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ガンダムSEED DESTINY 第21話 「さまよう眸」 感想

2005-03-13 04:35:45 | ガンダムSEED DESTINY
新たな歯車が回り始めたことを感じずにはいられない、シンとステラの物語の始まりに期待せずにはいられない、カタルシスを描くのか、それとも救いを描くのか、二人へのタメが長かっただけに様々な期待を膨らませるのに十分な第21話「さまよう眸」。
複数のストーリーラインが交錯しながら走るガンダムSEED DESTINY、やっぱり面白いです。

■「怒れる瞳」の中に見えるシンの優しさ
今まで怒りに任せて戦闘を行う狂戦士(バーサーカー)や、家族の死の原因を招いたと思っているアスハ家(オーブ全体)に対するやり場のない怒りをぶつけてきたイメージの強かったシンですが、取り乱すステラに対して見せた機転と優しさ、これが彼が持つもう一つの側面だったんですね。

シンは本来激しさと優しさを併せ持つ存在だと思うのですが、戦争のおかげで激しさの方が目立ってしまったけれども、あの悲劇がなければ本来は優しさの方が前に立つ、そういうキャラなんでしょうね。
取り乱すステラの状態とそのトラウマの原因を何となく察知して、瞬時に「オレが守るから」と言って不安要素を解消してあげることができたのは、戦争で両親・妹を目の前で失ったことによる喪失感の共有と、彼が本来持っている優しさのおかげなのかなと。

■「さまよう眸」の中に浮かぶステラの存在意義
対するステラですが、海に落ちるという設定は先週の感想でも書いたように壮大な?伏線だったと確信したわけですが、それはさておき、彼女自身もシンが感じたように戦争で家族や大切な人を喪失したという背景がありそうな気配ですね。
それが彼女のブロックワード「死」につながっていると考えられるわけで、それを落ち着かせるのは「死への恐怖」を拭い去ることだったということなのかもしれません。

まだステラたちが強化人間かどうか物語上公表されていなかった第3話の感想の時に、インプリンティングの話をしたのですが、ブロックワードの反対のようなものもあるような気がして、それが彼女らを恭順させているということも考えられます。
つまり今回一瞬だけ挿入されたネオのカットは、そういうステラの「死への恐怖」を拭い去る役割を持っているんではないかな。

ゆえに彼女自身は(自分自身の)何かのために戦場に身を置いているわけではなく、ネオという不安を払拭してくれる存在、もしくは存在を肯定してくれる存在がいるから戦っている、ゆえに「さまよう眸」なのかなと。
だからこそ今回、「最適化」を必要とせずシンがステラの動揺を鎮めたことに意味が出てくるとみました。

■ゆえに交錯する二人の運命なのか
シンとしては喪失感の共有、そして守ってあげたいという想いから惹かれてしまう。
ステラとしては死への恐怖を拭ってくれた、自分を守ってくれるという存在に惹かれてしまう。

ようやくガンダムSEED DESTINYの本命のストーリーライン登場と思わせるには十分な邂逅だったと個人的には思いますし、カタルシスを描くにも十分、そして救いを描くにしても十分な展開だったんじゃないでしょうか。
互いに自分の持ち物を交換しているところも切なさを描くには効果的。

ステラたちは「最適化」を受けると(恐らく不安要素に関する)記憶を消失するという設定がありますが、シンがその優しさからステラを「最適化」無しで死の恐怖を拭い去ったことの意義は後々大きくなるんじゃないかと思っていて、シンとステラが戦って戦って戦場であいまみえて、ステラが記憶を失っていくとしてもシンとのこの邂逅だけは、シンの「オレが守るから」という言葉だけは彼女の胸にずっと残るんではないかと。
ゆえにカタルシスに振れたり、救いにつながったりするんじゃないかと思っています。

■二人への問い掛けと描かれる「変化」
シンは今回「オレが守るから」という台詞にもあるように、「普通に生活している人は守られるべき」と思っているわけですが、殺戮の力を手にしている狂戦士(バーサーカー)としての側面を含んでいることをまだ自覚していません。

ゆえに「守る」側であると同時に、自分や(恐らく)ステラが大切なものを奪われたように、自分自身が「奪う」側にいることを自覚して悩むポイントが必ず来る、というか来て欲しい。
やはりそのきっかけはステラであって欲しいところです。
そしてそこでこそ「守る」という言葉を本当に自覚して、そして貫いて欲しいと思わずにはいられないわけです。

またステラにしても今は自分の意思で戦っているわけではない(というか戦うという自覚すら不明瞭な)状態から、守られる側から守る側へ、もしくは「さまよう眸」から明確な意思を持った「瞳」へ「変化」して欲しいかなと、個人的にそう思ってしまうところです。
#「瞳」と「眸」の使い分けは意味は同じだけどそういう違いを表現したかったのかなと。

というわけで複数のストーリーラインが交錯するガンダムSEED DESTINYの中で本命の歯車が回り始めたわけですが、個人的にはこれ以降の展開に非常に期待しています。

■今週の気になった点■
ちょっと箇条書き程度に。

■オーブ情報を集めるアスラン
休暇を使ってオーブ情報を集めるアスランの描写が一瞬入ってましたが、やはりオーブ、アークエンジェルともに気になる様子。
つか、次週オーブ、アークエンジェルサイドの話なんで何気に伏線にもなってました。
アスランサイドにももう一度揺れる描写が入ってきそうな気配があって楽しみです。

■議長
今回のディオキアの街の描写は議長の政策そのものを反映していると思われ、連合=乱暴者、コーディネーター=怖くなかったというイメージ作りの基礎になっていて、世界的にこのイメージを展開させたいんだと思うんですね。
で、西川ハイネ。
もちっと残虐っぽい性格かと思っていたんですがめっちゃ気さくキャラ。
彼の本性、そしてそれを送り込んだ人の思惑は全く読めない・・・。
議長白・黒説いろいろありますが、問題提起ポジションで最後まで持っていって欲しいところです。

■アスランの女難の相
最高です。
特にベッドから落ちるシーンとか。
ルナの反応も面白すぎです。ヨロヨロ歩き。
つか、Aパート全部ギャグに持ってくるあたり大好きです。
#竹田Pとか似てたし。

■エンディングに映るMSは・・・。
エンディングの最後に映るMS、てっきりフリーダムだとばかり思っていたのですが、違う・・・(今頃気付きました)。
デスティニーガンダムの画像が公式でもアップされていたんで、余計にそう思うわけですが、やはりあれはキラの後継機なんですねきっと。

そうなるとアスランにも乗り換えて欲しくて3主人公同時乗り換えとかめちゃ燃えるなんて話を前にしましたが、セイバーどうなるんでしょうね。
OS起動時にOSの文字が反転してニュークリアからネットワークになりますよね。
つまりセイバー自体は元々核エンジン搭載予定モデルだったのか・・・?
マイチェンで乗り継ぎか・・・?
#インパルスにはルナが乗るという噂もありますね。

ステラもガイアから乗り換えて、サイコガンダムMk.2に乗らないかな(作品違)。
いや、あのOPに出る巨大MAにステラが乗ったら面白いなと。
#でもキラも対峙してるんでやっぱりそれはないかな。

あと濡れたシンの顔は(目が赤くなって以降の)一騎か咲良に見えた(もっと作品違)。

いやー、今週面白かった。