アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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和泉市の憲法カフェに行ってきた。

2015年07月24日 22時10分10秒 | 戦争法ではなく平和保障法を


 近所の知人のお誘いで、7月19日の日曜日に、近くの大阪府和泉(いずみ)市で開催された「憲法カフェ」に行って来ました。本当はもう少し早くブログに書くつもりでしたが、その後色々とアクシデントに見舞われ、ようやく今書き上げる事が出来ました。

 「憲法カフェ」というのは、本当は私たちの生活にも直接関わる大事な物なのに、最近は「そんな物守らなくても良い」という政治家がやたら増え、そのくせ、国民がそれについて話すとすぐに「政治的」とか言われて色眼鏡で見られがちな今の「日本国憲法」について、お茶でも飲みながらクイズ形式で楽しく学ぼう、という趣旨で、「明日の自由を守る若手弁護士の会(通称:あすわか)」という団体によって全国各地で取り組まれている催しです。
 その「憲法カフェ」が、当日19日の午後1時半から、和泉市のJR阪和線北信太(きたしのだ)駅近くにある「北部リージョンセンター」という所で開催されました。会場となったセンターは、今年の春にオープンしたばかりの、非常にきれいな建物でした。



 この日のカフェは「あすわか」の小谷成美弁護士が講師を勤められました。会場の会議室には男女合わせて20人ぐらいが集まっていたでしょうか。まず、隣同士で「他己紹介」し合いました。自己紹介ではなく「他己紹介」です。二人同士で自己紹介し合った後、全体の場で相手の紹介をするのです。ニックネームも紹介し合う事になっていたので、私はこの「プレカリアート」というハンドルネームをニックネームにしました。
 そして、弁護士の小谷さんが「あすわか」誕生の由来について説明された後、全員で「憲法クイズ」を解きました。正面の画面に問題が映し出され、それを全員で回答していく、という形で進められました。

 まず第一問は、確か「憲法の条文の中に”愛”と言う文字があるかどうか?」という問題だったと思います。私、この問題には、すぐに答える事が出来ませんでした。正解は、憲法前文の中の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」という文節に「あった」のですが、これがなかなか思い浮かびませんでした。憲法については充分知っているつもりでしたが、学校卒業後何十年も経つと、結構忘れているものなのですね。
 後は憲法三原理(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義)の内容を問う問題や、労働者の権利や婚姻の自由、集会・結社の自由についての問題が出され、こちらはすんなり答える事が出来ました。
 その中でも特に重要だと思ったのが、
 (1)プライバシー権や環境権などの「新しい権利」を保障するためにも憲法改正が必要がどうか?
 (2)国民投票で憲法改正するのに必要な「過半数」というのは、どれだけの人数に対するものか? 
という2つの問題です。これに対する正解は、
 (1)具体的な権利の名前として今の条文の中には載っていなくても、憲法13条の「幸福追求権」の中に含まれる。
 (2)投票者の「過半数」でしかないので、投票率が40%しか無ければ有権者全体の21%の賛成票でも改正されてしまう。
というものです。

 ここで自民党政府は憲法「改正」と言っていますが、実際には「改悪」でしかありません。それは自民党自身の憲法改正案を見れば分かります。個人よりも国家や家族の利益優先、天皇の元首化で国民主権は有名無実に、国民には権利よりも義務を強調・・・。これでは昔の大日本帝国憲法とほとんど変わりません。自民党政府は、二言目には「今の憲法は米国に押し付けられたものだ」と言いますが、自分たちの方こそよっぽど、時代遅れの右翼イデオロギーを国民に押し付けようとしているじゃないか!そんな「改悪」でしかない憲法「改正」なぞ、絶対に許してはならない。ましてや、有権者のたった21%の票で「改悪」されて堪るか!
 この自民党流の憲法改正案と今の憲法との決定的な違いについての問題が、クイズ第5問の「そもそも憲法は誰が守らなければならない物なのか?」です。その答えが、「あすわか」が作った次の「王様をしばる法」という紙芝居の中にあります。

王様をしばる法 ~憲法のはじまり~


 いくら悪い王様を倒しても、次の王様が「自由を国民に与えてやる」という「上から目線」の発想でいる限り、憲法も国民を抑えつける為の物にしかならない。権利や自由は国民自らが勝ち取る物であり、王様と言えどもそれを無視する事は出来ない。憲法は国民を縛(しば)る為の物ではなく、王様(支配者)の暴走を抑える為の物だ・・・。という事で、「憲法を守らなければならない」のは「国民」ではなく「王様(支配者、政府)」が正解です。

 これでもまだ説明がよく分からない人は、「憲法」を「労働基準法」に置き換えれば、よく分かるのではないでしょうか。「労働基準法」もいわば「職場の憲法」みたいなものです。そこには「1日8時間労働」や「時間外割増賃金」「最低賃金」などの決まりがあります。この決まりを守らなければならないのは会社であって、労働者ではありません。なぜなら、そもそも労働者には自分の労働時間や賃金を自由に決める権限なぞありません。「元々好き勝手できない人」に「好き勝手するな!決まりを守れ!」なんて言われてもね。「そんな事は好き勝手できる人に言ってよ!」という話にしかならないでしょう。
 だから、「労働基準法」を守らなければならないのは、あくまでも「会社」であって「労働者」ではありません。「憲法」もそれと同じです。

 それが、自民党の憲法改正案では次のようになっているのです。
 「日本国民は基本的人権を尊重する」
 「国と郷土を誇りと気概をもって自ら守る」
 「和を尊ぶ」
 「家族や社会全体が互いに助け合う」
 「自由と規律を重んじる」
 「美しい国土と自然環境を守る」

 いずれも、国が国民に命令する形になっていますね。前述のたとえで言えば、「王様を縛る法」から「国民を縛る法」に逆戻りしてしまっています。
 最初の「日本国民は基本的人権を尊重する」という表現も、本来なら、国が国民に人権を保障しなければならないのに、国民が尊重しなければならない事にされてしまっています。まるで「人権が守られないのも、お前ら国民が悪いのであって、国には何の責任もない」と言わんばかりの内容ですね。
 それがいかにトンデモな内容であるかは、先の労働基準法の例で考えればよく分かるでしょう。長時間労働やサービス残業は労働者の責任ですか?過労死も労働者の責任ですか?自民党の憲法改正案が通ってしまったら、そうなってしまいますよ。



 上記写真は、会場で配布された「日本国憲法一枚辞典」のクリアファイルと、憲法クロスワードパズルです。憲法の条文が印刷されたクリアファイルの中に、会場の配布資料が入っています。私はその中のクロスワードパズルを休憩時間に解いていました。最終的に全部解答できましたが、予想以上に時間がかかってしまいました。自分では知っていたつもりの憲法も、日常的に条文などに目を通していなければ、どんどん頭の中から忘れ去っていく事が、身を以て思い知らされました。



 やがて午後3時の休憩&ティータイムになり、お菓子とお茶、コーヒーが出ました。それを食べた後、今度は戦争法案(安保法案)や集団的自衛権について討論しました。まず、参加者全員が3グループに分かれ、グループ内でそれぞれ「集団的自衛権を行使する事で得られるメリット、デメリット」をまず出し合い、それを基に、集団的自衛権や戦争法案について弁護士さんから説明してもらうという形で進みました。

 私のグループには集団的自衛権について賛成の方も一人おられたので、その分、他のグループよりも議論は盛り上がったように思います。その賛成の方の意見は、「確かにイラク戦争は米国による侵略戦争だったが、その中でも自衛隊はよく頑張った。復興支援に徹した事で現地の人から感謝された。今、自衛隊がイラクを見捨てたら、誰がイラクを救うのか?」という感じだったと思います。
 私はそれを聞いて、「木を見て森を見ず」のような発想だと思いました。東芝の粉飾決算や新国立競技場の問題と同じで、目先の利益を追うばかりで、「なぜ、そのような事態に立ち至ったのか?」と、根本から考える事をしない。私の会社でもそうです。時間内に仕事を終えなければならないと、ひたすら「頑張れ頑張れ」と根性論を振り回すばかり。本当にそれを実現しようと思えば、作業手順や人員配置、社員教育や業務システムまで見直す必要があるのに、「今やそんな事を言っている場合じゃない」と逃げる。正に「バカの壁」そのものです。
 戦争もそれと同じでしょう。戦争に至るには、世界恐慌やファシズム台頭などの政治・経済的な要因が必ずあるのに、その根本的な要因には目を向けずに、あたかも台風などの自然現象みたいに捉え、「戦争になった以上、戦う以外にはないのだ」と、それが宿命であるかのように言い含める。その結果が、「欲しがりません勝つまでは」「B29を竹槍で突き落とす」の精神主義や、「特攻・玉砕・バンザイ突撃」などの自爆攻撃でした。言っている当人はすっかりその言葉に酔いしれていましたが、そんな無責任な発想で殺されたのでは、堪ったものではありません。

 「集団的自衛権や戦争法案の”メリット”なんて、在るのかしら?」と思います。それでも、講師の方が、他のグループの分も含めて、次のようにホワイトボードにまとめてくれました。

(メリット)           
・よくし(抑止)力(中国、北朝鮮) 
・日米関係の強化 
・軍じゅ(需)産業がもうかる(注1)
・テロに狙われにくくなる(注2)

(デメリット)
・戦争になる(他の戦争にまきこまれる) 
・死人が出る―自衛隊、民間 
・国民生活が苦しくなる(上記の注1と対の関係)
・テロに狙われる(上記の注2と対の関係)

 その後、講師の小谷弁護士が集団的自衛権について説明してくれました。
 それによると、集団的自衛権も「自衛権」という名がついているが、実際は日本防衛が目的ではなく、わざわざ他国にまで出かけて行って同盟国(米国)の助太刀を無条件でさせられるだけだ。ホルムズ海峡の機雷除去にしても、単に機雷除去だけで終わるはずがない。機雷がまかれそれを除去しなければならなくなるという事は、それ自体が戦闘行為への加担につながる。いずれにしても、その時点でどの道、石油タンカーはホルムズ海峡を通れなくなる。「石油タンカーの通り道を確保する為に機雷除去」というロジックそのものが誤りだ・・・という話だったと思います。
 私はそれに加えて、イランもイラクも、元々、日本の友好国だったはず。そんな国が日本を攻撃して来るはずがない。それを、戦争回避の努力もせずに、バカの一つ覚えみたいに米国の言いなりになって、わざわざ「昨日の友まで今日の敵に回してしまう」ような愚を何で犯さなければならないのか?それこそ「木を見て森を見ず」じゃないか、という事も、付け加えておきたいと思います。

 そして、集団的自衛権行使以上に恐ろしいのが、戦争法案の中に、内閣がひとたび「緊急事態」を宣言すれば、憲法で保障された人権も大幅に制限できる条項があるという事です。確か、2つある戦争法案のうちの、「平和安全法制整備法案」の中の、「国民保護法改正案」の中に、そんな条項があったのではないか、という話をされていました。もう、そうなれば事実上のクーデターです。これが戦前の日本だけに限った話ではない事は、2001年9.11テロ以降の米国の動きを見れば一目瞭然です。米国も、9.11テロの後、「愛国者法」という法律が施行されて、政府が好き勝手に個人の通話やメールを盗み聞きできるようになり、不当逮捕が相次ぎました。もう、そうなれば、戦争を食い止める事は非常に困難になります。そうしない為にも、戦争法案は絶対に食い止めなければならないと、決意を新たにして「憲法カフェ」を後にしました。
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