10/2(金)、「万葉朗唱の会」の初日。いつもは半日はお手伝いをするのだが、今年は娘夫婦が来ており、演劇の日でもあり、還暦の人たちの同窓会に招かれており、最終日は「金沢定例能」だった。
さて観劇は、こまつ座の「父と暮せば」。井上ひさし・作、 鵜山仁・演出の名作である。2004年、茶々姫さんと「黒部コラーレ」へ映画を見に行った。宮沢りえと原田芳雄主演。高野悦子さんと山田洋次監督の対談もあった。その後、高岡文化ホールで、西川マリと辻萬長の二人芝居を見た(映画では、浅野忠信が木下青年役)。
今回は、娘役を栗田桃子さん、父親は前と同じ辻萬長さん。栗田さんは、この作品で寺山修司賞、朝日舞台芸術賞、読売演劇賞個人賞を受賞されたそうだ。↓ とトップはポスターより。
3度目に見て改めてわかったことがあった。娘美津江のセリフ「うちはしあわせになってはいけんのじゃ」は、愛する者たちを原爆で失い、自分だけ生き残った負い目から、と思っていたが、愛する者とは、親友や先生だけではなく、夜な夜な(昼も)現れる父親、その人だったのだ。
父親を目の前で見殺しにした、助けることができなかった、の負い目をずっと引きずり、ひっそり暮らして来た美津江。だからこそ、父親は「木下さんと結婚して幸せになってほしい」と応援に駆け付けるのですね。自分の気持ちに蓋をしようとする娘を、父はなだめ、すかし、励まし、時には大声で怒鳴り、「わしの分まで生きてちょんだいよォ~」と語りかける。木下さんを迎えるために、お風呂を沸かし、じゃこ味噌を作ってやります…。
今回は、なぜか父親の娘を思う気持ちに涙が出、小柄な栗田さんの必死の真心に泣けました。宮沢賢治の「星めぐりの歌」の澄んだきれいな声にも感動しました。↓は、他団体のカーテンコールから。
↓は、高岡演劇事務所で。観劇後の交流会のお花たち。事務局の佐○さんのお庭の花だそうだ。
次例会は、12/10(木)・11(金)、高岡文化ホールにて「王女メディア」。ギリシャ悲劇の三大作家の一人、エウリーピデースの代表作、平幹二郎、山口馬木也、三浦浩一など、全役を男優が演じます。
↓は、担当サークルによる打ち合わせ会(シール作り)の後、「メディア」のビデオを見ているところ。
最後に、再び「父と暮せば」に戻り、井上ひさしさんの思いを…パンフレットから…。
「被爆者たちは核の存在から逃れることのできない二十世紀後半の世界中の人間を代表して、地獄の火で焼かれたのだ――井上ひさし」
戦後70年の夏に送るこまつ座のライフワーク。地獄の中から生まれる真実の親子の物語。
ーー人間はどんな絶望の中においても生き抜かなければならない。
今から70年前の夏、ヒロシマに投下された原子爆弾。
残された膨大な被爆者の手記の中から編まれた今こそ語り継ぎたい井上戯曲。
生き地獄のヒロシマを舞台に繰り広げられる父と娘の優しくも壮絶な命の会話を通して平和の尊さを後世に語り継ぐこまつ座渾身の作品。
2008年から栗田桃子の娘・美津江と辻萬長の父・竹造で数々の賞に輝き、演出家・鵜山仁が希望への祈りを込めて、幸せとは何か、平和な日常を取り戻すとは何かを問う。 --
何度見てもいいお芝居ですね。
美津江役が3人3様でそれぞれいいな~と思いました。やはり細かい表情もよくわかるのは映画ですね~。
演劇はその点、難しいのかもしれません。見る度に新しいことに気づかされます。今回は、表に出せない父子の細やかな愛情が感じられました。
今回は万葉朗誦の会の始まるの日と重なりましたね。
「父と暮らせば」は古い話のようですが、今こそ見たい,伝えたい物語です。原発も多くの反対をよそに稼働し始めました。
私も高岡で一度、テレビで一度見ましたが、今回も新しい気持ちで見ることができました。
そうでしたね!美津江はお父さんを見殺しにしたと嘆いていました。
父と娘の上手な演技に涙しながら見ました。
井上ひさしさんが魂を込めて作られた話をこんな時代にこそ忘れず、繰り返し見て思い出して伝えていきたいです。
貴女のブログで一層,そんな思いを強くしました。