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今こそ教育委員会を公選制に戻せ!

2006年11月12日 23時44分24秒 | 教育基本法やらせ改悪
 今までも言われていた学級崩壊や不登校などに加え、必修科目未履修や虐め自殺などの教育現場の混乱ぶりについて、教育基本法にさも原因があるかのような意見が、国や一部政治家の方から盛んに言われています。

・「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」(教育基本法・前文)
・「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」(同・第1条)
・「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであつて、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によつて、教育上差別されない。」(同・第3条)
・「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」(同・第10条)
 http://www.kyokiren.net/_misc/kihonhou

 以上、現行の教育基本法の条文から代表的な条項をいくつか抜粋しましたが、これらの条項の一体何処が問題なのでしょうか?
 虐め自殺も不登校も学級崩壊も、『人格の完成』などそっちのけで受験学力ばかり重視され、「正直者がバカを見る」(例:西宮冷蔵の倒産)「出る釘は打たれる」(例:ヤミカルテル告発で解雇されたトナミ運輸社員)社会風潮の中で『平和的な国家及び社会の形成者として真理と正義を愛』する人間が疎まれ、「勝ち組・負け組」競争の中で『個人の価値』が散々踏みにじられてきた事の、当然の報いではないですか。踏みにじってきたのは一体誰? 教育基本法ですか? そうではないでしょう。当のお役人・政府・文部官僚・財界などでしょう。

 親や子供は「学級崩壊や不登校や虐めの原因を取り除いてくれ」「我々は機械や部品ではない、みんな人間として尊重してくれ、そういう社会であってくれ」と言っているのであって、「教育基本法を変えろ」などと言った覚えは全然ありません。「教育基本法を変えろ」というのは、常に国や一部政治家の方が一方的に言い出した事です。

 いつも何か問題が起こるたびに、常に国の方から「時代遅れの教育基本法を変えなければいけない」と声が上がります。しかし、「では、その教育基本法の何処が時代遅れなのか?」と具体的に問うと、国は全然答えられません。
 答えられないのも当然です。「時代遅れ」の具体的根拠など何も無いのですから。しかし、道理があろうが無かろうが、そんな事などお構い無しに、とにかく教育基本法は変えたい。そこで出てきたのが、内閣府主催のタウンミーティングでの、国が裏に手を回して"サクラ"を使っての"やらせ"質問。教育基本法を変える道理が無いから、こんな事をするしか能が無いのです。

 やれ「"やらせ"質問はあくまで現場が勝手に暴走した事であって、国は一切関与していない」だの、果ては「"やらせ"の有無と法改正論議は別だ、法律は予定通り変える」と居直り居士まで現われる始末で(事は民主主義の根幹に関わる内容であるにも関わらず)。その裏で、国と世論の板ばさみになった校長があちこちで自殺しています。それに対して、国は涼しい顔して「トカゲの尻尾きり」で済ませています。そもそも、『平和的な国家及び社会の形成者として真理と正義を愛』す教育が今まで本当に行われてきたのなら、こんな自殺者など一人も出ない筈です。これだけをとっても、「実際には、如何に憲法・教育基本法の理念に反する政治や教育が行われてきたか」という事の、立派な証です。

・タウンミーティングやらせ質問案、文科省元室長が作成(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20061111i101.htm
・やらせ質問:政府の説明は前提が崩れた 伊吹文科相(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20061110k0000e010062000c.html
・やらせ質問「教育基本法とは別問題」 首相(朝日新聞)
 http://www.asahi.com/politics/update/1111/002.html
・社説:やらせ質問 政府説明会と名を変えろ(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20061110ddm005070093000c.html
・「やらせ」質問 甘く見られている国民(中国新聞:社説)
 http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200611040161.html

 それでも、読売新聞の世論調査によると「教育基本法改正賛成が66%」との事。この読売の世論調査に対しては、沖縄タイムスや豊島耕一氏が異論を呈しています。曰く「この世論調査結果は、教育基本法の条文や歴史的背景もロクスッポ読みこなしもせずに、教育の現状に対する危機感だけを煽られた事によるものだ」と。また、読売新聞とは全然異なる世論調査結果も既に出ています。

・教育基本法改正案「賛成」66%…読売世論調査(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe6100/news/20060516it16.htm
・教育全国世論調査 基本法の実現こそ急務 現状の危機感が改正に(沖縄タイムス)
 http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20040927.html
・[AcNet Letter 187] 豊島耕一氏「26日の教育基本法改正世論調査について」
>教基法改正についての賛否を問うのが主な目的ですから,その前提,つまり教基法について回答者がどの程度の認識があるのかというのが,最小限必要な質問項目であるはずです.ところがその質問項目はありません.では,調査者は教基法全文を用意していたのかと聞いたところ,これも持たず,回答者に提示可能だったのは簡単な要約(“とは物”と表現されました)だけとのことです.<
 http://letter.ac-net.org/04/09/29-187.php
・教育基本法 変える?変えない?全国意見投票
 教育基本法を変えるほうがいい 1437票 28%
 変えないほうがいい      2811票 54%
 わからない           969票 19%
 http://kyokihou.exblog.jp/i0

 ただ私が思うのは、「如何に煽られたからにせよ、これだけボロが次から次へと出てきているのに、よくもまあ何も分らずにイメージだけで安易に賛成出来るものだなあ」と、もう半ば呆れ返っているのですが。もうまるで「詐欺とペテンの小泉劇場が、そのまま安倍劇場に摩り替わっただけ」というか。

 あるいは、教育基本法改悪賛成派の中には、ひょっとしたらこういう事を思っている人もいるのかも知れません。「お前ら先公は、口先では平和だとか民主主義だとか建前ばかり言っていたが、実際には受験競争を煽る側にいるじゃないか」「教育基本法の言っている事は単なる奇麗事であって、実際にはこんなモノでは虐めも学級崩壊も無くならない。戸塚ヨットスクールみたいに、道徳と強制力で有無を言わさず無くすしかないんだよ!」と。
 これは私の脚色も多分に入っていますが、特に前段の「口先では」云々部分などはかなり当っているのでは。実際、私の中学生・高校生時分には、こういう形での「ニヒリズム」「三無主義」というのが結構流行りで、実は私もその口でしたから。

 しかし、これは今になって学生時代を振り返ってこそ初めて言える事なのですが、《いくらそれが建前だけの平和や民主主義であったとしても、だからと言って、戦前の特攻隊、お国の為に死ぬ為だけの教育が良いという事には、絶対にならないじゃないか》という事です。その理念がまだまだ建前だけに終わっているというのなら、それを少しでも現実のものに近づけていくのが本来の姿です。それを一切せずに只の天邪鬼気取りのまま、その「ニヒリズムの空虚さ」を埋める為に、紛い物の「癒し」に引き寄せられて、自ら東尋坊から身投げするかの様な、自分で自分の首を絞めるかの様な愚だけは、まかり間違えても犯してはならない―という事です。
 
 実際には学校や家庭でこれだけ問題が多発しているにも関わらず、教育基本法や戦前・戦後の教育の事について、余りにも知らな過ぎ、知らなされ過ぎの感を強く感じます。知っていたら、読売新聞の世論調査の様な結果などは出てきようがありません。

 以下は共産党も含めてどこの野党も未だこの国会では取り上げていない主張ですが、今回の一連の教育問題を機に、教育委員会を公選制に戻すべきではないでしょうか。
 戦後、教育基本法が施行されてから1956年までは、市町村・都道府県教育委員会も、今の農業委員会や海区漁業調整委員会などの他の行政委員会と同様に、住民による直接選挙で選ばれていました。これは戦後の民主改革の一環を為すものでしたが、それがその後の、愛国心教育復活への地均しや教育に対する国家統制・差別選別教育強化を目論む逆コース路線(池田・ロバートソン会談、教育二法、勤評・学テ強行など)の中で、公選制から市町村長・都道府県知事による任命制に変えられて、教育委員会法も廃止されて現行の地教行法(地方教育行政法:正式名称は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」)に改悪されたのです。その後、東京都中野区などで準公選の試みも行われましたが、自民党などの反対によって潰されました。
 
・映画「世なおし準公選」(映画配給会社シグロのHP)
 http://www.cine.co.jp/php/detail.php?siglo_info_seq=39
・教育委員会制度 高まる見直し論(神戸新聞「アクセス 地方から」)
 http://www.kobe-np.co.jp/rensai/access/43.html

 今こそ、教育委員会の公選制を復活させるべきです。そして、文部科学省役人の出向・天下りや国家権力からの介入を排して、そこで虐めや未履修の問題を討議すべきです。そこで議論するのは勿論、今の様な「道理も何も無いのに先に教育基本法廃止在りき」の"やらせ"・ウソで固めた密室議論などではなく、「今の現実・社会を教育基本法の理念にどう近づけていくか」という事を、もっとオープンに議論すべきです。
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