Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

県宝生会秋季能楽大会~能「野守(のもり)」

2012-12-04 | 能楽

 11/25(日)、県宝生会秋季能楽大会の日、朝富山へ向かって車を走らせると目の前に立山連峰が広がる。雪を冠った剱岳がことさら美しい。最近、テレビの「日本百名山」をよく見るが、ちょうど前日「剱岳」の録画を見たところ。カニのヨコバイ、タテバイを自分が登っている気分になりながら見た。(↓は、録画からの写真です          

          

 私たち「蒼山会」は、素謡「花筐(はながたみ)」に出演した。冨山能楽堂での素謡で初めての役なので、念入りにお稽古した。出番の前に外で1度合わせる。地頭は米島和秋さんシテは照日の前、ツレは侍女、ワキは官人。(「花筐」のあらすじは、一昨年味真野への旅行記に書いたので、下にコピーしました
 http://blog.goo.ne.jp/67kiyoh/e/a1f2d3386f9f6883165aae258605a146          

  1部の素謡が終わると、2部の能「巻絹」(昨日紹介しました)、狂言「舟ふな」、仕舞「松風」と続く。
 狂言「舟ふな」は、主人と太郎冠者が、川の舟を呼ぶのに「ふね」か「ふな」かで言い合う話。太郎冠者を演じたのが少年で、初めて見る名前。後で聞くと中学2年生だそうだ。狂言師の家でなく、一般家庭の子どもさんが弟子入りしての舞台だそうだ。涼しげな声、あどけなさの残る顔、テキパキとした所作で主人とわたり合う姿が小気味良い。

 最後は、能「野守」だ。3年前だったか、蒼山会の発表会で「野守」の舞囃子で太鼓を打った。もちろん上田先生の後見で、シテは米島さん。大きいミスもなく打ち終え嬉しくて年賀状の写真に貼ったものだ。シテが左手に持つ扇子がを表すことを、お能を見て初めて知った。 

 さて、この日の「野守」は:
   シテ(野守の老人・鬼神):金井雄資  ワキ(山伏):北島公之  
   間:(別の野守):荒井亮吉
   囃子は、大皷:飯島六之佐 小鼓:住駒幸英 太鼓:麦谷清一郎 笛:片岡憲太郎
   地謡:佐野由於 他

 《あらすじ》 大和国・春日野。鏡のように美しい池水に、旅の山伏もしばし足を止めて見とれていると、春日野の番人の老人が現れます。山伏がこの池水の謂れを尋ねると、老人は「私のような野守が朝に夕に姿を映すので、この水を“野守の鏡”と呼びますが、真の野守の鏡というものは、昔、この野に住む鬼が持っていた鏡のことです」と教えます。さらに昔、御狩の折に、鷹の行方が判らなくなった時、野守が指し示したこの池水に鷹の姿が映ったという歌物語をします。山伏は一層興味を示し、「是非本物の野守の鏡を見たいもの」と言うと、老人は「鬼神の持つ鏡を見れば、恐ろしいことでしょうから、この水鏡をご覧なさい」と言って、鬼が住んでいたという塚に姿を消します。(中入)…(塚の中で、前シテの野守の老人が鬼の面と装束に変わりますが、これは二人の後見が前と後ろから着替えさせるそうです
 
山伏が塚に向かって一心に祈ると、鬼神が鏡を持って現れ、天界から地獄の底まで隈なく映して見せ、大地を踏み破って、再び地獄の底にと帰って行きます。(↓の写真はネットから)

 金井先生の野守の写真を撮りたかったが、もちろん禁止。金井先生のシテを観ようと、富山まで駆けつけた人も多かったことだろう。   

 麦谷先生の太鼓を真剣に観ていたが、間のとり方など難しく、こんな曲をよく私が打てたものだ。今はもう忘れて、打てないだろうなぁ。     


男声合唱団 ”K&Crew” 演奏会

2012-12-03 | 合唱

 連休に風邪をひいた後も、ボランティアや観劇などの予定が入っていてゆっくり休めぬままずるずる日を過ごしているうちに、お隣に不幸があり通夜、葬儀の受付のお手伝いをした。だが、そのうち熱っぽさもとれたので、予定通り”K&Crew”の演奏会を聴きにウイングウイングへ出かけた。12/2(日)の午後である。

 ギリギリに着いたら、満員御礼でパイプ椅子を出すので待ってくれと言われ、最上席で聴くことになった。前MiTU代表のSAさんがオープニングのステージを返上して椅子のお世話をしておられた。

 ステージの上に、トップ写真のパネルが置かれている。結成40周年記念、第34回演奏会、高岡での演奏会は初めてだそうだ(市民会館サロンコンサートや合同のものはあるが)。活動の場は主に呉東らしい。
 指揮は、桑谷泰之さん。合唱団名の”K”は、桑谷さんの頭文字らしい。女声や混声に比べ男声合唱の楽譜はとても少ないと、両手の幅で量を示し、次に親指と人差し指で1センチ幅を示し、笑わせておられた。自然、指揮者自らが編曲せざるを得ず、桑谷さん編曲のものがほとんど。(写真は、最上階からではっきりしないが、↓は第1ステージ
           

 まず、男声合唱の定番(だそうだ)の組曲「富士山」(草野心平作詞 多田武彦作曲)。
 ♪麓には桃や桜や杏さき…♪の第1曲から、♪降りそそぐそそぐ 翠藍ガラスの 大驟雨…♪の第5曲まで富士の変化を一気に。ここでも気になったが、一曲ごとに拍手が起こり、曲想が途切れる気がした。ましてアカペラだし、シンフォニーと同じように、組曲も全体で1曲かと思うが。歌っている人や指揮者はどうなのだろう。拍手がある方が嬉しいのかな。

 ↓は、第2ステージ。K&クルー愛唱歌より、「秋の日暮れ」、「夜空ノムコウ」、「筑子唄」、「落葉松」、「12人の盗賊」、”Ride the Chariot”。             

 「12人の盗賊」はロシア民謡、”Ride the Chariot”は黒人霊歌。ロシア民謡と黒人霊歌は男声でしか歌わない曲、と紹介された。地の底から響くような歌声がロシア民謡であり黒人霊歌なのだろう。ダーク・ダックスを始めとする男声カルテットの愛唱歌を思い出した。

 第3ステージで初めてピアニストが登場。老月千晶さんである。赤いドレスと力強いピアノの音色。ここまでずっとアカペラだったので、ピアノの存在感がずっしりと。              

 曲はすべて桑谷さん編曲の「地上の星」、「少年時代」、「北の宿から」、「秋桜(コスモス)」、「あの素晴らしい愛をもう一度」、「見上げてごらん夜の星を」の6曲。間に、「みんなで歌おう」コーナーがあり、「この街で」と言う新しい曲を教えてもらい、皆で歌った。他の曲も一緒に歌いたくなるほど楽しく、素敵なハーモニーだった。最上席の私からは団員の顔の表情は見えなかったが、最前列にいたMiTUのKAさんによると、「みんなとても楽しそうに歌っておられたよ~」。


県宝生会秋季能楽大会~能「巻絹(まきぎぬ)」

2012-12-01 | 能楽

 11/25(日)、冨山能楽堂で、県宝生会の秋季能楽大会があり、素謡「花筐(はながたみ)」のツレで出ることになっていた。なはさんが午前の部から見たいと仰ったので、一緒に出かける。前日の合唱コンクールに続く冨山行き、しかも丸一日それぞれの会場に座っていたせいですっかり風邪をひいてしまった。疲れがたまったせいもあり、11月と言うのに単衣の着物(暑かった10月以降ぶら下げたままの単衣)を着たせいもある。やはり怠け心は禁物。その季節に合った、昔ながらの着物を着なければならないと言うことだ。

 今日は、能「巻絹」について紹介します。
 最初に帝の臣下(ワキ)が登場し、「帝が不思議な夢を見て、千疋の巻絹を熊野に納めよと言う宣旨を出されたので、全国から巻絹を集めている。都からの巻絹がまだ届かないの待っている」と述べる。(↓の臣下は、当日とは別の写真です
    

 次に都から巻絹を持った男(ツレ)が登場し、熊野に着きまず音無の天神に詣でると冬梅の匂いがするので、男は梅に向かい心の中で歌を詠み、願をかけ、それから勅使の元へ参上する。(↓の男も、当日とは別の写真です             

 しかし、遅参したことを叱責され、縄をかけられてしまう。するとそこへ音無の天神(シテ)が巫女に乗り移って現れ、その男は昨日私に歌を手向けてくれた者であるから縄を解くように言う。しかし、勅使が信じないので、その者に上の句を詠わせたら、自分が下の句を詠いましょうと言う。男は、「音無にかつ咲き初むる梅の花」と詠み、巫女が「匂はざりせば誰か知るべき」と続けたので男は許され縄を解かれる。(↓は当日の舞台です。新聞の写真から             

 巫女は和歌の徳を述べながら舞い、祝詞をあげて神楽を舞う。最後には乗り移っていた神も離れ、元の巫女に戻り去っていく

 シテ(巫女・音無の天神):藪俊彦  ツレ(ワキ):山崎健
 ワキ(臣下):苗加登久治  間:清水宗治
 大皷:野尻哲雄、小鼓:住駒俊介、太鼓:麦谷清一郎、笛:瀬賀尚義
 地謡:前田晴啓 高橋右任 他

 ツレを演じられた山崎先生は私の謡の先生。お稽古の日に「巻絹」の見所を伺った。一つは、間狂言が縄をかけるのだが、動いても解けず、しかもシテがすぐ解けるように縛るのがコツ。
 もう一つは、シテの神楽の舞(特に今回は五段神楽)とお囃子をよく見、よく聞くように、とのことだった。大変長く優雅な舞で、瀬賀先生のお笛が美しかった。