっきりしている。これが駄目であれば、かなり複雑になるが、会期の大幅延長だ。おそらく年末までに延ばされるだろう。しかしこの場合、野田が民主党代表で無くなる可能性もあるので、法案が胡散霧消と云うこともある。どちらの方法を選んでも、野田の運命は9月までの可能性が高いだけに、消費増税法案自体は潰れる。現時点で、谷垣自民の意向丸呑みの暴挙には、話し合い解散の暴挙も加わるので、野田自身が受け入れ難い地獄に嵌っている。仮に、話し合い解散を棚上げにしたとしても、自民党内がバラバラになり、纏まって法案賛成に回るとは限らない。民主党も同様である。消費増税法案が民自大連合で“否決”なんて悪夢さえ見える状況では、もう野田佳彦の選択肢は、継続審議か大幅会期延長の二つしかない。代表選に落ちれば、“一兵卒”になるだけだ。


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