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おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

いつかどこかで(81)江の島〜伝説を訪ねて〜

2020年12月31日 14時25分56秒 | いつかどこかで(雑記)

お元気でしょうか。

新型コロナウイルスのせいで生活がすっかり変わってしまった2020年。
そして、相も変わらず文章瞬発力ゼロ…どころかマイナスの私。
感想記だけでなく旅行記までも今更な感がありますが、だからこれはつい最近のことでなく、まだ東京でもGOTO可能だった11月のことです。
でももう、12月に入ったら旅行はおろか、帰省すらもなかなか難しい感じになってきましたね。

まあそんなコロナ事情がなくても、ここ一年の私はケアハウスにいる母が心配で、東京と実家の横浜から遠く離れた場所に旅行へ行くのが怖いです。いつ緊急の連絡が入るかわからないので。
その都合で言うのなら、鎌倉や江の島ならば横浜に近いので、自宅や職場よりもむしろ緊急に対応できそうと思い、ここしばらく気になっていた江の島まで行ってきました。

近場とはいえ一人旅はちょうど一年ぶり。去年は天河大弁財天でしたが、今年は江の島の弁天様です。
去年と同じく、お天気がよくて暖かで、青空の美しい朝でした。

↑この竜宮城のような建物は片瀬江ノ島駅

駅から歩いて江の島へ渡ります。弁天橋から見る湘南の海。
空は雲ひとつなく青いです。
 
実は私、実家に近いと言っても江の島には一度も行った記憶がありません。
なぜならば、私が若い頃は「デートで江の島に行くと、弁天様は女性だから焼きもちをやいてカップルは別れる」というジンクスがあったので、江の島は絶対にダメと言われます。
でも先日調べてみたら、そのジンクスはデマでした。
ひどいなぁ〜、弁天様が人間達に嫉妬なんて、するわけがない!
そのデマは、実は大昔に江の島に男性が良からぬ遊びをする場所があって、女房たちにバレたくないからそんな噂がばらまかれたらしいです。ったく、男ってやつは〜!

行ってみると、昨今の江島神社は「恋愛の神様」とか「美人になる御利益がある」とかで、実に女性向き。
ま、私にとっては、今さら恋愛だの美人だのに願をかけたからって人生どうもこうもならないので…というか、自分のことをお願いするのが苦手なので、世の中の平和と、心配な人達のことをひっくるめて手を合わせてきました。


↑こちらは江島神社の奉安殿。
奉安殿の中には、十五童子に囲まれた美しい弁天様が祀られています。
音楽のお好きな女神様を喜ばせるためか、お賽銭箱に小銭を入れると「チャリラン」と綺麗な音がする仕掛けになっていました。それが聞きたくて私は二回入れました。

そして写真は撮影禁止により撮れませんでしたが、天井には小さな龍の天井画があります。
ネットで見つけた奉安殿の天井龍がこちら↓

この龍は「八方睨み(どこから見てもこちらを見ているように見える眼のこと)」とどこかに書いてあったような気がしますが、実際に見てみると違います。
どの方向から見上げても、私は龍と眼が合いません。
なぜなら、この龍の視線の先は弁天様です。一途に弁天様だけを見つめています。

弁天様と龍はともに水の守護神でもあるので、たいがい海や湖の近くに一緒にあることが多いようですが、この江の島だけには、「弁天様と龍は夫婦だった」という伝説があります。他の弁財天では聞いたことがないので、どうしてそういう伝説になったのか興味がありました。
その伝説とは、
『昔、鎌倉には人々に禍なす悪い龍がおりました。そこに美しい天女(弁天様)が舞い降り、龍は一目で恋をしました。天女は龍を諭し、龍は心をいれかえ良い龍となって天女と夫婦になりました』
というお話。

神様とか神獣をどう捉えるかは人それぞれですし、おとぎ話のような伝説に文句つけるつもりはないですが、私としては、「それはどうかしら?自然災害や天変地異を龍のせいにしたいのは人間達の勝手で、龍にとっては濡れぎぬなのでは?」とか思うんですよね。

神様ともなれば、美しい天女の姿だろうが、恐ろしい龍の姿だろうが、たぶんそれは彼らの好んだ仮の姿ではないのかしら?

そう思うと、龍の形を取った神様は、きっと人間が苦手で、もしくは人間に興味がなくて、人間とあまり関わり合いたくないタイプ。
一方、弁天様のように美しい女人の姿を取るのは、人間が好きで、人間が喜びそうな姿だから。そして弁天様が人間を好み味方するのは、人間のする芸能…つまり音楽や舞などが大好きだから。
それで、江の島の弁天様と恋をした龍は、悪い龍と呼ばれたまま夫婦になっては、弁天様まで人間に嫌われてしまうかもしれないので、今までただ自然に任せて見過ごしていた大災害(龍にとってはごく小さな自然の移り変わり)に、わざわざ神力を使って人間達を助けることにした。

……なんて、伝説は口承によって人により時代によりに移り変わるものだから、もし私が昔の伝承者ならば、そんなふうに話を変えたかも?

江の島をめぐり歩きつつ、そんなふうに勝手に新しい伝説を妄想していると、眺望灯台「江の島シーキャンドル」が見えてきました。
展望台に上ると、お天気が良いので鎌倉の湾やそのずっと遠くの私の実家あたりまでも見渡せて、本当に気持ちの良い眺めです。

この日は穏やかな天気だから良いものの、もしも大嵐や津波が起きたなら、随分と恐ろしい景色になるのでしょうね。昔の人々が神様にすがりたくなる気持ちもわかるような気がします。

でも、これだけ大きな空を見ると、「青い空も綺麗で気持ち良いけれど、天使のはしご(雲の切れ間から光が漏れて放射線状に地上へ降り注いで見える現象)とか見えたらさぞかし壮大で美しいだろうなぁ〜」などど、つい贅沢を思う私です。


ところで、湘南ではしらすが名物で、この旅の目的のひとつは「生しらす丼」。
島内にはあちこちに食堂があり、名物のしらすや海鮮が味わえます。
この島は階段も多くて結構足がつかれるので、ちょうど「もう疲れた!限界だ、座りたい!」と思った場所でお昼ご飯をいただきました。
「魚見亭」は見晴らしの良いテラス席や窓際席があり、海を眺めながら食事ができます。
テラス席が満席だったので、私は四人掛けの窓際席に一人で座らせていただき、開かれた窓から心地よい風を感じながらの昼食となりました。外食もこんなお店だとソーシャルディスタンスもとれるし、感染対策もバッチリで安心でした。
念願の生しらす丼は、蟹味噌汁付にして、きゃ〜っ豪華なランチ! 美味しい!

ぷりぷりの生シラスを味わっていると、あれ?なんだかお天気が……
お店を出て岩屋の見える稚児ヶ淵あたりに来たら、空は青空から一変して曇り空になってきました。
さっき、「青い空も良いけれど……」なんて、贅沢を思ってしまったから、とうとうバチが当たったか??

 
こうして曇ってみると、岩場の景色は少しだけ恐ろしく感じます。

それにしても、この地方の方達は、どうして空から天女が舞い降りたと思ったのかな?
とか考えていたら・・・・え、え?・・・ええーーっ??!

やがて現れたのは、奇跡のような景色でした!
雲り空に突然ぽっかりと丸い穴が開き、天上からスッポトライトが降りるように太い一筋の光が刺しました。光の柱で照らされた海はそこだけ丸く白銀にきらきらと輝き、まるで天然のステージのようです。
しかも、大海原の向こうには、光の屏風が広がるように天使の梯子(はしご)が降りています。
写真でうまく撮れなくて、その本当の美しさがほどんど残せなかったのが悔しいですが(荒木健太郎さんに写して欲しかった!)この一瞬のような奇跡の光景には息をのむばかりです。

あ、そうか!! きっと大昔の人も、このような景色を目撃したのかも?
このような神々しく美しい場面に出会ったならば、何かすごく尊い存在が、天上から降り立つように思えます。

光の屏風を背に、天から舞い降りる天女の姿……

こんな素敵なシーンを見せてくださって、神様ありがとうございます!と、手を合わせたくなりました。

さて、江の島の岩屋(洞窟)といえば、私はついミュージカル「怪人と探偵」の、怪人のアジトを思い出します。ぜひ中を見てみたい!
 
入口で消毒をして、前の人と距離を保ちつつの見学です。
 
これを見ると、恋のバトルは怪人二十面相の即負け間違いなし(笑)
いくら好きでも、こんな暗くてゴツゴツじめじめした、恐ろしい場所に監禁されたら堪らないですよね! たとえ結婚しても、こんな居住性最悪で不便極まりない場所に、都会育ちのヒロインが耐えられるはずがないです。私なら、壁いっぱいに大きな本棚のある探偵の事務所のほうに行きたいです。(って、そういう問題か??)


とか何とか、盛大に脱線話を書いていたらすっかり長くなってしまいましたが(それはいつものことですが)何とか年内にこの旅行記が書けて良かったです。
コロナ禍だけでない2020年の、よいアルバムになりました。

江の島は、ここに書いた場所の他にもいっぱい見どころがあって、お土産に美味しいシラスの佃煮や羊羹も買えたしで、一日歩き疲れて足がパンパンになりましたけど、本当に楽しかったです。

新型コロナのせいで旅もままならぬ昨今ですし、私にはやはり母が心配ですが、いつかまた旅をしたいと思います。

【2021.1.11追記】
雲にぽっかりと穴が開いて光の柱が降りる景色、この前TVで映画「天気の子」を見たら、そういえば、あれが物語の始まりでしたね。
晴れ女になったその後のシーンにも……
穴あき雲と天使の梯子がひとつの空に同時に現れる景色は、すごく珍しいのかも?


 







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